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『ストシン』『エイリアン:アース』…人気ドラマのクリエイターが集結!米THR主催イベント「ディレクターズ・イン・フォーカス」初開催

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マット&ロス・ダファー兄弟、米『ハリウッド・レポーター』主催「ディレクターズ・イン・フォーカス」イベントにて 写真:JC Olivera
マット&ロス・ダファー兄弟、米『ハリウッド・レポーター』主催「ディレクターズ・イン・フォーカス」イベントにて 写真:JC Olivera
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現地時間12月13日(土)、授賞式シーズンに合わせ、米『ハリウッド・リポーター』は初となる「ディレクターズ・イン・フォーカス」イベントを開催した。このイベントには『ストレンジャー・シングス 未知の世界』『エイリアン:アース』『TASK/タスク』『ハックス(原題:Hacks)』を手がけたテレビ業界の人気クリエイターたちが登壇した。

『ストレンジャー・シングス』:ダファー兄弟が語る俳優との信頼関係

マット&ロス・ダファー兄弟は、約10年間にわたって配信された大ヒットドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』について語った。聞き役は米『ハリウッド・リポーター』のデイヴィッド・キャンフィールドが務めた。

デイヴィッド・キャンフィールド(米THR)、マット・ダファー、ロス・ダファー 写真:Rich Polk
デイヴィッド・キャンフィールド(米THR)、マット・ダファー、ロス・ダファー 写真:Rich Polk

若手俳優たちとの接し方について、マットは「より楽しく、リラックスした雰囲気を作ることで、より良い演技を引き出せると分かりました。(子役たちは)すぐ僕たちと気軽に接してくれました。例えば(ホリー・ウィーラー役の)ネル・フィッシャーは、一日でかなり僕らに悪態をつくようになったのです。しかし、それは彼女が僕たちを怖がっていないということなので、良い傾向だと思いました」と説明した。

メインキャストらが成長を遂げたシーズン5では、監督業の一部を俳優たちに任せたという。「私たちから彼らへの信頼を示せば、彼らの自信は深まり、より良い演技につながると思います」とマットは語った。

また、ロスは本シリーズを通じて「映像作家として大きく成長できた」と語る。「シーズンごとに規模がどんどん大きくなるので、私たちは常に新たなことに挑戦していき、シーズンごとに新たな学びがありました。それが、10年間このドラマの制作を続けてきた理由の一つです。毎シーズンが刺激的で大変でしたが、同時に楽しい経験でもありました」

『エイリアン:アース』:ホラーの先にある「SFの役目」とは?

続いて『エイリアン:アース』のショーランナーを務めたノア・ホーリー、監督のダナ・ゴンザレス、編集のレジス・キンブル、作曲家のジェフ・ルッソが登壇し、米『ハリウッド・リポーター』のボリス・キットとのトークショーが行われた。最初のトークテーマは「お気に入りのエイリアン」だった。

ジェフ・ルッソ、ノア・ホーリー、ダナ・ゴンザレス、レジス・キンブル 写真:JC Olivera
ジェフ・ルッソ、ノア・ホーリー、ダナ・ゴンザレス、レジス・キンブル 写真:JC Olivera

ホーリーによれば、『エイリアン:アース』ではボディホラーやクリーチャーホラーの要素に加えて、道徳的な題材にも挑戦したという。ホーリーは、本シリーズを通じて描かれるテーマでもある「人類は滅亡する運命にあると思うか」について意見を述べた。

「私は人類を応援しています。人類の勝算はあると思いますが、まだ成長の余地があります。このドラマは、『大人はどこにいるのか』『今日よりも明日のことを考えている人たちはどこにいるのか』といった、私が最近周囲に抱いている疑問を問いかけるものです」とホーリーは観客に語った。

またホーリーは、SFジャンルが映像業界で正当に評価されていないことを指摘した。「私たちが今活用しているテクノロジーを生み出した億万長者たちを見れば、彼らはみな若い頃に“SFオタク”でした。彼らが作り出したものは、元を辿れば1960~70年代のSF作家や映像作家が生んだアイデアです。SF作家として、自分たちが生きたいと思う未来を創造する責任があります。そして、最終的には私たち自身もその未来を生きることになるのです」

