巨匠リドリー・スコットが映画界を辛口評価「最近の映画は凡庸すぎる」|SF名作『エイリアン』の裏話も明かす

『エイリアン』シリーズや『グラディエーター』シリーズ、『ブレードランナー』などの名作で知られる映画監督リドリー・スコットが、映画館BFIサウスバンクでの講演に登壇し、ここ最近の映画界について自身の見解を語った。
リドリー・スコットが語る、映画界の現状と脚本の重要性
Yahoo! UKの報道によれば、スコットは自身の作品への出演者を探すために、さまざまな映画やテレビ番組を観ているという。例えば、『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』で主演を務めたポール・メスカルは、BBCのドラマシリーズ『ふつうの人々』を観てその才能を見出した。
しかし、最近の作品は「あまりにも凡庸で、観るのが少々苦痛になっている」とスコットは語る。「今の作品は凡庸さばかりが目につきます。昨今製作される映画は、世界中で何百万本にも上ります。そして、そのほとんどが駄作です。80~60%はまあまあ、残り40%のうち25%は悪くない、10%はかなり良い、そしてすばらしいのは上位5%の作品だけ、といった具合です」
スコットは「例えば1940年代には年間300本ほどの映画が製作されており、そのうち70%は似たような作品でした。昨今の映画の多くは、より多くの予算をかけてデジタルエフェクトを使用することで、保っていると思います。なぜなら、そもそも“良い脚本”ができていないからです。まずはそれを紙に書き上げてください」
その後スコットは、「でも、たまには良い作品に出会うこともあります。良い映画を作っている人がいると、ホッとします」と付け加えた。
名作『エイリアン』の舞台裏が明らかに
“凡庸”な映画が増えた結果、スコットは新作よりも自身の過去作を見返すようになったという。「本当にひどいと思うのですが、私は今、自分の映画をよく観るようになりました。実際、非常に良い作品ですから。それに、(今観ても)古びていないんです。先日『ブラックホーク・ダウン』を観た時なんて、『一体どうやってこれを作ったんだ?』と思いました」
スコットは特に歴史ものやSF作品において、いつの時代も色あせない名作を残してきた。例えば『エイリアン』(1979年)は実写特殊効果を駆使した手法により、その後の多くの続編と比べても遜色ない視覚効果を与えている。
スコットは同作について、「実は制作がかなり大変でした」とコメントした。「プロデューサー陣は皆それぞれ意見を持っていました。しかし、私は何年も一人で仕事をしてきたので、意見を言われることに慣れていなかったんです。だから文字通り砂に線を引いて、『ちょっと下がって。私がやるところを見ていてくれ』と言いました。あまり良い思い出ではありませんね」
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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