映画『スター・ウォーズ』、レイをめぐる競争とフランチャイズの未来
今後のスター・ウォーズ映画で最も切望されている武器は、レイ・スカイウォーカーというキャラクターだ。
11月7日、サイモン・キンバーグがルーカスフィルムとディズニーのためにスター・ウォーズ 新3部作の開発・脚本・製作にサインしたことが明らかになった。新3部作が、これまでの映画の続編となるのか、キャラクターたちが再登場するのかどうかに、ファンの議論が集中している。
一部のファンは、ルーカスフィルムが2019年の『 スター・ウォーズ エピソード9/スカイウォーカーの夜明け』で完結するとされていたスカイウォーカーの物語を構成する9本の映画を超える、いわゆる「エピソード」を作るために井戸に戻ることに批判を表明している。同作は全世界で10億7700万ドルの興行収入を記録したが、多くのファン層からはあまり良い評価を得られなかった(シネマスコアによる観客からの評価はB+、ロッテン・トマトによる批評家の評価は51%)。
過去3作のエピソードでデイジー・リドリーが演じた、廃品回収業者からジェダイに転身したレイは、フランチャイズの次の展開の鍵を握るのは間違いないだろう。
キンバーグの新3部作のストーリー開発は、シャーミーン・オベイド=チノイ監督が進めているレイの単独映画と衝突する可能性がある。リドリー主演のレイ映画は、2023年4月、ロンドンで開催されたスター・ウォーズ・セレブレーションでファンファーレとともに明かされた。しかし、脚本家が入れ替わり続けており、新たな脚本家探しが未だ進行中である。
おそらくこの停滞している状況が、ルーカスフィルムがキンバーグの新三部作のピッチを受け入れた理由だろう。レイを前進させるためなら何でもする気概が垣間見える。しかし、スター・ウォーズのアンダーグラウンドでは、映画製作者たちがキャラクターをめぐって争っているという噂がある。
内部関係者は、レイの争奪戦があるという考えに異論を唱えているが、スカイウォーカーの後継者を次にどうするかについて、ルーカスフィルム内部で検討されているのは間違いない。
「彼女は、スター・ウォーズが 今持っている最も貴重な映画的資産であり、ある意味では唯一の資産かもしれない」と、フランチャイズに近いある関係者は米ハリウッド・リポーターに語った。
情報筋によると、レイは開発中の映画のうち複数で役割を担うことになっているが、どの映画かはまだ不明だという。
ルーカスフィルムの監督の中には、他の監督が『スター・ウォーズ』取り組んでいることを把握している者もいれば、そうでない者もいるらしい。「開発のやり方が違うんです」と、同社の仕事のやり方に詳しい別の関係者は言う。「多くの並行作業が行われている」
それはまた、『スター・ウォーズ』のユニークな性質を指し示している。ファンにとって、そしてこの場合、映画製作者やプロデューサーにとって、『スター・ウォーズ』はブランドでもフランチャイズでもなく、宗教のようなものなのだ。
マーベルやDC、あるいは7冊の本から構成された『ハリー・ポッター』とは異なり、『スター・ウォーズ』の核心はジョージ・ルーカスのオリジナル映画である。そして現代において、この3作品以上に体系化され、正統化されたものはない。映画製作者や経営陣にとって、最初の3部作は”旧約聖書”なのだ。
「独立した映画を作るか、どんな形であれスカイウォーカー・サーガを続けるかは、会社が前進しようとするときに直面する根本的な問題です」とある関係者は付け加えた。
※本記事はオリジナル記事から抄訳・要約しました。翻訳/山中 彩果
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