ロバート・レッドフォード死去 ─ アカデミー賞受賞俳優でサンダンス映画祭創設者、享年89

ハリウッドの黄金時代を象徴し、『明日に向って撃て!』(1969)『スティング』(1973)『追憶』(1973)『大統領の陰謀』(1976)など数々の名作に出演した俳優・映画監督のロバート・レッドフォードが逝去した。89歳であった。
レッドフォードは米ユタ州の自宅で9月16日早朝に息を引き取ったと、長年の広報担当者シンディ・バーガーが米『ハリウッド・リポーター』に明かした。
ハリウッドの象徴、サンダンス映画祭の創設者
1936年カリフォルニア州サンタモニカ生まれのレッドフォードは、1960年代にブロードウェイやテレビで頭角を現し、1969年『明日に向って撃て!』でポール・ニューマンと共演、一躍スターとなった。1970年代には『大統領の陰謀』(1976)、『候補者ビル・マッケイ』(1972)、『コンドル』(1975)など、アメリカ社会を鋭く描いた作品にも出演。甘いマスクと反骨的な視点を併せ持つ存在として観客を魅了した。
1980年には映画『普通の人々』で監督デビューし、アカデミー賞作品賞と監督賞を受賞。その後も『リバー・ランズ・スルー・イット』(1992)『クイズ・ショウ』(1994)などを手がけ、監督・プロデューサーとしても高く評価された。
また、ユタ州に拠点を移し、サンダンス・インスティテュートとサンダンス映画祭を創設。インディペンデント映画の発展と若手映画人の育成に尽力し、アメリカ映画界に多大な影響を与えた。
多彩なキャリアと社会活動
レッドフォードは環境保護や、先住民、LGBTQの権利擁護など社会活動にも熱心で、2016年にはオバマ大統領(当時)から大統領自由勲章を授与されている。
晩年まで精力的に活動し、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)などにも出演。2018年『さらば愛しきアウトロー』を最後に俳優引退を発表したが、製作やサンダンス映画祭を通じて映画界に貢献し続けた。
プライベートでは、4人の子をもうけたが、長男スコットを幼くして亡くし、2020年には次男ジェイミーも病で他界。2009年にシビル・サガースと再婚し、娘シャウナとエイミーが存命している。
ハリウッドに残した遺産
演技、監督、そして映画祭運営を通して、レッドフォードは「映画の顔」と「映画界の支援者」というふたつの側面を体現した存在だった。その功績は、彼が創設したサンダンス映画祭や多くの名作映画の中に永遠に刻まれる。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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