手塚治虫氏の「火の鳥」望郷編がアニメ化、別エンディングでディズニープラスでの配信と劇場公開が決定
手塚治虫氏がライフワークとしていたシリーズ漫画「火の鳥」の望郷編がアニメ化され、「火の鳥 エデンの宙」として9月13日からディズニープラスで配信、エンディングの異なる映画「火の鳥 エデンの花」が11月3日に劇場公開されることが決まった。
「火の鳥」は、地球と宇宙でさまざまな時代に生きる人々を壮大なスケールで描く13編の一大叙事詩。作品が発表された期間は34年に及び、未完のまま手塚氏が1989年に他界したため伝説の漫画とされている。これまで黎明編が78年に市川崑監督により実写映画化、86年に鳳凰編がアニメ映画化されるなど、多くのメディアで展開されてきた。
望郷編は、地球から遠く離れた辺境の星・エデン17に降り立った主人公ロミの、時空を超えた1300年にわたる愛と冒険の物語。アニメーション制作は「鉄コン筋クリート」(06)、「海獣の子供」(19)などで知られるSTUDIO4℃が手掛けた。
製作期間は7年に及び、西見祥示郎監督は「楽な仕事ではありませんでした。原作にあるキャラクターを疑似体現するような感じで作っていたような気がします。手塚先生の中では答えは一つかもしれませんが、見た人それぞれの解釈ができる作品だと思います」と解説。STUDIO4℃の田中栄子代表は、「時を駆けるSF冒険譚としても楽しんでほしいし、未来へ向けた人類への警告としても受け止めてほしい」と期待した。
ロミの声を担当したのは女優の宮沢りえ。「時を超え、今を生きる私たちに壮大なメッセージが舞い降ります。それを受け止め、ロミを演じるのは簡単ではなかったけれど、見てくださった方が今を生きていること、生きる先にある未来を感じてくださる作品になれば良いなあと思います」とメッセージを寄せた。
ほかにロミの恋人ジョージ役に窪塚洋介、ロミと出会う少年コム役に吉田帆乃華、宇宙をさまようよろず屋ズダーバン役にイッセー尾形の声優陣も発表。窪塚は、「ジョージは若気のいたりというか、勢い余ってこんなところまで来てしまったというキャラクター。20代のはつらつとした感じを意識して演じました」と振り返っている。
取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴⽊ 元