クラウディア・カルディナーレが87歳で死去 ―― 『8 1/2』・『山猫』に出演、イタリア映画界の伝説的俳優

フェデリコ・フェリーニ監督の『8 1/2』(1963)、ルキノ・ヴィスコンティ監督の『山猫』(1963)といった名作に出演した20世紀イタリア映画界を代表する俳優、クラウディア・カルディナーレが87歳で死去した。
ソフィア・ローレンやアンナ・マニャーニと並ぶイタリア映画界の3大女優として知られるカルディナーレは、20代前半から60年以上にわたって活躍。その間に130本以上の長編映画に出演し、3つのダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞やヴェネツィア国際映画祭名誉金獅子賞をはじめとする数多くの栄誉を獲得している。
カルディナーレは1938年、チュニジアの首都にチュニスに生まれた。1958年に長編映画デビューを果たし、その後、ルキノ・ヴィスコンティ監督の『若者のすべて』(1960)やヴァレリオ・ズルリーニ監督の『鞄を持った女』(1961)といった作品に出演し、イタリア映画界での地位を確立した。
1963年はカルディナーレにとって最も重要な年となった。この年、彼女は映画史に残る2つの傑作、『山猫』と『8 1/2』の撮影を並行して行った。ヴィスコンティ監督のパルムドール受賞作『山猫』ではアンジェリカ・セダーラ役を、フェリーニ監督の自伝的傑作『8 1/2』ではグイドのミューズ役を演じた。
一時期ハリウッドに活動拠点を移したカルディナーレは、『サーカスの世界』(1964)や『プロフェッショナル』(1966)などのアメリカ映画に出演。セルジオ・レオーネ監督の1968年の西部劇映画『ウエスタン』では、開拓地の未亡人役で存在感を発揮した。
その後もカルディナーレは精力的な活動を続け、映画や舞台での出演を通じて多くの賞と批評家からの称賛を獲得し続けた。そのほか、ヴェルナー・ヘルツォーク監督の『フィツカラルド』(1982)、ヴィスコンティ監督との最後の共同作品『家族の肖像』(1974)などにも出演を果たしている。
2017年には、第70回カンヌ国際映画祭の公式ポスターにカルディナーレの写真が選ばれ、映画界への深い影響と不朽の功績が改めて認められた。この栄誉は、半世紀以上にわたって映画界を牽引してきたカルディナーレの存在の大きさを象徴するものであった。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。編集/和田 萌
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