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ゴールデングローブ賞2026結果分析 ――『ハムネット』最高賞の衝撃と明暗分かれた有力作、オスカー戦線はどう動いたか

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ゴールデングローブ賞2026結果分析 ――『ハムネット』最高賞の衝撃と明暗分かれた有力作、オスカー戦線はどう動いたか
『ハムネット』のプロデューサー、スティーヴン・スピルバーグ(中央)=2026年のゴールデングローブ賞授賞式にて 写真:Rich Polk/2026GG/Penske Media via Getty Images
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2026年の第83回ゴールデングローブ賞は、例年以上にサプライズが多い一夜となった。

今年のゴールデングローブ賞では、評価が割れていた作品が最高賞を射止め、俳優部門ではキャリアを左右しかねない“巻き返し”と“失速”が同時に起きた。さらに今年は、アカデミー賞のノミネート投票が授賞式の翌朝から始まるというタイミングもあり、その影響力は例年よりはるかに大きいといえるだろう。

▼ゴールデングローブ賞、最大のサプライズ:『ハムネット』が作品賞を制す

ジェシー・バックリー、『ハムネット』より 写真:Agata Grzybowska / © 2025 FOCUS FEATURES LLC
ジェシー・バックリー、『ハムネット』より 写真:Agata Grzybowska / © 2025 FOCUS FEATURES LLC

最大の話題は、クロエ・ジャオ監督作『ハムネット』が映画部門(ドラマ)の作品賞を受賞したことだろう。『センチメンタル・バリュー』(ヨアキム・トリアー監督)や『罪人たち』(ライアン・クーグラー監督)など強力な候補が並ぶ中、評論家の予想は割れており、決して満場一致の本命ではなかった。

作品の名前が読み上げられたとき、クロエ・ジャオ監督自身が驚きを隠せなかった様子は、この受賞がいかに予想外だったかを物語っている。

【動画】『ハムネット』の作品賞受賞にクロエ・ジャオ監督も驚き!

しかし結果として、『ハムネット』は最高賞を獲得。さらに、プロデューサーとして名を連ねるスティーヴン・スピルバーグが壇上でトロフィーを受け取ったことで、業界内での作品の“格”は一段と引き上げられた。

ジェシー・バックリーの主演女優賞受賞も加わり、『ハムネット』は一気にアカデミー賞作品賞において『ワン・バトル・アフター・アナザー』(ポール・トーマス・アンダーソン監督)の最有力候補対抗馬として認識されることになった。

▼明暗が分かれた有力作たち:無冠に終わった候補も

一方で、最も厳しい結果を突きつけられたのが『フランケンシュタイン』(ギレルモ・デル・トロ監督)と『センチメンタル・バリュー』だ。

■『センチメンタル・バリュー』:8ノミネートで1冠止まり

レナーテ・レインスヴェ、ステラン・スカルスガルド、『センチメンタル・バリュー』より 写真:Kasper Tuxen/Neon/Courtesy Everett Collection
レナーテ・レインスヴェ、ステラン・スカルスガルド、『センチメンタル・バリュー』より 写真:Kasper Tuxen/Neon/Courtesy Everett Collection

8部門にノミネートされ、『ワン・バトル・アフター・アナザー』に次ぐ候補数を誇った『センチメンタル・バリュー』は、助演男優賞(ステラン・スカルスガルド)のみの受賞に終わった。国際的な投票者が多いゴールデングローブ賞では有利と見る向きもあっただけに、この結果はやや肩透かしだったといえる。

一方で、ステラン・スカルスガルドにとっては重要な一勝となった。先日のクリティクス・チョイス・アワードではジェイコブ・エロルディ(『フランケンシュタイン』)に敗れ、全米映画俳優組合賞ではノミネートすらされなかった中での“復活劇”となり、オスカー助演男優賞レースに踏みとどまった形だ。

■『フランケンシュタイン』:業界支持を示しながら受賞ゼロ

ジェイコブ・エロルディ、『フランケンシュタイン』より 写真:Ken Woroner/Netflix
ジェイコブ・エロルディ、『フランケンシュタイン』より 写真:Ken Woroner/Netflix

5部門ノミネートを果たし、製作者組合・監督組合・俳優組合からの評価も相次いでいた『フランケンシュタイン』は、まさかの無冠。業界内の支持と、ゴールデングローブ賞の結果が必ずしも一致しないことを象徴する結果となった。

同じく5部門ノミネートの『ウィキッド 永遠の約束』(ジョン・M・チュウ監督)、4部門ノミネートの『It Was Just an Accident(英題)』(ジャファル・パナヒ監督)も無冠に終わり、「ノミネート数=受賞力」ではないという現実を改めて印象づけた。

▼最大の勝者:『ワン・バトル・アフター・アナザー』の安定感

テヤナ・テイラー、『ワン・バトル・アフター・アナザー』より 写真:Warner Bros./Courtesy Everett Collection
テヤナ・テイラー、『ワン・バトル・アフター・アナザー』より 写真:Warner Bros./Courtesy Everett Collection

『ワン・バトル・アフター・アナザー』は、当初の予想通り、映画部門(ミュージカル/コメディ)作品賞を含む計4冠を獲得。ポール・トーマス・アンダーソンは監督賞・脚本賞を受賞し、作品としての完成度と作家性の強さを改めて示した。

【動画】『ワン・バトル~』が映画部門(ミュージカル/コメディ)作品賞受賞!

