ゴールデングローブ賞2026結果分析 ――『ハムネット』最高賞の衝撃と明暗分かれた有力作、オスカー戦線はどう動いたか
2026年の第83回ゴールデングローブ賞は、例年以上にサプライズが多い一夜となった。
今年のゴールデングローブ賞では、評価が割れていた作品が最高賞を射止め、俳優部門ではキャリアを左右しかねない“巻き返し”と“失速”が同時に起きた。さらに今年は、アカデミー賞のノミネート投票が授賞式の翌朝から始まるというタイミングもあり、その影響力は例年よりはるかに大きいといえるだろう。
▼ゴールデングローブ賞、最大のサプライズ:『ハムネット』が作品賞を制す

最大の話題は、クロエ・ジャオ監督作『ハムネット』が映画部門(ドラマ)の作品賞を受賞したことだろう。『センチメンタル・バリュー』(ヨアキム・トリアー監督)や『罪人たち』(ライアン・クーグラー監督)など強力な候補が並ぶ中、評論家の予想は割れており、決して満場一致の本命ではなかった。
作品の名前が読み上げられたとき、クロエ・ジャオ監督自身が驚きを隠せなかった様子は、この受賞がいかに予想外だったかを物語っている。
【動画】『ハムネット』の作品賞受賞にクロエ・ジャオ監督も驚き!
chloé zhao's reaction to winning the golden globe for best motion picture – drama for 'hamnet' pic.twitter.com/veUtR0CRKf
— Vulture (@vulture) January 12, 2026
しかし結果として、『ハムネット』は最高賞を獲得。さらに、プロデューサーとして名を連ねるスティーヴン・スピルバーグが壇上でトロフィーを受け取ったことで、業界内での作品の“格”は一段と引き上げられた。
ジェシー・バックリーの主演女優賞受賞も加わり、『ハムネット』は一気にアカデミー賞作品賞において『ワン・バトル・アフター・アナザー』(ポール・トーマス・アンダーソン監督)の最有力候補対抗馬として認識されることになった。
▼明暗が分かれた有力作たち:無冠に終わった候補も
一方で、最も厳しい結果を突きつけられたのが『フランケンシュタイン』(ギレルモ・デル・トロ監督)と『センチメンタル・バリュー』だ。
■『センチメンタル・バリュー』:8ノミネートで1冠止まり

8部門にノミネートされ、『ワン・バトル・アフター・アナザー』に次ぐ候補数を誇った『センチメンタル・バリュー』は、助演男優賞(ステラン・スカルスガルド)のみの受賞に終わった。国際的な投票者が多いゴールデングローブ賞では有利と見る向きもあっただけに、この結果はやや肩透かしだったといえる。
一方で、ステラン・スカルスガルドにとっては重要な一勝となった。先日のクリティクス・チョイス・アワードではジェイコブ・エロルディ(『フランケンシュタイン』)に敗れ、全米映画俳優組合賞ではノミネートすらされなかった中での“復活劇”となり、オスカー助演男優賞レースに踏みとどまった形だ。
■『フランケンシュタイン』:業界支持を示しながら受賞ゼロ

5部門ノミネートを果たし、製作者組合・監督組合・俳優組合からの評価も相次いでいた『フランケンシュタイン』は、まさかの無冠。業界内の支持と、ゴールデングローブ賞の結果が必ずしも一致しないことを象徴する結果となった。
同じく5部門ノミネートの『ウィキッド 永遠の約束』(ジョン・M・チュウ監督)、4部門ノミネートの『It Was Just an Accident(英題)』(ジャファル・パナヒ監督)も無冠に終わり、「ノミネート数=受賞力」ではないという現実を改めて印象づけた。
▼最大の勝者:『ワン・バトル・アフター・アナザー』の安定感

『ワン・バトル・アフター・アナザー』は、当初の予想通り、映画部門(ミュージカル/コメディ)作品賞を含む計4冠を獲得。ポール・トーマス・アンダーソンは監督賞・脚本賞を受賞し、作品としての完成度と作家性の強さを改めて示した。
【動画】『ワン・バトル~』が映画部門(ミュージカル/コメディ)作品賞受賞!
【第83回ゴールデングローブ賞🏆】
— ハリウッド・リポーター ・ジャパン (@THRJapan) January 12, 2026
映画部門(ミュージカル/コメディ)で作品賞を受賞したのは、『ワン・バトル・アフター・アナザー』🔥
「この作品は一生に一度の、信じられないほど素晴らしい映画製作体験でした」#映画ワンバトルpic.twitter.com/NgdnOHB7HS
さらに重要だったのが、テヤナ・テイラーの助演女優賞受賞だ。ゴールデングローブ賞での受賞とスタンディングオベーションは、テイラーをオスカー助演女優賞レースの最前線へ押し上げた。今後の全米映画俳優組合賞、そしてアカデミー賞への流れを大きく左右するだろう。
▼非英語作品の躍進:『The Secret Agent(英題)』が快挙