グラッター監督が業界に警鐘を鳴らす

ベテラン監督で元全米監督協会(DGA)会長のレスリー・リンカ・グラッターは、ハリウッドにおける雇用の減少と、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーの事業売却に対する懸念を表明した。

ステイシー・ウィルソン・ハント(米THR)、レスリー・リンカ・グラッター 写真:Rich Polk
ステイシー・ウィルソン・ハント(米THR)、レスリー・リンカ・グラッター 写真:Rich Polk

「新型コロナウイルスとストライキの影響で、この業界は大幅に縮小し、制作数は約40%減少しました。現在は回復を目指している途上です。多くの人が失業したという事実に、胸が張り裂けそうになります。私たちの仕事は“チームスポーツ”であり、チームの実力は連携プレーによって決まります。この現状を直視するのはつらく、今回の件(ワーナーの売却)で改善されるとは思えません」

またグラッターは、「AIを創造力の源にすべきではない」とし、生成AIに対する懸念も語った。グラッターは、生成AIは映像作家ではなく、脚本家などの物語作家が使うべきツールだと主張した。映像制作については「できるだけ多くの仕事をアメリカ国内に留めておく必要があります。それが最も重要なことです」と語った。

『TASK/タスク』:俳優出身監督が犯罪ドラマに挑む

短時間の休憩を挟み、『TASK/タスク』の監督兼製作総指揮を務めたサリー・リチャードソン=ホイットフィールドと、ロビー役を演じたトム・ペルフリーがステージに登場した。聞き役は米『ハリウッド・リポーター』のスコット・ファインバーグが務めた。

サリー・リチャードソン=ホイットフィールド、トム・ペルフリー 写真:Rich Polk
サリー・リチャードソン=ホイットフィールド、トム・ペルフリー 写真:Rich Polk

ギルテッド・エイジ ニューヨーク黄金時代』(2022~2025年)や『ウイニング・タイム -レイカーズ帝国の誕生-』(2022~2023年)を手がけたリチャードソン=ホイットフィールドは、かつて俳優として活動していたことが強みになっていると語り、「このようなドラマを待ち望んでいました」と伝えた。

本作は『メア・オブ・イーストタウン/ある殺人事件の真実』(2021年)の製作陣が再集結したドラマだ。同作と舞台を同じくする『TASK/タスク』では、フィラデルフィアなまりが要求されたとペルフリーは語った。「フィラデルフィアなまりを取り入れた『メア・オブ・イーストタウン』はヒットしましたが、それを台無しにできないという気持ちがありました」

『ハックス』:シーズン5で見せるユーモアと人生への問い

続いて、『ハックス』の共同プロデューサー兼監督であるルシア・アニエロが登壇し、同作に出演するハンナ・アインバインダー、米『ハリウッド・リポーター』のブランデ・ヴィクトリアンと同作について語り合った。

ルシア・アニエロ、ハンナ・アインバインダー 写真:JC Olivera
ルシア・アニエロ、ハンナ・アインバインダー 写真:JC Olivera

アインバインダーは「俳優寄りの話になりますが、このドラマに出演した女性たちはみな、最高に面白くてかっこいい役を演じています。そう、全員女性なのです。私も『ハックス』最高!と思っています」とユーモラスに語った。

アインバインダーは、「(主要キャラクターの)デボラとアヴァのように、笑顔で互いに意地悪なことを言い合っています」とアニエロとの良好な関係性を明かした。

またアニエロは、現在撮影中であるシーズン5のヒントも明かした。「シーズン4のラストでは、デボラの死亡記事が誤って掲載されてしまいました。そこで、彼女が本当に遺したい遺産とは何か、この死亡記事で彼女が遺さなければならなかった遺産とは何かという問いが浮上します。また、彼女は人生をどう生きるか、そして彼女にとっての人生とは何かという、より大きな問いも投げかけられます」

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。

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