トランプ大統領、Netflixによるワーナー・ブラザース買収案に言及「問題になり得る」と警戒感も
ドナルド・トランプ米大統領は、Netflixによるワーナー・ブラザース買収案について初めて公のコメントを述べた。買収総額は約827億ドル(約12兆8,185億円、1ドル=155円換算)とされ、世界のメディア産業における今年最大級の案件となる。
ドナルド・トランプ大統領はワシントンD.C.で開催されたケネディ・センター名誉賞の式典に向かう際、記者団から買収案について意見を問われた。トランプ大統領はNetflixの共同CEOであるテッド・サランドスを称賛しつつも、市場支配力の増大を懸念した。
「まあ、これはこれからプロセスを経ることになりますし、どうなるか様子を見ていきます。Netflixはすばらしい企業です。驚異的な仕事をしてきました。テッドはすばらしい人物で、私は彼を非常に尊敬しています。しかし、市場シェアは非常に大きい。ですから、どうなるか見守る必要があります」
さらに、Netflixがワーナーを買収すべきかとの質問に対し、大統領は「それが問題です。彼らは非常に大きな市場シェアを持っていますし、ワーナー・ブラザースが加われば、そのシェアはさらに大きくなります。経済学者が判断すべき点ですが、私もその決定に関わることになるでしょう。確かに非常に大きな市場シェアですからね」と答えた。
▼Netflixのテッド・サランドス共同CEOとの会談も認める
ドナルド・トランプ大統領はまた、先週にNetflixのテッド・サランドス共同CEOがホワイトハウスを訪れた事実を認めた。会談内容に“保証”があったか尋ねられると、次のように否定した。
「いいえ、まったくありません。彼は先週、大統領執務室に来ました。私は彼をとても尊敬しています。彼は偉大な人物です。そして映画などの分野で歴史に残る仕事をしています。今回の件以外にも、彼はいろいろと興味深いことを進めています。ただ、市場シェアは非常に大きい。それは間違いありません。問題になり得ます」
▼巨額の違約金と劇場公開の維持を約束
Netflixによるワーナー買収案は、現地時間12月5日早朝に正式発表された。Netflixは58億ドル(約8,990億円)の“破談手当”を提示し、ワーナー・ブラザースの現行の運営体制を維持する方針を打ち出している。とりわけ、「劇場公開を含む」既存モデルを尊重すると明記したことが注目される。買収が成立すれば、巨額案件ゆえ規制当局による厳しい審査が不可避とみられる。
テッド・サランドス共同CEOは同日、アナリスト向けの電話会見で次のように説明した。「この買収に驚く方がいるのも理解できます。私たちは長年、“買う”のではなく“つくる”企業として知られてきました。しかし今回の案件は非常に稀有な機会です。世界中に物語を届け、人々をつなぐというNetflixの使命を加速させるものです」
同氏はまた、DVD郵送サービスから始まったNetflixが、ストリーミング、オリジナル制作、ライブ配信へと進化してきた歴史に触れ、「選択肢が溢れる今の世界で、私たちは立ち止まることはできません。観客にとって意味のある物語に投資し続ける必要があります。それこそが今回の買収の目的です」と語った。
▼ハリウッドでは警戒感も
ハリウッド業界内では、買収案への警戒が広がっている。特に劇場主の団体であるCinema Unitedは声明で、「Netflixによるワーナー・ブラザース買収は、世界の映画上映ビジネスに前例のない脅威をもたらす」と警告した。全米監督協会(DGA)も「重大な懸念を生む」としており、業界の見守る姿勢は一様ではない。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。編集/和田 萌

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