『ファンタスティック4』公開直前!ペドロ・パスカルの必見出演作11選を総復習

“ダディ・パスカル”ことペドロ・パスカルが今のように誰もが知る存在になる前の彼を思い浮かべるのは難しいかもしれない。
しかし、『ゲーム・オブ・スローンズ』(2011~2019年)でオベリン・マーテル役という強烈なキャラクターを演じて大ブレイクするまでは、彼もまた数多くの俳優と同じく、小さな役を地道にこなしていた時代があった。
たとえば『バフィー 〜恋する十字架〜』(1997~2003年)や『LAW & ORDER:性犯罪特捜班』(1999年~)『CSI:科学捜査班』(2000~2015年)といったテレビ番組に、1エピソードだけ登場するような端役で出演していたのである。
オベリン・マーテルというキャラクターは、HBOの大ヒットファンタジードラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』の第4シーズンにしか登場していないにもかかわらず、ペドロ・パスカルは“ドーンの赤い毒蛇”として視聴者の心に深く刻まれることとなった。
その記憶に残る理由のひとつには、もちろん、あまりにも壮絶で悲劇的な最期がある。しかし、それだけではない。役に命を吹き込んだパスカル自身の魅力と演技力もまた、忘れがたい印象を残したのである。
『ゲーム・オブ・スローンズ』出演後、ペドロ・パスカルのキャリアは一気に加速することとなった。同じ年には、『グレイスランド 西海岸潜入捜査ファイル』や『メンタリスト』といったドラマに繰り返し登場する役で存在感を発揮し、着実にステップアップ。そして、決定打となったのがNetflixの人気シリーズ『ナルコス』である。ここで彼は、麻薬王パブロ・エスコバルを追い詰めたアメリカ麻薬取締局(DEA)の捜査官という重要な役を務めた。
そして、エミー賞にもノミネートされるようになった頃には、ペドロ・パスカルは映画界でもその存在感を爆発させ始める。『キングスマン:ゴールデン・サークル』では鞭を操るアメリカン・スパイとして鮮烈な印象を残し、『ワンダーウーマン 1984』では野心むき出しの悪役を怪演。さらには、ニコラス・ケイジと共演した奇作『マッシブ・タレント』では、シーンを完全にかっさらう存在として話題になった。
そして、『マンダロリアン』や『ラスト・オブ・アス』といった超大作ドラマへの出演が決定的となった。これらの作品での活躍により、ペドロ・パスカルは名実ともに“ハリウッドトップ俳優”の仲間入りを果たすのである。
その勢いはとどまることを知らず、リドリー・スコット監督による超話題作『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』や、マーベル・スタジオの新作『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』といった超大作映画への出演も決定。
巨大プロジェクトへの出演が相次ぐ今もなお、ペドロ・パスカルは小規模な作品、いわゆる“インディー系”への情熱を失っていない。サンダンス映画祭で注目を集めた『フリーキー・テイルズ(原題:Freaky Tales)』や、風変わりなロードムービー『ドライブアウェイ・ドールズ』にも出演。
そんなペドロ・パスカルのキャリアを振り返りつつ、彼の代表作から、これから話題になるであろう注目作までを、米『ハリウッド・リポーター』が一挙に紹介する。
1.『ゲーム・オブ・スローンズ』(2011~2019年)※ネタバレを含む
ペドロ・パスカルは、HBOの人気シリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』第4シーズンにおいて、短いながらも記憶に残る出演を果たした。
彼が演じたのはオベリン・マーテル役であり、毒に関する知識と風変わりで致命的な戦闘スタイルを持っていたことから、「レッド・ヴァイパー(赤い毒蛇)」というあだ名で知られていた。このキャラクターはまた、情熱的な気性と強い性欲でも知られていた。オベリンはシーズン最終話で悲惨な最期を迎える。
ネタバレ注意であるが、彼はグレガー・クレゲイン(別名マウンテン)と戦い、勝利寸前まで追い詰めた。しかし、戦いを終わらせる代わりに、オベリンは相手に対し、自分の妹エリアへの暴行と殺害を認めさせようとして立ち止まった。
