デヴィッド・リンチに脚本賞を授与、WGA西部支部

逝去後に米国脚本家組合西部支部の脚本賞を受賞したデヴィッド・リンチ監督  VITTORIO ZUNINO CELOTTO/GETTY IMAGES
逝去後に米国脚本家組合西部支部の脚本賞を受賞したデヴィッド・リンチ監督  VITTORIO ZUNINO CELOTTO/GETTY IMAGES
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デヴィッド・リンチは生前、全米脚本家組合(WGA)賞に2度ノミネートされたものの、一度も受賞することはなかった。しかし、亡くなる数週間前に遂に本賞を受け取っていたことが明らかになった。

2025年の授賞式において、全米脚本家組合西部支部(WGA West)は、『マルホランド・ドライブ』や『ブルーベルベット』の脚本・監督を手掛けたリンチに、生涯功労賞である「ローレル賞(Laurel Award for Screenwriting Achievement)」を死後授与すると発表した。この賞は、「映画文学の発展に寄与し、脚本家という職業に多大な貢献をした」組合員を称えるものだ。過去にはチャーリー・カウフマン、ナンシー・マイヤーズ、バド・シュルバーグなどが受賞している。

授賞式は2月15日に行われ、『ツイン・ピークス』や『ブルーベルベット』でリンチと頻繁にコラボしてきた俳優カイル・マクラクランが賞を授与する。全米脚本家組合(WGA)によると、リンチは生前の2024年末、この賞を受け取ることができたという。

「脚本家兼監督のデヴィッド・リンチは、その妥協のないビジョンで映画製作の限界を越えてきた。彼とその遺産を称えることができるのを誇りに思う」と、WGA West会長のメレディス・スティームは声明で述べた。

リンチはキャリアの初期から、自身の作品の大半を脚本または共同脚本しており、彼の作品は独特で非現実的な作風で知られている。ペンシルべニア美術アカデミーで学んだ後、AFI(アメリカ映画協会)在学中に自身の出世作『イレイザーヘッド』(1977)の脚本と監督を手掛けた。しかし、ハリウッドで注目を集めたのは、1980年の『エレファント・マン』だった。アンソニー・ホプキンス主演の本作はアカデミー賞8部門にノミネートされ、作品賞、監督賞、脚色賞などに名を連ねた。

1984年、彼はマクラクラン主演の大手スタジオ作品『デューン/砂の惑星』に挑戦したが、批評家から酷評され、興行的にも失敗。これに大きな失望を感じたリンチは、よりダークで実験的な作品へと舵を切ることになり、その結果、『ブルーベルベット』(1986)、『ワイルド・アット・ハート』(1990)、『ロスト・ハイウェイ』(1997)、『マルホランド・ドライブ』(2001)、『インランド・エンパイア』(2006)などの代表作が生まれた。彼は『エレファント・マン』と『ブルーベルベット』でWGA賞にノミネートされたが、受賞には至らなかった。

デヴィット・リンチといえば、後の作品に多大な影響を与えたテレビシリーズ『ツイン・ピークス』でも記憶されることだろう。1990年、ABCで放送された第1シーズンは、ローラ・パーマーを殺したのは誰か?というミステリーで多くの視聴者を魅了した。共同クリエイターのマーク・フロストとともに手掛けた本作は社会現象となったが、第2シーズンは物議を醸し、リンチ自身の関与も限定的だった。しかし彼は1992年に映画『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』でこの世界に戻り、ロバート・エンゲルスと共同脚本を務めた本作は、後にカルト的な人気を博した。

2017年には、米SHOWTIME限定シリーズ『ツイン・ピークス The Return』で再びツイン・ピークスの世界に戻り、さらに今までの彼の作風とは異なる現実的な展開で視聴者の予想を覆し、その年のベストテレビシリーズのリストに名を連ねた。2023年8月、リンチは肺気腫を患っていることを公表、自宅での闘病生活を余儀なくされており、新たな長編映画の監督が困難な状況であることを明かしていた。

全米脚本家組合賞の授賞式は、2月15日午後4時30分(PT)より、ロサンゼルスのビバリー・ヒルトン・ホテルで開催され、公式サイトでライブ配信される予定だ。

※本記事は抄訳・要約です。オリジナル記事はこちら

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