今年のゴールデングローブ賞では、ブラジル映画『The Secret Agent(英題)』が快挙を達成した。外国語映画賞、映画部門(ドラマ)主演男優賞の2冠は、全米映画俳優組合賞で非英語作品が排除された流れとは対照的だ。
【動画】ブラジル人俳優ヴァグネル・モウラが主演男優賞(ドラマ)受賞!
【第83回ゴールデングローブ賞🏆】
— ハリウッド・リポーター ・ジャパン (@THRJapan) January 12, 2026
映画部門(ドラマ)の主演男優賞を受賞したのは、『The Secret Agent』のヴァグネル・モウラ!ブラジル人俳優として同部門初受賞という歴史的快挙を達成🇧🇷✨同作は記憶、記憶の欠如という世代を超えて受け継がれるトラウマを描いています。pic.twitter.com/J3mR604fb7
ヴァグネル・モウラの受賞は、ティモシー・シャラメやレオナルド・ディカプリオという本命候補がいるオスカー主演男優賞レースに、新たな緊張感をもたらした。
さらに、『The Secret Agent(英題)』は、昨年のカンヌで上位評価を受けた『It Was Just an Accident(英題)』と『センチメンタル・バリュー』を抑えてゴールデングローブ賞外国語映画賞に輝き、「オスカーにおいて国際長編映画賞だけでなく、作品賞候補にもなり得る」という認識を強めている。
▼インディーズ作品の一撃:ローズ・バーンとエヴァ・ヴィクター

今年のゴールデングローブ賞は、小規模インディーズ作品にとっても“人生を変える夜”だった。ローズ・バーン(『If I Had Legs I’d Kick You(原題)』)の主演女優賞(ミュージカル/コメディ)受賞は、作品の知名度を急速に押し上げ、アカデミー賞の俳優部門レースに食い込む流れを作った。
【動画】ローズ・バーンが主演女優賞(ミュージカル/コメディ)受賞!
【第83回ゴールデングローブ賞🏆】
— ハリウッド・リポーター ・ジャパン (@THRJapan) January 12, 2026
映画部門(ミュージカル/コメディ)で主演女優賞は、『If I Had Legs I’d Kick You』のローズ・バーン!
崖っぷちに立たされた母親を演じ、キャリア初のGG賞を受賞!「25日間、ほぼ予算もない状態で撮影した小さな作品でした」pic.twitter.com/HMc03C8LmO
そして、今年の授賞式で最も驚いた表情を浮かべていたのは、『ソーリー、ベイビー』で脚本・監督・主演を務めたエヴァ・ヴィクターだった。作品賞(ミュージカル/コメディ)発表の場で、プレゼンターのジュリア・ロバーツが突如ヴィクターの名を呼び、「私のヒーロー」「『ソーリー、ベイビー』をまだ観ていないなら絶対に観て」と絶賛。
『ソーリー、ベイビー』が、オスカー脚本賞ノミネートの瀬戸際にあることを考えれば、この“お金では買えない宣伝”がオスカー投票者に与える影響は計り知れない。
【動画】ジュリア・ロバーツ、『ソーリー、ベイビー』のエヴァ・ヴィクターに賛辞
Julia Roberts shouts out Eva Victor’s “Sorry, Baby” at the Golden Globes. pic.twitter.com/bw1yeVuoEy
— New York Magazine (@NYMag) January 12, 2026
▼アカデミー賞の行方を占う「大きな転換点」に

2026年のゴールデングローブ賞は単なる前哨戦を超え、オスカーの行方を占う大きな転換点となった。下馬評を覆して本命へと躍り出た『ハムネット』や、『ワン・バトル・アフター・アナザー』のように安定した強さを見せた作品がある一方で、存在感を放つインディーズ映画も目立つ。
さまざまなサプライズが起きた今回の結果によって、2026年のアカデミー賞の投票は大混戦が予想されるだろう。
※本記事は英語の記事(1)・(2)から抄訳・要約しました。編集/和田 萌

【関連記事】
- 第83回ゴールデングローブ賞(2026)受賞結果 ――『ワン・バトル・アフター・アナザー』が計4部門受賞で席巻
- 【ゴールデングローブ賞(2026)】ティモシー・シャラメ、念願の主演男優賞受賞 ――「パートナー」カイリー・ジェンナーへの言及も話題に
- 【ゴールデングローブ賞(2026)】オーウェン・クーパー、16歳で最年少受賞の快挙 ―― Netflixドラマ『アドレセンス』で脚光
- 【ゴールデングローブ賞(2026)】テヤナ・テイラー、助演女優賞受賞で感動スピーチ「私たちはどんな部屋にも属している」
- 【ゴールデングローブ賞(2026)】『鬼滅の刃』は受賞ならず ―― アニメ映画賞は『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』
- 【第83回ゴールデングローブ賞】スター16人のレッドカーペットルック|アイオウ・エディバリー、エル・ファニング、ジェニファー・ローレンスら
- ティモシー・シャラメ、ゴールデングローブ賞2026で注目の的に!―― 恋人カイリー・ジェンナーとの「公開キス」も
- 『ワン・バトル・アフター・アナザー』配信開始|興行成績・受賞動向・配信・Blu-ray購入ガイド
- ディズニーが第83回ゴールデングローブ賞で27ノミネート 『ズートピア2』『アバター』最新作ほか話題作が多数候補入り
