ジェームズ・ガンが語る映画業界の危機──脚本未完成で始まる製作に苦言

DCスタジオの共同代表であり、映画監督としても知られるジェームズ・ガンが、「映画業界は死にかけている」と強い危機感を示した。Rolling Stone誌のインタビューで語ったところによれば、その最大の原因は「脚本が完成しないまま映画制作に着手してしまう現状」にあるという。
「人々が映画を観なくなったからでもなければ、自宅のスクリーンが進化したからでもない。最大の問題は、完成された脚本のない状態で製作が始まってしまっていることだ」とガンは語る。
ガンは2022年からピーター・サフランと共にDCスタジオの共同CEOを務めており、同社の映画やテレビシリーズにおいて「脚本が完成するまで製作を開始しない」という方針を打ち出している。その方針に則り、実際にあるプロジェクトを中止したことも明かしている。
「全員がその映画を作りたがっていたし、製作も承認されていた。でも脚本の質が十分ではなかった。脚本が良くないままでは、私は映画を作れない」と述べた。
一方で、DCユニバースで現在進行中の新作には手応えを感じている様子だ。「『Supergirl(原題)』の脚本は最初から本当に素晴らしかった。『Lanterns(原題)』の脚本も非常に良く、さらに『Clayface(原題)』も同様に期待できる内容だった」と、自信をのぞかせた。
ガンはまた、DCスタジオが年間の公開作品数を義務づけられていない点が、作品の質を高めるうえで大きな利点になっていると語る。「ディズニーがマーベルに課した『年間〇本』というようなノルマが、マーベル作品の質を下げ、結果的にブランドを弱体化させた」とも述べ、明確に対比を示している。ディズニーは現在、CEOボブ・アイガーのもとで「量より質」へと方向転換を進めている。
「私たちは、どのプロジェクトも“運が良ければ実現できる貴重な機会”として扱っている。義務ではなく、品質を最優先に考えて作品を送り出す。もちろん、すべてが傑作になるとは限らないが、平均的に見て高品質な作品群となるよう努力している」とガンは語る。
そして最後に、「私自身が満足できる脚本ができるまでは、どんな作品も前に進めない」と、強い姿勢を改めて強調した。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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