オダギリジョー『夏の砂の上』の脚本にほれ込みプロデューサーに名乗り「作品を信頼する材料になれば」
1999年に読売文学賞を受賞した松田正隆氏の名作戯曲を映画化した『夏の砂の上』の完成披露試写会が17日、東京・TOHOシネマズ日比谷で行われ、主演のオダギリジョーをはじめ髙石あかり、松たか子、満島ひかり、森山直太朗、髙橋文哉、光石研と玉田真也監督が上映前の舞台挨拶に登壇した。
夏の長崎を舞台に、息子を亡くして生きる時間が止まり、妻にも見限られた主人公が、17歳のめいとの共同生活を通して希望の光をつかもうとする物語。劇作家で演出家の玉田監督は2022年に舞台でも上演したことがあり、今回自ら脚本を執筆しての念願の映画化となった。
その脚本にほれ込んだのがオダギリ。プロデューサーに名乗りを上げ、シナリオハンティングなどの準備段階から参加。「原作がアニメや漫画、ドラマでもないしエンタメでもない。今は作家性のある作品は作りにくくなっているけれど、凄くいい脚本なのでお金が集まらないのはもったいない。僕の名前が出ることで、作品を信頼してもらう材料になればと思った」と理由を説明した。
実際に松や満島らのキャスティングに一役買ったところもあり、「(舞台に並んだ)このメンツを見てください。並大抵で集められる人たちではない」と満足げ。玉田監督も、監督と主演としてご一緒できるだけでうれしかったのに、作る過程も一緒にできるとは思わなかった。特別な体験でした」と感謝した。
オダギリの妻役の松は、「オダギリさんが手に取って興味を持った脚本に魅かれた。監督がこれを映画化しようとする愛情の深さも感じました」と笑顔。オーディションでめい役を勝ち取った髙石も、「その段階でオダギリさんと松さんの名前は聞いていたので、絶対に出たいと思った」と振り返った。
さらに、オダギリは編集などの仕上げにも立ち会い「僕も監督する時は仕上げにこだわる。編集や音作りは、劇場を想定して作り上げているので、スマホなどそれ以外ではエッセンスを100%受け取ることはできない」と力説。その上で、「劇場に足が向かない時代になって、映画館もどんどんつぶれている。映画が文化として続くためにも、多くの人に劇場に足を運んでほしい」と切実に訴えた。
『夏の砂の上』は、7月4日に全国で公開される。
取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元
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