『ズートピア2』世界興収10億ドル到達はほぼ確実!批評家絶賛・観客満足度95%の理由とは

ニック・ワイルド(声:ジェイソン・ベイトマン)、ジュディ・ホップス(声:ジニファー・グッドウィン)、『ズートピア2』より 写真:Disney
ニック・ワイルド(声:ジェイソン・ベイトマン)、ジュディ・ホップス(声:ジニファー・グッドウィン)、『ズートピア2』より 写真:Disney
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楽観的なウサギと抜け目ないキツネ、そしてオズの魔女たちのおかげで、今年のサンクスギビング興行は映画館とファミリー向けアニメ作品にとって久々の朗報となった。

ズートピア2、サンクスギビング興行の主役に

ディズニーが送り出した批評家・観客双方から高い評価を得ている『ズートピア2』は、北米で5日間興収1億5,600万ドル(約243億7,000万円※)というシリーズ屈指の滑り出しを見せ、海外でも驚異的な4億ドル(約624億9,600万円※)を記録。全世界のオープニング成績は5億5,600万ドル(約868億6,944万円※)に達し、アニメ映画として史上最大、ハリウッド作品全体でも歴代4位という破格のスタートを切ったのである。

『ズートピア2』 写真:Disney
『ズートピア2』 写真:Disney

同じくサンクスギビングの興行を支える一本となった『ウィキッド 永遠の約束』は、公開2週目となる今回の5日間で約9,300万ドル(約145億3,000万円※)を稼ぎ出し、公開10日間の北米累計は2億7,040万ドル(約423億円※)に到達した。世界興収でも4億ドル(約625億円※)の大台が目前という節目を迎えている。

『ウィキッド 永遠の約束』より 写真:Giles Keyte/Universal Pictures
『ウィキッド 永遠の約束』より 写真:Giles Keyte/Universal Pictures

中国市場で歴史的オープニング

一方、『ズートピア2』の予想を上回る快進撃を牽引したのは中国市場である。歴代アニメ映画として最大、さらにアニメ以外も含めた中国公開作品全体でも『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年に3億ドル超で初登場1位)に次ぐ史上2番目となる2億7,200万ドル(約425億円※)のオープニングを叩き出した。ハリウッド作品としては2021年5月以降で最大の初動となり、現地時間11月29日(土)の成績は1億400万ドル(約162億5,000万円※)で史上最高記録を更新している。

前作『ズートピア』(2016年)が7,500万ドル(約117億2,000万円※)のスタートから最終的に世界興収10億2,500万ドル(約1,601億5,000万円※)を突破したことを踏まえれば、今作が再び10億ドル超えを達成する可能性はきわめて高いと言える。

『ズートピア』(2016年)写真:DISNEY
『ズートピア』(2016年)写真:Disney

ディズニー・エンターテインメント共同会長のアラン・バーグマンは、「『ズートピア2』への圧倒的な反響は、作品が持つ世界規模の魅力と、制作陣・キャストの並外れた努力の証である。ディズニー・アニメーションにとって誇るべき瞬間であり、ホリデーシーズンの最高の幕開けだ」とコメントした。

なお、アラン・バーグマンが率いるディズニーは、クリスマスにはジェームズ・キャメロン監督による『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』の公開を控えている。

『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』
『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』 写真:20th Century Studios

次々と打ち立てられる興行記録

『ズートピア2』は世界規模でも数々の新記録を樹立した(いずれもインフレ調整なし)。2021年以降で最大の続編オープニング、2025年公開作品として現時点で最大のグローバル初動、アニメ映画の続編として史上最大の世界オープニング、そしてディズニーのアニメ作品として史上最大の世界オープニング──いずれも堂々たる快挙である。

北米でも、同作はサンクスギビング興行において歴代2位となる成績を叩き出した。1位は昨年『モアナと伝説の海2』が記録した5日間2億2,510万ドル=約351億7,000万円※(うち週末3日間が1億3,980万ドル)であるが、『ズートピア2』も週末3日間で9,680万ドル(約151億2,000万円※)と強力な数字を残している。

