シガニー・ウィーバーが語る『エイリアン』シリーズ裏話|新作の脚本を読み復帰の可能性を示唆

10月10日(金)のNYコミコンに出席したシガニー・ウィーバー 写真:Jason Mendez/Getty Images
10月10日(金)のNYコミコンに出席したシガニー・ウィーバー 写真:Jason Mendez/Getty Images
スポンサーリンク

現地時間10月10日(金)、俳優のシガニー・ウィーバーニューヨーク・コミコンのパネルディスカッションに登場し、代表作『エイリアン』シリーズへの復帰の可能性について語った。このステージには、同作で共演したヴェロニカ・カートライトもサプライズで登場した。

シガニー・ウィーバーの『エイリアン』復帰に期待

リドリー・スコット監督の『エイリアン』(1979年)でリプリー役を演じ、同シリーズに『エイリアン4』(1997年)まで出演したウィーバーは、同作の製作者であるウォルター・ヒルから50ページに及ぶ新作の脚本を提示されたという。

「私の親友であるウォルターは、現在のリプリーの脚本を50ページ分も書いてくれたんです。この脚本は、人類を助けようとした者が監禁される社会を描いており、私はとてもリアルに感じました。実現するかどうかは分かりませんが、20世紀フォックス(現:20世紀スタジオ)かディズニー、あるいは現在権利を持っている会社との面談は行いました」とウィーバーは明かした。

「リプリーは物語内の社会で、厄介な存在として隔離されています。とにかく最初の50ページは非常に力強く、ウォルターと協力して続きのストーリーを検討しているところです」とウィーバーは付け加えた。

「ジャンルよりもストーリー」出演を決めた理由語る

ウィーバーが『エイリアン』第1作への出演を決めた理由はストーリーが魅力的だったからであり、必ずしもSFジャンルにこだわっていたわけではないという。

「私は英文学専攻なので、ストーリーを重視しています。ジャンルについてはあまり考えたことがありませんでした。良いストーリーなら、どんなジャンルでも構いません。今でこそジャンルは明確に定義されていますが、あまりジャンルを考えずに『エイリアン』を読んで良かったです」

ウィーバーは同作の脚本を読んだ時の感想を語った。「童謡『10人のインディアン』のように一人ずつ倒されていく、非常に簡潔な脚本だと思いました。エイリアンのデザインを知らなかったので、あの動き回る怪物が何なのか理解するのは非常に難しかったです。オーディションでリドリーに会い、(クリーチャーデザイナーの)H・R・ギーガーと(視覚効果アーティストの)カルロ・ランバルディが描いたデザインを見せてくれるまで、エイリアンがあんなに美しくエキゾチックな生き物だとは全く想像できませんでした。映画でこんなものは見たことがありませんでした」

『エイリアン』(1979)写真: Twentieth Century-Fox Film Corporation/Photofest
『エイリアン』(1979)写真: Twentieth Century-Fox Film Corporation/Photofest

『エイリアン』におけるウィーバーの存在と演技は、SF作品におけるアイコンとして数十年にわたり称賛を浴びている。しかし当時のキャスティングについて、ウィーバーは疑問も抱いていたという。「これまでほとんど映画出演経験のない無名俳優が生存者役を務めたので、他のキャスト陣はきっと落胆したでしょう。製作者のウォルター・ヒルとデヴィッド・ガイラーは、まさか女性が生存するストーリーは想像できないだろうと考え、私を選んだのです」

アドリブ満載だった『エイリアン』撮影現場の裏側

「自身のキャリアはリプリーと似ていますか?」と問われたウィーバーは、同作で共演したイアン・ホルム(2020年に死去)との会話の内容を明かした。

「イアン・ホルムとはすぐに仲良くなったのを覚えています。すぐに共演シーンの撮影があり、後で『リプリーは自分のやっていることが常に正しいと感じているのかな?』とイアンに聞いたら、『ええ、もちろん』と答えてくれました。私は、『彼女は全くそう感じていないと思う。完全なアドリブで、行き当たりばったりで演じているの』と言いました。実際、私はそう演じました。なぜなら、誰も台本通りのセリフを言わなかったからです。私は演劇出身なので、アドリブはとても怖かったです。だから恐怖の感情を演じるのは簡単でした」

このアドリブ性は、同作のラストシーンにも反映されている。まだエイリアンの倒し方が決まっていなかった時、20世紀フォックスの幹部がスタジオを訪れることになり、急遽クライマックスを決定する必要があったのだ。

「リドリーはどんなラストにするか、エイリアンをどう倒すか、視覚的にどう表現するかを本当に決めていませんでした。しかし突然、2日間で撮影を終わらせるように指示されたのです。それで水を使おうと考え、上手くいきました」

ウィーバーはさらにラストシーンの撮影裏話を明かした。「私はリドリーに、脱出艇の中に何がいるか教えないでほしいと頼みました。何も知らないまま演じたかったのです。それは俳優にとってすばらしいことです。ほぼ初めて出演した映画がこの作品で、とても幸運でした。リハーサルを一切せずフィルムで撮影したことが、自由な雰囲気を生み出し、この映画にとってプラスになったと思います」

