ジャファル・パナヒ監督、イランから懲役判決を下される――反体制映画のパルムドール受賞が要因で
現地時間12月1日(月)、反体制派映画監督ジャファル・パナヒ氏の弁護士は、イランがパナヒ氏に懲役1年の判決を下したとフランス通信社に語った。テヘランの革命裁判所第26支部も、イランに対する「プロパガンダ活動」を理由に、パナヒ氏に渡航禁止処分を科した。
弁護士によれば、パナヒ氏は現在イラン国外におり、上記の判決は欠席裁判で下された。パナヒ氏と弁護士は、イラン裁判所の判決に対して控訴する意向だ。
パナヒ監督の最新作『Un simple accident(英題:It Was Just an Accident)』は、第78回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞した。この受賞によって、イラン当局との衝突が激化したと見られる。

パナヒ氏はこの数ヶ月間、同作のプロモーションで世界各地の映画祭を巡っている。米『ハリウッド・リポーター』の情報によれば、パナヒ氏は現在アメリカに滞在中で、現地時間12月1日(月)には第35回ゴッサム賞の授賞式に出席した。
2022年の逮捕・釈放から復活を遂げた作品
パナヒ氏は2010年にも反政府活動で有罪判決を受けたが、刑は執行されなかった。しかしこの有罪判決を基に、2022年に同氏はテヘランのエヴィン刑務所に投獄され、20年間の渡航および制作活動禁止処分を受けた。
ところがその後、パナヒ氏はハンガーストライキを開始し、裁判所も「2010年の有罪判決に対して刑を執行できない」と判断したため、86日間の拘束の後に釈放されている。
逮捕の理由には、政府抗議活動に参加したとして逮捕されたイラン人監督のモハマド・ラスロフ氏について、パナヒ氏が検察庁に問い合わせたことも含まれる。
『It Was Just an Accident』はパナヒ氏が釈放されて以来初めての作品で、イランの権威主義体制に対する痛烈な批判を表現している。

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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