黒沢清監督、新作『Cloud クラウド』の主演・菅田将暉を絶賛「彼の存在はこの映画に不可欠」

Kiyoshi Kurosawa on the set of 'Cloud'
黒沢清監督、映画『Cloud クラウド』撮影現場にて 写真: Courtesy of Nikkatsu
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黒沢清監督が6日、釜山国際映画祭でマスタークラスを行い、最新作『Cloud クラウド』における試みや主演・菅田将暉の演技について語った。

黒沢監督は同映画祭で、アジアの映画産業と文化の発展に貢献した人物や組織に贈られる「アジア・フィルム・メーカー・オブ・ザ・イヤー」を受賞。マスタークラスでは、『Cloud クラウド』について「70年代に観たアメリカのアクション映画を、現代の日本の物語に変えられないかと考えた」と明かし、「必死に生きようとしている普通の人々が、生死を賭けた極限状況に追い込まれていく物語を作りたかった」と意図を語った。

また黒沢監督は、ネットの“転売ヤー”の主人公が予想外の出来事に巻き込まれていく姿を描いた本作は、“クールなアクション映画”ではないと言及。派手なアクションシーンは含まれていない一方で、デジタルコミュニケーションの不気味な現実を反映する心理的苦痛を繊細なビジュアルで表現し、資本主義社会における倫理の問題を提起している。

独特な語り口と美的センスを持ち合わせた『Cloud クラウド』。黒沢監督によると、主人公・吉井に扮する菅田将暉には、キャラクターについて詳しく説明しなかったという。「菅田さんは、僕が捉えようとしているものを一瞬で理解してくれました。そして、彼が役を演じた後に初めて、僕はキャラクターをより完全に理解し始めたのです。感動的な瞬間がたくさんあり、彼の存在はこの映画に不可欠でした」

そして、映画の前半で主人公の恋人・秋子が「もしたくさんお金があったら、買いたいものがたくさんある」と言ったのに対し、吉井が「そうだね」と答えるシーンを例に挙げ、以下のように明かした。

「脚本は、吉井がその場面をどう演じるか、セリフをどのように言うかについて何も書いていませんでした。菅田さんからも特に質問はなく、彼は自分が理解したようにキャラクターを演じたのです。彼の返事には、真摯さと戸惑いの間を漂うニュアンスが感じられました。彼がその場面を演じるのを見たとき、私はこれが吉井なのだと理解しました」

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。翻訳/和田 萌

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