中尾彬さん心不全で急死、81歳、『極妻』『ゴジラ』シリーズなどでいぶし銀の存在感
映画『極道の妻たち』『ゴジラ』シリーズ、テレビドラマ「暴れん坊将軍」「GTO」などで知られる俳優の中尾彬さんが16日、心不全のため都内の自宅で死去した。81歳だった。22日、所属事務所が公式サイトで発表した。
葬儀・告別式は故人、遺族の意向により近親者のみで執り行った。お別れの会などは予定していない。時代劇では悪代官や悪徳商、現代劇ではやくざや犯罪者役でいぶし銀の存在感を放った。2010年以降はワイドショーのコメンテイター、バラエティ番組でも活躍した。
妻で俳優の池波志乃とは芸能界きってのおしどり夫婦として有名。池波は同サイトで「今年に入って足腰が悪く体力も落ちて、医師の訪問を受けながら本人の意思により、自宅でゆっくり休んでおりました。時には取材や、足腰をかばっての仕事もやらせていただき、本人は元気で12月の旅行に向けて頑張ってリハビリをしていたくらいでしたが、15日に容態が急変し16日の夜中に自宅で私と2人の時に、とても穏やかに本当に眠るように息を引き取りました。あまりに急で、変わらない顔で逝ってしまったので、まだ志乃~と呼ばれそうな気がします」と急死だったことを報告。「かないますならば、中尾彬らしいね~と笑って送ってあげてくだされば幸いです」と悲しみを押し殺し気丈にコメントした。
中尾さんは1942年、千葉県生まれ。61年、日活の第5期ニューフェイスに合格。63年に劇団民芸の研究生となり、翌64年『月曜日のユカ』で浅丘ルリ子の相手役を務めて注目された。70年にフリーとなり、テレビにも進出。75年に自ら企画を持ち込んだ映画『本陣殺人事件』に金田一耕助役で主演。78年スタートのテレビ朝日「暴れん坊将軍」の初代徳川宗春役で人気を得た。
その後、山下耕作監督の『極道の妻たち 最後の戦い』(90)、伊丹十三監督の『ミンボーの女』(92)、北野武監督の『アウトレイジビヨンド』(12)などで、さまざまなやくざの組長・幹部を演じ異彩を放った。『ゴジラ』シリーズでは、ゴジラ対策チームGフォースの司令長官役などで強い印象を残した。
バラエティ番組では軽妙なトークが話題となり、得意だった料理の腕前を披露することも。マフラーやスカーフを首元からグルグル巻きにする、池波命名の「ねじねじ」も有名で多い時には約400本を所有していた。
取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元