カンヌ映画祭が開幕、ジュリエット・ビノシュら審査員団がトランプ関税に言及「自分の身を守ろうとしている」

第78回カンヌ国際映画祭の記者会見が現地時間13日(火)に行われ、今年の審査員団を率いるジュリエット・ビノシュらがドナルド・トランプ米大統領による映画関税に言及した。
記者会見には、審査員のジェレミー・ストロング、ハル・ベリー、アルバ・ロルヴァケル、ホン・サンス、パヤル・カパーリヤー、カルロス・レイガダス、作家のレイラ・スリマニ、ドキュメンタリー作家のデュド・ハマディも同席した。
◆国際映画産業に影を落とすトランプ氏の関税政策
トランプ大統領の相次ぐ関税政策は世界経済を混乱させており、最近では米国外で製作された映画に対して100%の関税を課すという案が打ち出された。
関税案が与える脅威について尋ねられたビノシュは、「世界の映画産業全体の分析を要するため、自分に答えられるか分からない」としながら、「トランプ氏は自国を守ろうとしているのだと思います。しかし、私たちはヨーロッパに強固な映画コミュニティを抱えています。なので、正直どう答えるべきか分かりません。ただ、彼はさまざまな手段でアメリカ、そして自分の身を守ろうとしているように見えます」と述べた。
◆トランプ氏の伝記映画の出演俳優もコメント
昨年カンヌで初公開されたアリ・アッバシ監督の伝記映画『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』で、弁護士かつトランプのメンターであったロイ・コーンを演じたストロングは、「コーンは、フェイクニュースや代替的事実の生みの親だと思います。私たちは、彼が作り出した余波の中でに生きているのです」とコメントし、次のように続けた。
「真実が攻撃され、希少なものとなっている今、物語や映画、芸術の役割は非常に重要です。特に映画の神殿とも言えるカンヌにおいては、映画は真実の崩壊に抗う手段であり、個人的、社会的な真実を伝える力を持っています。私たちが共有する人間性を肯定し、祝福する役割を担っているのです。今年自分がここでやっていることは、昨年のコーンの行いに対する対抗手段のようなものです」
◆ガザに関する公開書簡、署名拒否の理由を明かさず
会見の冒頭では、リチャード・ギアら350人以上の映画関係者が署名したカンヌのガザ戦争に対する消極的な姿勢を糾弾する公開書簡についても質問が挙がった。ビノシュはなぜ署名しなかったのかという問いに対し、「理由はもう少し後に分かるはずです」とだけ答え、それ以上の説明を拒んだ。公開書簡に関する質問は、スリマニを除く全員が回答を避けた。
カンヌ国際映画祭2025は、現地時間5月13日~24日まで開催される。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。編集/和田 萌
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