アナ・デ・アルマスがキャリアのすべてを語る|ブレイクの裏側と10年にわたるキアヌ・リーブスとの絆

アナ・デ・アルマス、第5回紅海国際映画祭オープニングセレモニーより 写真:Getty
アナ・デ・アルマス、第5回紅海国際映画祭オープニングセレモニーより 写真:Getty
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現地時間12月5日(金)、第5回紅海国際映画祭の対談セッションに俳優のアナ・デ・アルマスが登壇した。デ・アルマスはスターダムにのし上がるまでの経験や、長年の友人であるキアヌ・リーブスとの交流について語った。


キューバから世界へ――ブレイクまでの道のり

キューバ出身のデ・アルマスは、俳優としてブレイクするまでの経歴を赤裸々に語った。キューバで過ごした幼少期には、近所の子どもたちと演技やダンスをして遊んでいたという。「とても自由で社交的な性格で、幸せな子ども時代でした。その頃からずっと俳優になりたいと思っており、他の選択肢はありませんでした」とデ・アルマスは振り返る。

デ・アルマスはハバナの演劇学校に入学し、在学中に映画デビューを果たした。「学生は仕事をしてはいけない決まりでしたが、オーディションを受けて役を獲得しました。1年間休学しなければならず、友達と離れるのは辛かったです。しかし、撮影現場では授業より多くのことを学びました」

キャリア初期に稼いだ出演料を貯金し、デ・アルマスは18歳の時に単身でマドリードへ移住するという大きな決断を下した。「キューバ時代に貯めたお金は300ユーロ(現在の日本円で約5万4,000円)ほどありました。当時のキューバで300ユーロは大金でしたが、スペインではすぐに底を突いてしまうと気づきました」

デ・アルマスは数カ月間、友人宅で寝泊まりしていたが、スペインの人気テレビドラマシリーズに出演して瞬く間に知名度を上げた。しかし、これはデ・アルマスにとって不満の元にもなった。「このドラマの影響で、何年も同じような若い女の子の役ばかり演じることになりました。スペイン映画もスペイン人監督も大好きですが、自分が望むような映画の仕事は得られませんでした。その時、スペインを離れるべきだと感じたのです」

そしてデ・アルマスは活動の拠点をロサンゼルスへ移し、さらなる飛躍を遂げる。「英語は全く話せず、人生で一番臆病な気持ちになりました。そこでは誰も私のことを知らず、キューバやスペインで積んできた経験もゼロに等しかったのです。ここで成功したいなら、すべてを捧げなければならないと決心しました」とデ・アルマスは当時を回想した。

デ・アルマスをスターダムへ押し上げた3作

デ・アルマス自身は、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『ブレードランナー 2049』(2017年)でブレイクの手応えを感じたという。「夢のような作品でした。ドゥニ監督、ライアン・ゴズリングハリソン・フォード、そして撮影監督のロジャー・ディーキンスとの仕事は、信じられないほどすばらしかったです」

アナ・デ・アルマスとライアン・ゴズリング、『ブレードランナー2049』より 写真:Warner Bros./Photofest
アナ・デ・アルマスとライアン・ゴズリング、『ブレードランナー2049』より 写真:Warner Bros./Photofest

さらにデ・アルマスは、監督のヴィルヌーヴに称賛を送った。「ドゥニは非常に思慮深く繊細な人で、大好きな監督の一人です。彼のコミュニケーションの取り方や、俳優たちと一つ一つのシーンを丁寧に作り上げていく姿勢は、特別なものでした。撮影現場では、まるで子ども時代に戻ったような気持ちでした」

デ・アルマスはその後、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021年)でヒロインの「ボンド・ウーマン」に抜擢された経験についても語る。「スクリーンに映ったあの15分間は、私の人生を変えました。(監督の)キャリー・フクナガから、『まだ脚本は完成していないが、次作にキューバ人のエージェントが出てくる』と電話があったのです。私は『キューバ人のエージェント役なら私しかいません』と答えました(笑)」