さらに重要だったのが、テヤナ・テイラーの助演女優賞受賞だ。ゴールデングローブ賞での受賞とスタンディングオベーションは、テイラーをオスカー助演女優賞レースの最前線へ押し上げた。今後の全米映画俳優組合賞、そしてアカデミー賞への流れを大きく左右するだろう。

▼非英語作品の躍進:『The Secret Agent(英題)』が快挙

ヴァグネル・モウラ、『The Secret Agent(英題)』より 写真:Neon/Courtesy Everett Collection
ヴァグネル・モウラ、『The Secret Agent(英題)』より 写真:Neon/Courtesy Everett Collection

今年のゴールデングローブ賞では、ブラジル映画『The Secret Agent(英題)』が快挙を達成した。外国語映画賞、映画部門(ドラマ)主演男優賞の2冠は、全米映画俳優組合賞で非英語作品が排除された流れとは対照的だ。

【動画】ブラジル人俳優ヴァグネル・モウラが主演男優賞(ドラマ)受賞

ヴァグネル・モウラの受賞は、ティモシー・シャラメレオナルド・ディカプリオという本命候補がいるオスカー主演男優賞レースに、新たな緊張感をもたらした。

さらに、『The Secret Agent(英題)』は、昨年のカンヌで上位評価を受けた『It Was Just an Accident(英題)』『センチメンタル・バリュー』を抑えてゴールデングローブ賞外国語映画賞に輝き、「オスカーにおいて国際長編映画賞だけでなく、作品賞候補にもなり得る」という認識を強めている。

▼インディーズ作品の一撃:ローズ・バーンとエヴァ・ヴィクター

ローズ・バーン、『If I Had Legs I'd Kick You(原題)』より(左)、エヴァ・ヴィクター、『ソーリー、ベイビー』より
ローズ・バーン、『If I Had Legs I’d Kick You(原題)』より(左)、エヴァ・ヴィクター、『ソーリー、ベイビー』より 写真:A24; Mia Cioffi Henry/Courtesy of Sundance Institute

今年のゴールデングローブ賞は、小規模インディーズ作品にとっても“人生を変える夜”だった。ローズ・バーン『If I Had Legs I’d Kick You(原題)』)の主演女優賞(ミュージカル/コメディ)受賞は、作品の知名度を急速に押し上げ、アカデミー賞の俳優部門レースに食い込む流れを作った。

【動画】ローズ・バーンが主演女優賞(ミュージカル/コメディ)受賞!

そして、今年の授賞式で最も驚いた表情を浮かべていたのは、『ソーリー、ベイビー』で脚本・監督・主演を務めたエヴァ・ヴィクターだった。作品賞(ミュージカル/コメディ)発表の場で、プレゼンターのジュリア・ロバーツが突如ヴィクターの名を呼び、「私のヒーロー」「『ソーリー、ベイビー』をまだ観ていないなら絶対に観て」と絶賛。

『ソーリー、ベイビー』が、オスカー脚本賞ノミネートの瀬戸際にあることを考えれば、この“お金では買えない宣伝”がオスカー投票者に与える影響は計り知れない。

【動画】ジュリア・ロバーツ、『ソーリー、ベイビー』のエヴァ・ヴィクターに賛辞

▼アカデミー賞の行方を占う「大きな転換点」に

(左から)ローズ・バーン、ヴァグネル・モウラ、テヤナ・テイラー、ステラン・スカルスガルド=2026年のゴールデングローブ賞授賞式にて
(左から)ローズ・バーン、ヴァグネル・モウラ、テヤナ・テイラー、ステラン・スカルスガルド=2026年のゴールデングローブ賞授賞式にて 写真:Getty Images

2026年のゴールデングローブ賞は単なる前哨戦を超え、オスカーの行方を占う大きな転換点となった。下馬評を覆して本命へと躍り出た『ハムネット』や、『ワン・バトル・アフター・アナザー』のように安定した強さを見せた作品がある一方で、存在感を放つインディーズ映画も目立つ。

さまざまなサプライズが起きた今回の結果によって、2026年のアカデミー賞の投票は大混戦が予想されるだろう。

※本記事は英語の記事(1)(2)から抄訳・要約しました。編集/和田 萌

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