『国宝』実写の日本映画で22年ぶりの興収100億円突破、歴代興収でも3位に

映画『国宝』吉沢亮、横浜流星、渡辺謙、李相日監督 ⓒKazuko Wakayama
映画『国宝』吉沢亮、横浜流星、渡辺謙、李相日監督 ⓒKazuko Wakayama
スポンサーリンク

李相日監督、俳優の吉沢亮主演の映画『国宝』が、17日までに観客動員数747万3454人、興行収入105億3903万3400円を記録。実写の日本映画としては2003年『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』(173億5000円)突破以来、22年ぶりの大台突破。歴代興収でも98年『踊る大捜査線 THE MOVIE』(101億円)を抜き、3位に躍り出た。

同作は6月6日に全国356館で封切られ、その後4週連続で興収が前週を上回る異例の興行を展開。その後の落ち込みも最大で10%台後半で踏みとどまり、夏休みに入った8月1~3日の週末で再び上昇。公開73日目で節目の大台に達した。

吉沢亮、映画『国宝』
©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会

吉沢は、「たとえ少数でも、見てくれた方の人生に寄り添うような、心から大切に思ってもらえるような映画にしたいという思いで参加しました。こんなにもたくさんの方に愛していただき、感謝しかございません」と感激。「ご覧になった皆さまからたくさんの熱のこもったお言葉をちょうだいし、参加して良かったと心から思わせて頂いている日々でございます。僕自身にとっても特別な映画になりました」と喜びをかみしめている。

芥川賞作家・吉田修一氏の同名小説を原作に、上方歌舞伎の名家に引き取られたやくざの息子が才能を開花させ、その家の御曹司としのぎを削りながら芸道を究めようとした50年を描く一代記。『悪人』(2010)、『怒り』(2016)に続き吉田作品を手掛けた李監督は、「昔の映画の中でしか見たことがない光景でした。ご高齢の方から中高生の若者まで、男女を問わず満場の観客が3時間もの間、前のめりに同じスクリーンを見つめる。そこに世代の隔たりは消え、人は誰しもが魂の打ち震える瞬間を待ち望んでいるのだと、理由もなく流れる涙がどれだけ美しいものかと、我々の目に生涯忘れることのない景色を焼きつけてくれました」との言葉を寄せた。

吉沢と対じする御曹司役の横浜流星は、「この上ない幸せを感じていますし、日本映画を発展させるための責任がさらに強くなりました」と決意も新た。「日本の伝統芸能である歌舞伎に対して敬意を払って生きること、歌舞伎の魅力を届けたいと思っていました。映画を見た方々に、実際の歌舞伎も見てみたいと興味を持っていただけたら、少しは使命を果たせたのかなと思います」と語った。

映画『国宝』興行収入105億突破
©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会

2人の師匠に当たる歌舞伎俳優を演じた渡辺謙も、「公開から2カ月と少し、こんなに多くの方々に足を運んでいただき、驚きとともにとてもうれしく思っています。スタッフ、キャスト、監督、この映画に携わった全員の情熱と努力が報われました」と歓喜。そして、「撮影中は自分にとって芸道とは何か、舞台に立つ心構えとは、さまざまに問い直す時間でした。俳優として歴史に残る作品に参加できてとてもうれしく思っております」と話している。

歴代2位の1983年『南極物語』(110億円)を抜くのは時間の問題。『踊る大捜査線 THE MOVIE2』にどこまで迫り、そして追い越せるのか、ますます注目される。

取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元

【関連記事】

スポンサーリンク

類似投稿