この隙がクレゲインに有利な状況を与え、彼はまずオベリンの目をえぐり、その後、頭蓋骨を押し潰して彼を殺害した。
2.『ナルコス』(2015~2017年)
Netflixの大ヒットシリーズ『ナルコス』において、ペドロ・パスカルが演じたのは、実在の麻薬取締局(DEA)捜査官ハビエル・ペーニャをモデルにしたキャラクターである。なんと、このペーニャ本人がドラマのコンサルタントとして制作に関わっていたというから、リアリティの重みも段違いだ。
物語は、悪名高き麻薬王パブロ・エスコバルとメデジン・カルテルの興亡を中心に展開される。第1シーズンと第2シーズンでは、ペーニャとその相棒マーフィーが、命がけでエスコバルを追い詰めていく様子が描かれる。
やがてストーリーの焦点がカリ・カルテル(コロンビアの犯罪組織)へと移ると、パスカルの存在感はさらに増していく。第3シーズン以降、彼は主人公かつナレーターとして物語を牽引し、『ナルコス』の“顔”として作品を支える中心人物となった。
3.『キングスマン:ゴールデン・サークル』(2018年)
パスカルは、『キングスマン』(2015年)の続編において、ステイツマンのエージェント、ジャック・ダニエルズ、別名ウイスキーへと変身する。そして、彼の好んで使う武器はというと、敵を縛ったり、投げ飛ばしたり、あるいは真っ二つに切断したりできる投げ縄である。彼は映画における明確な悪役ではないが、実際のところ、他の登場人物たちにとって厄介な存在となる。
4.『マンダロリアン』(2019~2023年)
パスカルは2019年、『マンダロリアン』における主役に抜擢されることで、『スター・ウォーズ』ユニバースに参加した。この作品は、ディズニープラスで配信された初の実写版『スター・ウォーズ』ドラマシリーズである。
このシリーズは、「ディン・ジャリン」としても知られる一匹狼のバウンティ・ハンター(賞金稼ぎ)を描いており、彼は主に銀河系の辺境で活動している。彼がグローグーと再会した後、マンダロリアン社会における自身の地位を取り戻すための新たな旅が始まるのである。
5.『ワンダーウーマン 1984』(2020年)
『ワンダーウーマン』(2017年)の続編において、パスカルはマクスウェル・ロードの役を演じている。ロードは、操作的な策略家であり、ずる賢い実業家であり、ジャスティス・リーグの敵、あるいは少なくとも対立者となる傾向がある人物だ。
コミックの映画化作品において、ロードは物語の主要な敵役として描かれているが、完全な悪役というわけではない。むしろ、彼は息子アリスター(演:ルシアン・ペレス)のためであれば何でもするという、いわばアンチヒーロー的存在である。
6.『マッシブ・タレント』(2022年)
本作において、パスカルはニコラス・ケイジの熱狂的なファンであり億万長者であるハビ・グティエレス役を演じている。ハビはケイジに対し、自身の誕生日パーティーに出演してもらうために100万ドルを支払うと申し出る。しかし、その祝宴はCIAが介入することで思いもよらぬ展開を迎える。このキャラクター中心の物語は、やがてバディ・コメディへと変化していき、ケイジとパスカルの両者が“自分自身の別バージョン”を演じることになる。
「私は、ニコラス・ケイジがこの映画で演じているニコラス・ケイジよりも、自分が演じている“自分”のほうが、実際の自分に近いバージョンであると言えるかもしれない」とパスカルは米『ハリウッド・リポーター』に語っていた。そのうえで、ケイジを「自発的で独創的な」共演者であり、彼との共演は「一緒に仕事をするのが楽しく、そして挑戦的でもあった」と評している。
7.『ラスト・オブ・アス』(2023年~)
父親または父親的存在を演じる役柄の多さにより、パスカルはSNS上で「ダディ・パスカル」と呼ばれるようになった。その決定打となったのが、HBOの『ラスト・オブ・アス』におけるジョエル・ミラー役である。
同名のゲームを原作とする本作では、パスカル演じるジョエルと、ベラ・ラムジー演じるエリーが登場し、ジョエルは凶暴なコルディセプス感染者から人類を救う手がかりとなる治療法を求めて、アメリカ横断で少女を密かに護送するという任務を負う。
