グレン・パウエル主演『ランニング・マン』公開!トム・クルーズから受けたアドバイスと過激スタントの舞台裏

映画『ランニング・マン』のNYプレミアに出席したグレン・パウエル 写真:Jamie McCarthy/Getty Images
映画『ランニング・マン』のNYプレミアに出席したグレン・パウエル 写真:Jamie McCarthy/Getty Images
スポンサーリンク

エドガー・ライト監督の『ランニング・マン』は、1982年に出版されたスティーヴン・キング(リチャード・バックマン名義)の小説『バトルランナー』を原作としている。同作は1987年にもアーノルド・シュワルツェネッガー主演で映画化された。2025年版『ランニング・マン』は、より原作に忠実な映画化作品と言える。

グレン・パウエル演じるベン・リチャーズは、妻と病気の子供を養うため、「ランニング・マン」というリアリティショーに参加する。しかしその実態は、“殺人ハンター”や視聴者たちから30日間逃げ切れば最高10億ドルを獲得できる、絶体絶命のデスゲームだった。

グレン・パウエル、『ランニング・マン』より 写真:Paramount Pictures
グレン・パウエル、『ランニング・マン』より 写真:Paramount Pictures

本作の中で、パウエルは走り回ったり変装したりとさまざまなアクションシーンに挑戦している。その際、『トップガン マーヴェリック』(2022年)で共演したトム・クルーズからアドバイスを受けたという。

パウエルは米『ハリウッド・リポーター』のインタビューに応じ、ハリウッドにおけるリメイク作品の難しさやアクションシーンの撮影裏話、そして次回作について語った。


念願のキング作品出演!ベン役オファーの舞台裏

――以前、『ランニング・マン』のキャスティングについてスティーヴン・キングから承認を得なければならなかったとおっしゃっていましたね。キングはすべての映画化作品でこの条件を課しているのですか?それとも、パウエルさんが特殊なケースだったのですか? 

実は全く分からないのです。僕が知っているのは、エドガー(・ライト監督)が僕をベン・リチャーズ役に選んでくれたということだけです。その時は喜んだのですが、さらにキングの承認が必要だと知りました。

エドガー・ライト監督とグレン・パウエル、『ランニング・マン』撮影現場にて 写真:Paramount Pictures
エドガー・ライト監督とグレン・パウエル、『ランニング・マン』撮影現場にて 写真:Paramount Pictures

――1987年の映画『バトルランナー』には熱狂的なファンがいますが、興行的にシュワルツェネッガーの代表作とは言えません。もし前作映画が大ヒットしていたら、本作のオファーを断ったでしょうか?

僕たちはアーノルドの前作映画をリメイクしているわけではなく、あくまでもキングの原作を基に映画化しただけです。アーノルド版の映画は、かなり創造的で自由なコンセプトを中心に取り入れていました。物語をスタジオ内に限定し、観客とハンターのみを配置したのです。しかし、今回は物語を現実世界まで広げ、「参加者があらゆる人から狙われる」という設定にしました。ですから、アーノルド版より遥かに世界を飛び回っています。

ある伝説的なタイトルを映画化する場合、興行収入や観客の反応は、本当の目的ではありません。重要なのは「なぜ今この映画を作るのか」という点です。キングの原作は、2025年を舞台としています。『ランニング・マン』以上に現代と関連性の強い作品はないでしょう。

この映画では、キングの原作で見られるあらゆる要素が、不気味なほど忠実に再現されています。ニュースの消費のされ方、ヒーローと悪役の捉え方、権力への向き合い方、持つ者と持たざる者の分断など、さまざまな問題が起こっています。

しかしハリウッドでは、「なぜこの作品を作るのか」ではなく、すぐに「これをリメイクすればいい」と言われる傾向にあります。「なぜこの作品が観客の心を動かすのか?観客を劇場に呼び込む要因は何か?なぜ今作るのか?」といった問いに対して、本作は最高の答えを提示してくれると思います。

グレン・パウエル、『ランニング・マン』より 写真:Paramount Pictures
グレン・パウエル、『ランニング・マン』より 写真:Paramount Pictures

――ベン・リチャーズはまさに追い詰められています。家族を養うために、すべてを賭けなければなりません。完全に比較することはできませんが、パウエルさんにとって『プライド 栄光への絆』(2004年)への出演を逃したことは、キャリアにおける窮地でしたか?

自分のキャリアがどこまで続くのか、自分にも分かりません。さらに上を目指すためには多くの苦労があるでしょう。ここまで本当に長い時間がかかり、多くの役を逃してきました。おそらく、この街の誰よりも多くのオーディションを受け、落ちてきたと思います。

ですから、スティーヴン・キングという人気作家の原作で、エドガー・ライト監督の映画に参加できたことは、私にとって大きな喜びです。これが夢ではないかと疑いながらも、すべての瞬間を噛みしめています。

トム・クルーズ直伝、スタント撮影の心得とは

――本作への出演にあたり、トム・クルーズから何かアドバイスを受けましたか?

