大友啓史監督『宝島』プレミアで感想募集「あの時代の沖縄には今の時代に必要な気づきがある」
大友啓史監督の最新作『宝島』の東京プレミアが9日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われた。主演の妻夫木聡をはじめ広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太、塚本晋也、中村蒼、瀧内公美ら主要キャスト13人が顔をそろえた。
直木賞を受賞した真藤順丈氏の同名小説が原作。米国の統治下にあった戦後の沖縄を舞台に、体制にあらがった「戦果アギヤー」と呼ばれる若者たちの姿を通して20年に及ぶ知られざる歴史に迫る壮大なエンタテインメントだ。
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新型コロナウイルスによる二度の中断を余儀なくされ、企画から完成まで6年を要し、大友監督は「一回とん挫するとなかなか立ち直れないが、その危機を乗り越えられたのは奇跡。俳優たちが待ってくれて、スタッフも今この映画を届けなければいけないと頑張ってくれた」と感謝。「あの時代の沖縄には、今の時代に必要な気づきがある。映画はコミュニケーションの最高の手段だと思っているので、僕が何を伝えたいかではなく皆さんの感想を聞かせてほしい」と呼びかけた。
6月の沖縄での初披露を皮切りに、全国23カ所を回るキャラバンを敢行。座長として19カ所に同行した妻夫木は、「作品がどんどん大きく成長していると感じる。映画には誰かの人生、未来を1%でも変えられる奇跡があると信じている。この映画にはその力がある。少しでもその思いを共有してほしい」と力強く語った。
戦果アギヤーから刑事になったグスクという役どころ。「ただひたむに役と向き合ったが、あまりにも大きすぎて向き合うほど知らないことが出てきた。監督のOKと言われるまで、どれだけいい芝居ができるか集中するだけだった」と振り返った。
ヒロインのヤマコを演じた広瀬は、「エネルギッシュな魂が宿る現場で、食らうし吸い取られるし涙がかれていました。本編を見ても泣いているなあと。とても素直な感情が出ていたんだと思います」と述懐。ヤマコの恋人で、戦果アギヤーのリーダー・オン役の永山は、「どうアプローチしていいか頭を悩ませたが、妻夫木くんと嘉手納基地を見学して感慨深いものがあり、理屈ではなく肉体で表現しようと思った」と明かした。
オンの弟レイに扮した窪田は、「監督は走らせるし、戦わせるし、何度やっても『もう一回』と言われ、またかよと思う瞬間もあったが、少年のように楽しんでいる監督を見るともっと出さなきゃと思えた」と告白。続けて「グチになったらイヤだなあ」とこぼしたが、妻夫木が「グチだね」とツッコみ、会場の笑いを誘っていた。
映画『宝島』は、9月19日に全国で公開される。
取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元
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