『モアナと伝説の海2』写真:Disney
『モアナと伝説の海2』写真:Disney

批評家・観客からの熱烈な支持

『ズートピア2』は、北米で現地時間11月26日(水)に公開されて以来、驚異的な売り上げを記録し続けている。家族向け作品への需要が高まる中、その“ツボ”を的確に押さえた1本として熱烈に受け入れられた形だ。作品は批評家から高く評価され、観客の反応もきわめて良好で、CinemaScoreでは最高評価のA、Rotten Tomatoesの観客スコアは95%という輝かしい数字を叩き出している。

ジュディ&ニックの新たな捜査

物語は、前作で活躍した楽観的なウサギの新米警官ジュディ・ホップス(声:ジニファー・グッドウィン)と、ずる賢いキツネのニック・ワイルド(声:ジェイソン・ベイトマン)が再びタッグを組むバディ・コップ・コメディである。

『ズートピア2』 写真:Disney
『ズートピア2』 写真:Disney

ふたりは厳格なバッファローのボゴ署長(声:イドリス・エルバ)のもとで新たにコンビを結成するが、前作の功績にもかかわらず、今回は順風満帆とはいかない。ふたりは、部外者として潜り込んだヘビの追跡任務を命じられるのだ(この新キャラクターの声はキー・ホイ・クァンが担当)。

『ウィキッド 永遠の約束』もホリデー興行を牽引

一方、『ウィキッド 永遠の約束』も好調である。11月21日に公開された同作は、サンクスギビング当日に北米興収が2億ドル(約312億5,000万円※)を突破。ジョン・M・チュウ監督によるブロードウェイの人気ミュージカルおよび原作小説の大規模な映画化プロジェクト第2章として、こちらも歴代ホリデーシーズン屈指のヒット作となりつつある。

(左から)アリアナ・グランデ、シンシア・エリヴォ、映画『ウィキッド 永遠の約束』より 写真:Giles Keyte/Universal Pictures
(左から)アリアナ・グランデ、シンシア・エリヴォ、映画『ウィキッド 永遠の約束』より 写真:Giles Keyte/Universal Pictures

シンシア・エリヴォアリアナ・グランデがオズの魔女たちを演じる本作は、先週の世界興行デビュー週末に数多くの記録を塗り替えた。ブロードウェイ・ミュージカル原作映画としては歴代最高のオープニング成績を挙げ、前作『ウィキッド ふたりの魔女』を上回る好スタートを切ったのである。さらに、ミュージカル映画全体で見ても屈指の成績となった。

海外興行では、サンクスギビング週末にさらに2,940万ドル(約45億9,000万円※)を売り上げ、海外累計は1億2,280万ドル(約191億9,000万円※)、全世界興収は3億9,330万ドル(約614億5,000万円※)に到達したと、現地日曜時点の推計が報じている。『ウィキッド 永遠の約束』は、興行推移が前作『ウィキッド ふたりの魔女』と同水準で進行している。

シンシア・エリヴォとアリアナ・グランデ、映画『ウィキッド ふたりの魔女』(2024)より
シンシア・エリヴォとアリアナ・グランデ、『ウィキッド ふたりの魔女』より 写真:GILES KEYTE/UNIVERSAL PICTURES

昨年の“記録的サンクスギビング”との比較

ただし、サンクスギビング全体の興行収入という観点では、今年が昨年の“記録的ホリデーシーズン”に匹敵することはそもそも難しかった。前年は『ウィキッド ふたりの魔女』と『モアナと伝説の海2』に加え、『レッド・ワン』や『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』も並び立った豪華なラインナップが映画館を賑わせていたからだ。

(左から)ドウェイン・ジョンソン、クリス・エヴァンス、『レッド・ワン』(2024年)のセットにて
(左から)ドウェイン・ジョンソン、クリス・エヴァンス、『レッド・ワン』(2024年)のセットにて 写真:Amazon MGM Studios

