ジョニー・デップが明かす『シザーハンズ』主演争いの真実――ティム・バートンとの運命の出会い

ジョニー・デップが、自身の出世作となったティム・バートン監督の名作『シザーハンズ』(1990年)で、どんなハリウッドの大物たちと主演の座を争っていたのかを明かした。
この発言は、2024年のトライベッカ映画祭でプレミア上映されたタラ・ウッド監督のタイトル未定のティム・バートンにかんするドキュメンタリーシリーズのインタビューで語られたものだ。デップは当時を振り返り、『シザーハンズ』が自身とバートンとの長年にわたる映画的なコラボレーションの始まりとなったと述べている。
デップによれば、当時のハリウッドでは、トム・ハンクス、マイケル・ジャクソン、そしてトム・クルーズといった名だたるスターたちが、ハサミの手を持つ青年エドワード役を熱望していたという。特にトム・クルーズは「実際にエドワード役に決まりかけていた」とデップは語り、「本当の話だ」と強調した。
「エドワードは、まさに自分自身だった」
『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズなどで知られるデップは、バートンと脚本家キャロライン・トンプソンが手がけた脚本を初めて読んだときの衝撃をこう語る。
「その脚本は、あらゆる壁を突き抜けて、自分の核心に届いたんだ。文章が美しかった。キャラクターも美しかった。エドワードという存在は、まさに自分自身だった。これこそ自分がやるべき役だと思った」
だが当時のデップは、『21ジャンプストリート』(1987~1990年)でアイドル的な人気を得たものの、ティーンスターとして型にはめられることに苦しんでいたという。デップはジョン・ウォーターズ監督の『クライ・ベイビー』(1990年)を新たな方向への最初の確かな一歩だった」と振り返っている。
「正直なところ、最後の2年間は必死でクビになろうとしていたんだ」とデップは語る。「『クライ・ベイビー』を選んだのは、あのアイドル的なイメージを笑い飛ばせるチャンスだった」
「自分なんかが選ばれるはずがない」と思っていた
やがて、夢見ていた方向へと進み始めたデップのもとに、エージェントがティム・バートンとの面会を取り付けた。だがその知らせは、思わぬ「自己妨害」を招くことになる。
「ハリウッド中のスターがその役を狙っているのに、自分なんかが選ばれるはずがない」とデップは当時の心境を明かす。「バートンはエージェントやスタジオからの圧力にさらされていた。だから私はエージェントに電話して、『ミーティングをキャンセルしてくれ、行かない』と言ったんだ。そしたらエージェントに『正気なの!?』って怒鳴られたよ」
彼は続けてこう語る。
「頭の中のどこかで『お前はただのテレビ俳優だろ』という声がするんだ。当時は映画俳優とテレビ俳優が完全に別物の時代だったからね」
それでも最終的にデップは覚悟を決め、オーディションに臨んだ。そしてこの決断が、バートンとの長きにわたる創作の旅の始まりとなったのである。
ティム・バートンとの絆が生んだ数々の名作
『シザーハンズ』を皮切りに、デップとバートンは映画史に残るパートナーシップを築いた。『エド・ウッド』(1994年)、『チャーリーとチョコレート工場』(2005年)、『アリス・イン・ワンダーランド』(2010年)など、彼らのコラボレーションは常に独創的で、孤独や異端の美しさを描き続けてきた。
ティム・バートンの幻想的な世界観と、ジョニー・デップの繊細で傷つきやすい演技。その出会いの瞬間が、『シザーハンズ』という永遠の名作を誕生させたのだ。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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