広瀬すず『遠い山なみの光』公開に感慨「やっと日本でも知ってもらえる」
ノーベル文学賞作家カズオ・イシグロ氏の長編デビュー小説を映画化した『遠い山なみの光』の公開記念舞台挨拶が6日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、広瀬すず、二階堂ふみ、吉田羊、石川慶監督が登壇した。
カンヌ映画祭のある視点部門でお披露目され、上海国際映画祭を経てトロント国際映画祭への出品も決定。主演の広瀬は、「海外の人に見ていただく機会が多く、この物語を世界に知ってもらうきっかけになればうれしい。やっと日本でもたくさんの人に知ってもらえる」と感慨深げに話した。
長崎で原爆を経験し1950年代を生きる悦子の姿を、80年代にイギリスで暮らす自分自身が回想する形で描かれる物語。8月11日に広瀬、吉田とともに長崎を訪れ平和祈念像に献花した石川監督は、「長崎の街を歩いていると、カズオさんの頭なの中に飛び込むような錯覚に陥った。カズオさんの思い描いたバトンを僕らが受け取った。そのバトンは皆さんに渡りました」と思いをはせた。
悦子役の広瀬と交流を深める佐知子役の二階堂は初共演。二階堂は、「常にずしりと存在してくださって、安心して撮影に臨める頼りになる座長でした」と称賛した。
対する広瀬も、「自分の中でこの物語をどう解釈するか違和感があったけれど、佐知子の前に立つとひもがほどけるような感覚があった。二階堂さんにしかできない説得力で、刺激的な時間でした」と感謝。石川監督も、「この映画の肝だったが、あうんの呼吸でピタッと合って心地良く、音楽を聴いているようなセッションだった」と満足げに振り返った。
佐知子の娘を演じた子役の鈴木碧桜がサプライズで登場し、登壇者全員に花束を贈呈。和やかな雰囲気の中、広瀬は「長崎の歴史、当時を生き抜いた女性たちの姿を通して、自分事のように感じられる作品。余白のある映画なので、皆さんの心と言葉で埋めてくれたらうれしく思います」と真摯に語った。
取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元
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