Comscoreの興行分析主任ポール・ダーガラベディアンは、「昨年の破格のサンクスギビングに比べれば見劣りするが、それでも今年は映画館にとって堅実なホリデー週となった。2024年比でわずか1.3%の上昇にとどまっており、年間の北米興収を90億ドル(約1兆4,061億6,000万円※)に到達させるには、1月末までにさらに12億ドル(約1,874億9,000万円※)を積み上げる必要がある」と述べている。

Netflix作品や限定公開作の動き

また、Netflix作品『ナイブズ・アウト:ウェイク・アップ・デッドマン』も一部劇場で限定公開された。ストリーマーは興行収入を公表しないが、関係者の推定では230万ドル(約3億5,940万円※)前後とみられている。主要シネコン各社が公開期間の条件を理由に上映を拒否したため、公開規模は限られていた。

『ナイブズ・アウト: ウェイク・アップ・デッドマン』より 写真:John Wilson/Netflix © 2025
『ナイブズ・アウト: ウェイク・アップ・デッドマン』より 写真:John Wilson/Netflix © 2025

アワード候補作『ハムネット』の好スタート

一方、特別興行ではクロエ・ジャオ監督が手がけ、ウィリアム・シェイクスピアを題材にしたマギー・オファーレルのベストセラー小説を映画化したアカデミー賞候補作『ハムネット』が健闘している。28市場・119館で封切られ、初動5日間で館平均1万1345ドル(約177万2,500円※)、興収は計140万ドル(約21億8,700万円※)という有望なスタートを切った。

映画『ハムネット』より 写真:Agata Grzybowska / © 2025 FOCUS FEATURES LLC
映画『ハムネット』より 写真:Agata Grzybowska / © 2025 FOCUS FEATURES LLC

『ハムネット』は、ジェシー・バックリーポール・メスカルが主演を務め、秋の映画祭シーズンで大きな話題を集めた。トロントからBFIロンドンまで、各地の映画祭で観客賞を総なめにし、強烈な存在感を示した作品である。配給はスティーヴン・スピルバーグのアンブリンとサム・メンデスのロンドン拠点のプロダクションから権利を取得したフォーカス・フィーチャーズが担当している。来週には大規模拡大公開に踏み切り、全米で一気に上映館を広げる予定だ。

A24新作『エタニティ(原題)』は苦戦

一方、A24の新作『エタニティ(原題)』は苦戦の滑り出しとなった。1,348館で公開されたものの、オープニング成績は240万ドル(約3億7,498万円※)にとどまっている。

A24製作の新作映画『エタニティ(原題)』写真:TIFF
A24製作の新作映画『エタニティ(原題)』写真:TIFF

既存作が支える北米ボックスオフィス

北米興行の残留組では、3位にランクインしたのがライオンズゲートの『グランド・イリュージョン/ダイヤモンド・ミッション』である。北米累計は4,970万ドル(約77億6,500万円※)、世界興収は1億8,700万ドル(約292億2,000万円※)に到達した。

『グランド・イリュージョン/ダイヤモンド・ミッション』より 写真:Katalin Vermes/Lionsgate
『グランド・イリュージョン/ダイヤモンド・ミッション』より 写真:Katalin Vermes/Lionsgate

4位につけたのは、20世紀スタジオディズニーが手がける『プレデター:バッドランド』で、本作は現地日曜時点で北米累計8,500万ドル(約132億8,000万円※)、世界興収1億7,380万ドル(約271億5,000万円※)を記録し、シリーズ史上もっとも稼いだ作品として正式に名を連ねた。

『プレデター:バッドランド』 写真:20th Century Studios
『プレデター:バッドランド』より 写真:20th Century Studios

そしてトップ5を締めくくったのはパラマウントの『ランニング・マン』だ。こちらは北米で3,400万ドル(約53億1,000万円※)、海外で2,630万ドル(約41億1,000万円※)を上げ、世界興収は6,050万ドル(約94億5,000万円※)と振るわない数字にとどまっている。

グレン・パウエル、『ランニング・マン』より 写真:Paramount Pictures
グレン・パウエル、『ランニング・マン』より 写真:Paramount Pictures

※2025年12月1日時点の為替レートで換算

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。

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