シガニー・ウィーバー(『エイリアン』より)
シガニー・ウィーバー(『エイリアン』より)Courtesy Everett Collection

パネルディスカッションの後半では、『エイリアン』から学んだことへと話題が移った。当時、俳優経験が少なかったウィーバーは「カメラを見てはいけないことを学びました。こうした基本的なことは、すぐに覚えなければなりませんでした」と振り返る。

また、演劇出身のウィーバーは「この映画のセットが大好きでした」と語った。「『私たちのためにこんなにリアルなセットを作ってくれるなんて親切だな』と感じました。そして実際にそのセットの中にいる間、決してボタンに触らせてもらえず、俳優はいつもダミーのボタンを操作していました。その全てがとても面白かったです」

カートライトは、同作の公開当時の記憶を振り返った。「プレミア上映がなかったので、私はハリウッドの映画館に行き、一人でこの作品を観ました。すると、チェストバースターのシーンで観客が席から立ち上がって劇場を出て行ったんです。あんな状況は見たことがなく、本当に印象的でした」

キャメロンとフィンチャー、それぞれの『エイリアン』へのアプローチ

ジェームズ・キャメロンが監督を務めた続編『エイリアン2』(1986年)の印象について問われたウィーバーは、当時を振り返った。「フランスにいた時に脚本を受け取り、あらゆるページにリドリーの面影があって衝撃を受けました。それまでに読んだ中で最もすばらしい脚本の一つだと思ったのです。そしてアメリカに戻り、ロサンゼルスで初めてジム(キャメロン)に会ったんです。『何か注文はある?』と訊かれたので、『冗談でしょ?この脚本は完璧よ』と答えました」

そして『エイリアン2』でキャメロンとスタッフの間に緊張感はあったか問われると、ウィーバーは「スタッフたちはリドリーを尊敬しており、2作目もリドリーに監督してほしいと思っていました」と明かした。

「当時、ジェームズ・キャメロンとは誰なのかを知る人はいませんでした。ただ、彼の脚本はすばらしかったんです。『ターミネーター』(1984年)は公開されていましたが、私は観る機会がありませんでした。ジムはスタッフのための上映会を何度もセッティングしていたのですが、結局彼らは行かなかったんです。確かに、理解し合うまで時間がかかりました。しかし私はジムのことをすぐに好きになりました。彼は徐々にスタッフたちを感心させ、最終的には、ファンにさせてしまいました」

『エイリアン2』でウィーバーはアカデミー賞主演女優賞にノミネートされ、彼女自身も驚いたという。「今考えても、前代未聞のノミネートだったかもしれません。ジムがキャラクターとストーリーを構成し、それを観客が非常に好意的に受け入れてくれたことは知っていました。だからジャンルを問わず、アカデミー賞にノミネートされる作品に出演できたことは光栄です」

『エイリアン2』(1986)写真: 20th Century Fox/Photofest
『エイリアン2』(1986)写真: 20th Century Fox/Photofest

さらに『エイリアン3』(1992年)のデヴィッド・フィンチャー監督にも同様の賛辞を送った。「デヴィッドには全幅の信頼を寄せていました。前作の2本とは全く違うテイストで、エイリアンの物語を全く新しいものにしており、フォックスもそれを受け入れたのは非常に賢明だったと思います」

『エイリアン3』の脚本とヴィンセント・ウォードの原案について、ウィーバーは「原案では、宇宙にある中世の庭園のような場所に修道士たちがいるという内容でした。私の役は不時着した後、映画の約半分は昏睡状態という設定だったので、原案にあまり魅力を感じませんでした」と明かし、観客の笑いを誘った。

フィンチャーは同作の脚本を執筆していないが、「デヴィッドは、撮影が始まる前に脚本に取り組む機会を望んでいたでしょう。撮影は延期しましたが、デヴィッドは問題をじゅうぶん解決できたと思わなかったようです。しかし、最高の俳優陣とスタッフが揃っていたので、彼らを比べたりはしません」とウィーバーは語った。

『エイリアン3』(1992)写真: 20th Century Fox Film Corp/Courtesy of Everett Collection
『エイリアン3』(1992)写真: 20th Century Fox Film Corp/Courtesy of Everett Collection

ウィーバー、新世代『エイリアン』俳優にエールを送る

話題は『エイリアン:ロムルス』、『エイリアン:アース』といったシリーズ最新作にも及んだ。ウィーバーはこの2作を「大好き」と語った。「昨日、(『エイリアン:アース』に出演した)シドニー(・チャンドラー)をはじめとするキャストに会い、若手俳優たちと絆を深める機会がありました。今では『エイリアン』シリーズはとても愛されているので、プレッシャーもさらに大きくなるかもしれませんが、自分がこの年齢でまだ仕事をしていることにワクワクします」

『エイリアン:アース』より
『エイリアン:アース』より 写真:FX

さらに若手俳優たちに伝えたいことを問われたウィーバーは、「私がいつも伝えたいのは、『あまり心配しないで』ということです。大丈夫。セリフを言って、とにかく自分の役割を果たして、突き進んでください。家に帰ってから考え込むのはやめることです」と激励の言葉を送った。

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。

【関連記事】

スポンサーリンク

類似投稿