2024年2月、パスカルはジョエル役の演技によりSAG賞(全米映画俳優組合賞)を受賞した。これまで何度かノミネートされていたが、キーラン・カルキンに敗れていた。受賞スピーチにおいて、パスカルは「これはいろんな意味でおかしい、ちょっと酔っているんだ。酔っていいものだと思っていた!」と語った。
番組のプレミア上映時、パスカルは米『ハリウッド・リポーター』に対し、ラムジーとの仕事は「信じられないほど素晴らしかった」と述べた。そして、「この物語は、中心となる私たち2人のキャラクターの絆に大きく依存しているということを、理解していたのでとても緊張した。どんな展開になるのかもわからなかった」と説明した。
8.『フリーキー・テイルズ(原題:Freaky Tales)』(2025年)
『フリーキー・テイルズ(原題:Freaky Tales)』は、1978年のオークランドを舞台に、音楽、映画、人々、場所、そして既知の宇宙を超えた記憶への愛について描かれる、相互に関連した4つの物語を追う作品であると、作品紹介文は述べている。
この映画において、パスカルはインディペンデント映画時代の原点に立ち返り、引退を間近に控えた借金取りの暗殺者クリント役を演じている。彼は、ネオナチと戦う役柄であり、共演者にはジェイ・エリス、トム・ハンクス、ベン・メンデルソーン、そして故アンガス・クラウド(本作が彼の最後の出演作の1つとなった)らが名を連ねている。
9.『ドライブアウェイ・ドールズ』(2024年)
パスカルは、イーサン・コーエン監督作『ドライブアウェイ・ドールズ』において、「ディーラー」という役を演じている。この映画は、マーガレット・クアリーとジェラルディン・ヴィスワナサンが演じる2人の女性が、新たな人生の始まりを求めてフロリダ州タラハシーへ向かうロードトリップに出発する様子を描いている。
しかし、彼女たちがレンタカーの中で謎のブリーフケースを発見したことにより、事態は一変する。犯罪者の一団がそのブリーフケースを追って彼女たちに迫るのである。予告編では、パスカルがそのブリーフケースを手にしている姿が映し出され、その後、彼の頭部が氷の中で発見される場面が示唆されている。『ドライブアウェイ・ドールズ』は2024年6月に日本でも劇場公開された。
10.『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』(2024年)
『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』は、リドリー・スコット監督による、2000年公開のアカデミー賞受賞作『グラディエーター』の長らく待たれていた続編である。物語はルッシラの息子であり、オリジナル作品でホアキン・フェニックスが演じたコモドゥスの甥にあたるルシアスを中心に展開する。
主演はルシアス役のポール・メスカル、ルッシラ役のコニー・ニールセン、そのほか、デンゼル・ワシントン、ジョセフ・クイン、バリー・コーガン、ジャイモン・フンスーらが名を連ねている。
11.『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』(2025年)
2023年11月、パスカルがマーベルの新作リブート映画『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』において、リード・リチャーズ役(ミスター・ファンタスティック)の主演候補として交渉中であるという報道がなされた。
2024年2月には本作のキャストが正式に発表され、パスカルがリチャーズ/ミスター・ファンタスティック役を演じることが明らかになった。
共演者には、スー・ストーム/インビジブル・ウーマン役のヴァネッサ・カービー、ジョニー・ストーム/ヒューマン・トーチ役のジョセフ・クイン、ベン・グリム/ザ・シング役のエボン・モス=バクラックが名を連ねている。本作は2025年7月25日に公開予定であり、監督は『ワンダヴィジョン』のマット・シャクマンが務める。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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