ハリウッド、授賞式中止の危機と反対の声「スタイリストたちの生活がかかっている」
ロサンゼルスの山火事により、ハリウッドで毎年行われるアカデミー賞やその他の授賞式の中止を求める声が上がっている。しかし、スターたちを陰で支えるスタイリストやメイクアップにとって、アワードシーズンは生活がかかっている。
今日、ロサンゼルス郡の大部分が山火事で壊滅的な被害を受ける中、ジーン・スマートやスティーヴン・キングなどが提案するように、豪華な授賞式を見直すべき、あるいは完全に中止すべきだという声が再び上がっている。スターたちは、季節恒例のレッドカーペットでの華やかな装いが、配慮に欠けるのではないかと懸念している。1月の山火事では少なくとも28人が命を落とし、約15万人が避難を強いられ、60平方マイルにわたって1万6000以上の建造物が破壊された中、どのように着飾るべきかと悩む声も理解できる。複数の授賞式が延期され(クリティック・チョイス・アワードは2度)、多くの映画プレミアも中止された。
しかし、中止によって起こる弊害も存在する。レッドカーペットを取りやめるという要請は、通常3ヶ月間のアワードシーズン中に開催される数十のイベントのためにスターたちを準備するスタイリストやメイクアップのワーカーたちの生活を脅かすことになる。弱い立場にある人々との連帯を示すのが目的なら、彼らの収入源を断つのは間違った方法だと、専門家たちは主張する。
スタイリストのケリー・アーバンは「私たちは既に(2024年のSAG-AFTRAストライキで)多くを耐えてきました」と米『ハリウッド・リポーター』に語った。「撮影が6ヶ月間なかったため、私たちはストライキの巻き添えを食ったのです。加えてこれ(アワードシーズンの中止)は酷すぎます。私たちは養うべき家族を抱えた、ただの労働者階級なんです」
主演女優賞候補、『エミリア・ペレス』のカーラ・ソフィア・ガスコンは、業界で働く多くの人が、災害が起きると経済的な困難を経験すると語る。「コロナが起きた時、私たちはどうにか適応しました。そして去年、ストライキがあり個人的にも財政的な打撃を受けました。今回の件では、一緒に仕事をしている友人たちが火災で家を失ったのです。そんな彼らの状況をさらに悪化させるべきではないと思います」と山火事の被害があった今だからこそ授賞式を行うべきだと主張した。
授賞式をサポートする地元企業も同様に、ハリウッドのアワードシーズンを抑制することの適切性について複雑な思いを抱いている。「このような危機的な時期には、イベントを中止するかどうかが業界の心に重くのしかかります」と、ビバリーヒルズのジュエリーブランド、マーティン・カッツのペリ・エレン・バーンは語る。「ロサンゼルスの様々なコミュニティで最近の火災の影響を受けた人々について立ち止まって考えることは重要です。しかし、それと同時に、地域経済を滞らせないために、業界のクリエイティブたちを雇用し続けることがいかに重要かを認識することも大切です」
多くのアワードシーズンのイベントが中止の危機にある中、ハリウッドのスタイリストたちは、議論の中で自分たちが置き去りにされないことを願っている。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。編集/山口 京香
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