深田晃司『恋愛裁判』カンヌでお披露目、主演・齊藤京子「今までで一番幸せ」
第78回カンヌ映画祭のカンヌ・プレミア部門で22日、深田晃司監督『恋愛裁判』が公式上映された。
深田監督が「元アイドルの女性に賠償命令」という新聞記事に着想を得て脚本を書き下ろした、構想10年に及ぶ意欲作。日本のアイドル界において当然とされる「恋愛禁止ルール」を破ったために、所属事務所から契約違反と訴えられた女性アイドルの姿を描く、人の感情を契約で縛ることはできるのかというテーマに深く切り込んでいく。
2016年『淵に立つ』がある視点部門で審査員賞を受賞。20年『本気のしるし』でもオフィシャルセレクションに選出されたが、コロナ禍で映画祭自体が中止となり9年ぶりのカンヌとなった深田監督。主演の齊藤京子とともにレッドカーペットに登場すると、各国のメディアや沿道のファンから大きな拍手と歓声を浴びた。
約1000人の観客が詰めかけた上映後は、スタンディングオベーションで迎えられる反響。深田監督は会場の全方位に手を挙げて応え、マイクを渡されると「今日という日をスタッフ、そして齊藤京子さんと迎えられてうれしい」と喜びをかみしめた。
齊藤はカンヌはもちろん、ヨーロッパに来ること自体が初めてで、レッドカーペットでは緊張したそぶりを見せつつも、日向坂46でセンターも務めた元アイドルだけに堂々とした振る舞い。「お祭りのような雰囲気で、気づいたら終わっていたという感じでしたが、後から実感が湧いてきました」と笑顔で振り返った。
世界に向けてのお披露目には、「カンヌ映画祭に関わるなんて夢にも思わず、一生忘れない経験となりました。そして、世界で初めて上映される瞬間を皆さんと一緒に見ることができ、今まで生きてきた中で一番幸せな日になりました」と声を弾ませた。深田監督も、「最初のシーンが始まった時に『この映画が生まれた』と感じました。映画が1本できるのは奇跡のようなもの。映画祭に選出され、ワールドプレミアを実施し、主演俳優とその瞬間に立ち会うことができ、その主演俳優も楽しんでくれているなんて、こんなに監督みょう利に尽きることはないです」と感激の面持ちだった。
『恋愛裁判』は、日本では今冬の公開が予定されている。
記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元
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