トムはいつも「疲れている夜遅い時間にスタントをやらないように」と言っていました。トムから本作について質問され、「ほとんどのシーンは夜だ」と僕が応えると、彼は「それは問題だ。夜は体がものすごく疲れるんだ。朝5時に撮影すると、日の出に間に合わせようと急ぐから怪我が増える」と教えてくれました。彼がくれたアドバイスのほとんどは、アクションシーンの撮影で“死なないようにするため”の内容がほとんどでした。

しかし、トムに電話一本で相談でき、いつでも喜んで相談に応じてくれるのは本当にありがたいです。実際、このようなアドバイスができるのは、地球上で彼しかいないでしょう。

グレン・パウエル、『ランニング・マン』より 写真:Paramount Pictures
グレン・パウエル、『ランニング・マン』より 写真:Paramount Pictures

――ベンが橋からジャンプするシーンは、『ミッション:インポッシブル』(1996年)でイーサン・ハント(演:クルーズ)がヘリコプターの爆発をかわしつつ、列車に戻るシーンを彷彿とさせました。

それはすばらしいですね。エドガーによれば、『ランニング・マン』はほぼ全てのショットにインスピレーションを受けた元ネタの映画があるそうで、話していて楽しいです。橋のシーンはどこから着想を得たのか分かりませんが、全てのショットは観客ができるだけスリルを感じるように設計されています。

あの爆発と橋から飛び降りるシーンの撮影方法は、単に「ここから望遠レンズで撮ろう」というものではありませんでした。エドガーはダイナミックな映像を撮るため、どう編集するかを撮影前から計算していたのです。その撮影を正確にこなすのは非常に大変でした。

――レベッカ・ファーガソンが『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』(2015年)に出演した際、トムと一緒にロープでビルから降りるスタントがありました。彼女はずっと恐怖を感じていましたが、スタントを終えた時、トムが振り向いて「ミッションへようこそ」と言ったそうです。『ランニング・マン』には、パウエルさんがエミリア・ジョーンズとのスタントの後、「ランニング・マンへようこそ」と言うシーンがあります。ライト監督は『ミッション:インポッシブル』チームとも親しいですが、そこからインスピレーションを受けたかご存知ですか?

いや、エドガーはそういう作り方はしないと思います(注:米『ハリウッド・リポーター』がライト監督に確認したところ、パウエルの推測が正しいことが分かった)。確か、そのセリフは最初から脚本に書いてありました。僕はクルーズのようなジョークは言えません。

グレン・パウエルとエミリア・ジョーンズ、『ランニング・マン』より 写真:Paramount Pictures
グレン・パウエルとエミリア・ジョーンズ、『ランニング・マン』より 写真:Paramount Pictures

悪役ジョシュ・ブローリンの衝撃と次回作について

――数十年後、『ランニング・マン』の経験を振り返るとしたら、最初に思い出すのはどの日でしょうか?

ジョシュ・ブローリンと対峙した日だと思います。ブローリンは長年にわたり、好きな俳優の一人です。特に、本作で彼は珍しく強烈な悪役を演じており、並外れた演技を披露しています。ブローリンとコールマン・ドミンゴ、そして炎の効果やバックの観客役たちがスタジオに揃った時、雷に打たれたような衝撃が走りました。それは映画の撮影ではなく、まるで“死亡率100%のリアリティショー”のような感覚でした。

グレン・パウエルとジョシュ・ブローリン、『ランニング・マン』より 写真:Paramount Pictures
グレン・パウエルとジョシュ・ブローリン、『ランニング・マン』より 写真:Paramount Pictures

――『ランニング・マン』は、パウエルさんにとって『トップガン マーヴェリック』以来のパラマウント映画への出演となります。『トップガン3』の企画も進行中ですが、パウエルさんが関わる可能性はありますか?

可能性は高いと思いますが、私は『トップガン3』の意思決定に関わる立場にはありません。

――ジョン・パットン・フォード監督の『エミリー・ザ・クリミナル』(2022年)の続編である『ハンティントン(原題:Huntington)』出演されますが、何か最新情報はありますか?

完成した作品を観ましたが、すばらしいものでした。来年公開されますが、おそらくタイトルは変更になります。数週間以内に新たなタイトルが発表されるでしょう。皆さんにご覧いただくのが待ちきれません。 


『ランニング・マン』は全米で公開中。日本では2026年1月30日より劇場で公開される。

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。

【関連記事】

スポンサーリンク

類似投稿