パラマウント、トランプ氏との『60ミニッツ』訴訟で反撃開始か
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2025年1月、パラマウント・グローバルが、CBSニュースを相手取ったトランプ氏の訴訟について和解を検討していると報じられた。トランプ氏は、CBSの番組『60ミニッツ』がカマラ・ハリス前副大統領のインタビューを編集し、その内容がハリス氏に有利なものになったと主張し、訴えた。
この動きは、スカイダンス・メディアとの合併に向けた規制当局の承認を求める中で、同社が政権に屈したとの印象を与え、大きな波紋を呼んだ。
しかし、1カ月が経過しても和解は成立せず、むしろパラマウントは攻勢に転じ、トランプ氏が裁判官選びをしていると主張するなど、多面的な法的戦略を展開している。さらに、トランプ氏がパラマウントのサービス利用時に仲裁条項に同意していた可能性や、彼の財務情報開示の必要性も指摘している。
■ 訴訟の影響
この訴訟は、メディア企業がトランプ氏の標的となることを避けるために、根拠の薄い訴訟でも和解に応じる可能性があることを示している。
仮にパラマウントが和解すれば、CBSニュースによるカマラ・ハリス前副大統領のインタビュー編集に問題があったと認めたと受け取られる恐れがあり、最悪の場合、政権への賄賂と解釈される可能性もある。
トランプ氏はCBSニュースに限らず、他のメディアにも攻撃を仕掛けている。ABCニュースは、ジョージ・ステファノプロス氏の報道に関する名誉毀損訴訟で、トランプ氏の財団または博物館に1,500万ドルを拠出することで和解した。また、MetaやXも、彼のSNSアカウント停止に関する訴訟を和解で解決している。
■ 法的戦略と裁判の舞台
トランプ氏とパラマウント・グローバルは、この訴訟について対立した見解を持っている。トランプ氏は、CBSニュースがハリス前副大統領のインタビューを編集し、視聴者を誤解させたとして、テキサス州の消費者保護法やランハム法に違反すると主張している。一方、CBSは報道の編集は憲法で保護された言論の自由にあたると反論している。
この訴訟の争点の一つは、審理をどの裁判所で行うかだ。トランプ氏側は、訴訟をテキサス州北部地区連邦裁判所で継続するために、同州の共和党下院議員ロニー・ジャクソン氏を訴状に追加した。この裁判所は保守派に有利な判決が出やすいとされ、担当判事もトランプ政権時に任命された人物だ。
トランプ氏の弁護士は、ジャクソン氏がテキサス北部地区の代表であり、トランプ氏のメディア事業もテキサスで利益を得ているため、この州での審理が適切だと主張している。しかし、CBSは同州で法人登録されておらず、『60ミニッツ』の放送は全米向けであり、特定の州を狙ったものではないため、テキサスでの審理は不当だと反論している。
パラマウント側の弁護士も、インタビューはテキサス州外で撮影・編集されており、原告側もテキサスで視聴したとは主張していないと指摘。全米放送のメディアが単に人口の多い州で訴えられるのは不当な負担であると述べた。
また、パラマウントは訴訟を仲裁に移す可能性も示唆している。トランプ氏やジャクソン議員がCBSのサービス利用時に仲裁条項に同意していた可能性があるかどうかを調査し、今後の証拠開示手続きの結果次第で対応を決める方針だ。
■今後の見通し
トランプ氏の訴訟が仲裁の対象となるかは不明だが、Paramount+やCBS.comの利用規約には、サービスに関連する紛争は個別の仲裁または少額訴訟裁判所で解決するとの条項が含まれている。昨年、ディズニーが同様の仲裁条項を根拠に訴訟の棄却を求めた例があるが、裁判所がトランプ氏の主張をこの範囲外と判断する可能性もある。
また、パラマウントは証拠開示の一環として、トランプ氏の2024年大統領選挙キャンペーンやトランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループの財務情報を求めている。一部の文書は大統領特権の対象となる可能性があるが、訴訟の行方に影響を与える要素となる。陪審員裁判は2026年に開始予定だ。
CBSは『60ミニッツ』のインタビューの完全な書き起こしと映像を公開し、編集が意図的に誤解を招くものではなかったと主張。ニュース報道では明瞭性のために編集が行われるのは通常の慣行であり、視聴者にとって最も有益な情報を提供することを目的としていると述べた。
今回の訴訟は、メディア企業の編集権と報道の自由、さらに政治的背景が交錯する複雑な問題を抱えている。パラマウントとCBSは、訴訟の進行にあたり、積極的に法的戦略を展開しており、最終的な結果がどのように出るかは今後の証拠開示や裁判所の判断にかかっている。
※この記事は要約・抄訳です。オリジナル記事はこちら。
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