ダニエル・クレイグ、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』写真:Nicola Dove / © MGM / courtesy Everett Collection
ダニエル・クレイグ、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』より 写真:Nicola Dove / © MGM / courtesy Everett Collection

その頃のデ・アルマスは、『ブロンド』(2022年)の主演としてマリリン・モンロー役を演じた直後で、ボンド・ウーマン役でもモンローの声色を取り入れたという。

デ・アルマスは『ブロンド』で第95回アカデミー賞主演女優賞にノミネートされ、俳優として一つの転機を迎えた。「それまでの俳優人生で最も怖いと同時に、最も美しい経験でもありました。9カ月間の下調べと準備期間を経て、私はマリリンの声や動き、そしてエネルギーを学びました。それがきっかけで、私自身の演技へのアプローチも変わったのです」

出会いから『バレリーナ』再共演まで――キアヌ・リーブスとの10年間

対談の中でデ・アルマスは、長年交流のあるキアヌ・リーブスについても詳しく語った。彼女とリーブスが出会ったきっかけは、イーライ・ロス監督の『ノック・ノック』(2015年)だという。デ・アルマスはロサンゼルスに移住した直後で、初めて役を得たハリウッド映画が同作だった。

デ・アルマスにとって、リーブスはハリウッドに歓迎してくれた最初の人物だったという。「当時の私はほとんど英語を話せなかったため、うまくコミュニケーションを取れずもどかしさを感じましたが、とても楽しい時間を過ごせました。キアヌとは良い関係を築くことができ、すばらしい友情で結ばれています」

デ・アルマスは、リーブスを「信じられないほど親切で寛大な人」と表現した。『ジョン・ウィック』シリーズのスピンオフ作品『バレリーナ:The World of John Wick』(2025年)では、リーブスと再共演を果たしている。念願の再共演について、デ・アルマスは「まさに一周回った感じでした。10年経った今でも、キアヌがそばにいて私を支えてくれたことに、大きな意味を感じました」と振り返った。

『バレリーナ:The World of John Wick』に出演するアナ・デ・アルマス Murray Close/Lionsgate
アナ・デ・アルマス、『バレリーナ:The World of John Wick』より 写真:Murray Close/Lionsgate

同作でアクションシーンの数々をこなしたデ・アルマスだが、アクションを演じることは予想外だったという。「自分は運動神経が良いと思ったこともありませんし、アクション映画に出るなんて想像もしていませんでした。『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』や『グレイマン』(2022年)、『ゴーステッド Ghosted』(2023年)とアクション映画が続きましたが、『バレリーナ:The World of John Wick』はまた別次元だったのです。かなり挑戦的で、厳しい要求を受けました。しかし、この役を演じることと、作品の世界観を広げていくことは本当に楽しかったです」

『バレリーナ:The World of John Wick』への出演にあたり、デ・アルマスは過酷なトレーニングを積んだ。「撮影前から何カ月もかけてトレーニングし、撮影中も継続しました。撮影現場ですべての動きをリハーサルする時間はないので、その場で学び、適応していくしかありませんでした。かなり疲労しましたが、多くのことを学び、楽しむことができました」とデ・アルマスは振り返った。

変化を恐れず進む、次なるキャリアへの挑戦

約1時間におよぶ対談セッションの終盤、デ・アルマスは今後の展望を語った。彼女は「挑戦できる作品を探し続けること」を重視しているという。スペイン時代、ステレオタイプの役に不満を感じていたデ・アルマスだが、アクション作品への出演が増えた現在は再び「似た役ばかりを演じるリスクを感じています」と語る。

「映画業界の求めるものが、自分のやりたいことと違う時もあります。しかし、次の仕事を追い求めるのは私自身です。例えば、『ブロンド』はたまたま成功しただけだと思われているかもしれません。しかし、私は業界が提供するものを待つのではなく、自分がやりたいことを探し続けてきました。安全策を選びたいとは思っていません」


紅海国際映画祭は、サウジアラビアのジェッダで現地時間12月13日(土)まで開催中だ。

※為替レートは2025年12月7日時点の数値で換算しています。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。

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