ロバート・デ・ニーロとカンヌの歴史 — 『キング・オブ・コメディ』から40年

ロバート・デ・ニーロが、2025年のカンヌ国際映画祭で名誉パルム・ドールを受賞する。デ・ニーロとカンヌとの関係は長く、1983年にはマーティン・スコセッシ監督、ジェリー・ルイスと共に映画『キング・オブ・コメディ』をカンヌに持ち込んでいる。本作は、デ・ニーロが『レイジング・ブル』(1980年米)でアカデミー主演男優賞を受賞した直後に撮影された5作目のスコセッシ作品である。
『キング・オブ・コメディ』は、売れないコメディアンのルパート・パプキン(デ・ニーロ)が憧れの深夜番組司会者ジェリー・ラングフォード(ルイス)に執着するブラックコメディである。脚本は元『ニューズウィーク』の映画評論家ポール・D・ジマーマンが手がけ、執筆から10年以上を経て映画化された。当初、監督には『天国の門』で知られるマイケル・チミノが予定されていたが、スケジュールの都合で降板。スコセッシが引き継ぐこととなった。
撮影期間中、スコセッシは健康を害していた。連続して映画を撮影していたことから、過労と肺炎で入院していたが、新人プロデューサーのアーノン・ミルチャンが監督組合のストライキを回避するため、撮影開始を1か月前倒しした。スコセッシは後年のインタビューで、「特にパプキンがラングフォードの自宅に押しかけるシーンは2週間もかかり、精神的に非常に辛い撮影だった」と振り返っている。
20世紀フォックスは1983年2月13日に『キング・オブ・コメディ』を米国で劇場公開した。米『ハリウッド・リポーター』誌のレビューでは「関係者全員の大きな功績である」と評価されたが、興行収入は250万ドル(現在の価値で840万ドル)と振るわなかった。スコセッシは、「アメリカの観客は本作を理解できず、デ・ニーロをマネキンのように見た」と語るが、「デ・ニーロの最高の演技だと感じた」とも述べている。
デ・ニーロはその後、2011年にカンヌ映画祭の審査委員長も務めている。
※この記事は要約・抄訳です。オリジナル記事はこちら。
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