太平洋戦争の激闘描くアニメ映画『ペリリュー』の声優に板垣李光人&中村倫也が決定
太平洋戦争のパラオ南西部・ペリリュー島の戦いと、その後終戦を知らずに2年間潜伏して生き残った34人の兵士たちを描くアニメーション映画『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』で、俳優の板垣李光人と中村倫也が声優を務めることが決まった。
ペリリュー島の戦いは1944年9月に、米軍がフィリピン奪還を目指す拠点にすることを目的に開戦。4万人以上の米軍に対し、約1万人の日本軍が立ち向かい約2カ月半にわたり激闘が繰り広げられた。
武田一義氏による史実に基づいた同名漫画が原作。登場人物は3等身の愛らしいキャラクターだが、徹底的にリアリティを追求した戦闘などの描写が高い評価を受け、第46回日本漫画協会賞優秀賞を受賞している。
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板垣は、亡くなった仲間の最期の雄姿を書き記す「功績係」を命じられた田丸均、中村は相棒の吉敷佳助の声を担当。主演の板垣は、「終戦80年という節目にこの作品に携わり、田丸均という役に命を吹き込むことができる運命には非常に大きな意味と責任を感じています」と真摯に語る。
イメージを膨らませるため、今年4月にペリリュー島を訪問。零戦や戦車の残骸など島の至る所に残る戦争の傷跡を目の当たりにし、「教科書やテレビ、ネットからは感じることのできない、ここで確かにか烈な戦いが繰り広げられ、たくさんの方がさまざまな思いとともに命を落とされたのだと強く実感しました」という。
兵士には同世代の若者も多く、「彼らの青春や人生に思いをはせると、とても他人事とは思えません」と悲しみを募らせる。その上で、「自分もいつ死ぬかわからない状況の中、ついさっきまで言葉を交わしていた仲間の最期をつづる残酷さ。そんな残酷な現実を時には、愛する人を待つ家族のために美しく仕立てなければならない田丸の、激しくも繊細な葛藤や感情を大切に描いていきたい」と、アフレコに向け気持ちを高めている。
対する中村も、「太平洋戦争後のさまざまな場所で、終戦を知らず潜伏を続けていた日本兵がいたことは知っていましたが、原作にふれてこんなにも生々しくその日々を感じたことはありませんでした」と心を奪われた様子。「当時を伝えられる人も減ってきている中で、この作品を通して多くの方がペリリュー島の日々を感じてもらうことはとても意義のあることだと思います。終戦80年、戦争という混乱の先に今生きている僕らが感じるべきことは何なのか。劇場で歴史の1日1日を体感してください」と、戦争の記憶を風化させてはいけないという願いを込めた。
『ペリリュー ―楽園のゲルニカ-』は、12月5日に全国で公開される。
取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元
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