アカデミー賞2023開催目前!! 今年の受賞者を専門家が大予想 気になる作品賞、俳優賞の行方は…?

写真: ©Studios

まもなく世界最大の映画の祭典、第95回アカデミー賞が開催される。今年の受賞者の行方を米THRきっての“アワード・エキスパート”ことスコット・ファインバーグ氏と、映画評論チーフのデヴィッド・ルーニー氏が大予想。

作品賞

受賞が予想される作品: 『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス

ファインバーグ: A24配給の『エブエブ』は、これまでクリティクス・チョイス・アワードなど数々の映画賞を席巻してきた。一方で、作品の評価は賛否両論なので、アカデミーが好まない可能性がある。もしかしたら、英国アカデミー賞をかっさらったドイツ映画『西部戦線異状なし』か、批評家からも絶賛された大ヒット作『トップガン マーヴェリック』がどんでん返しを起こすかも?

受賞すべき作品: イニシェリン島の精霊

ルーニー: 私は、「イニシェリン島~」に一番心がときめく。人間の本性をえぐるマーティン・マクドナー監督の新作は、役者陣のキャラクター描写がとにかく優れている。その他、『TAR/ター』も受賞にふさわしい作品だ。

監督賞

受賞が予想される人: ダニエルズ 『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

ファインバーグ: トッド・フィールド(「TAR」)、マーティン・マクドナー、ゴールデングローブ賞(以下、GG賞)を受賞したスティーヴン・スピルバーグ(『フェイブルマンズ』)には一定の支持層がいる。しかし、今年の全米監督協会賞を獲得した「エブエブ」のダニエルズが濃厚だ。

受賞すべき人: トッド・フィールド 『TAR/ター』

ルーニー: 1人に絞るのが難しい。傲慢な主人公“ター”に観客を引きつけるフィールドの職人技か?優れた台詞回しで確かな名人芸を見せつけたマクドナーか?それとも、摩訶不思議なユニバースを作り上げたダニエルズか?いや、フィールドが先導者だろう。

主演男優賞

受賞が予想される人: オースティン・バトラーエルヴィス

ファインバーグ: 可能性があるのは、御年73歳のビル・ナイ(『生きる LIVING』)、GG賞を受賞したコリン・ファレル、GG&SAG賞に輝いたブレンダン・フレイザー(『ザ・ホエール』)、『エルヴィス』の新星オースティン・バトラーの4人。バトラーは、GG賞と英国アカデミー賞を獲得している。

受賞すべき人: コリン・ファレル 『イニシェリン島の精霊』

ルーニー: 親友に突然絶交を宣言される農夫を演じたファレルに一票。一方で、アカデミーが『aftersun/アフターサン』のポール・メスカルにスポットライトを当てた点は素晴らしい。キャリアの集大成とも言うべき演技を見せたナイや、フレイザーなど実力派の中でもバトラーは大物俳優への第一歩を踏み出している。

主演女優賞

受賞が予想される人: ケイト・ブランシェット『TAR/ター』

ファインバーグ: SAG賞とスピリット賞に輝いたミシェル・ヨーと、英国アカデミー賞とクリティックスチョイスを獲得したブランシェットの一騎打ちになる。これまでオスカー受賞歴がないヨー、そして2回の受賞歴があるブランシェット。もしヨーが受賞すれば歴史的な瞬間となるが、ブランシェットの壁は大きい。

受賞すべき人: ケイト・ブランシェット『TAR/ター』

ルーニー: ブランシェットが演じた強烈な“リディア・ター”は、彼女のキャリアにおいて新境地を開拓した。まさに比類なき演技である。とは言え、ヨーが受賞する姿を見たい気持ちも。そして“奇跡のノミネート候補”、アンドレア・ライズボローは定石にニュアンスをもたらす存在だが、映画自体の魅力が薄れることはない。

助演男優賞

受賞が予想される人: キー・ホイ・クァン 『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

ファインバーグ: 今年のアワードで最も必然的な結果は、キー・ホイ・クァンの助演男優賞だ。コミカルで心を打つキャラクターを演じ切っただけでなく、クァン自身の映画界へのカムバッグやチャーミングな人柄も理由の1つ。すでに、SAG・クリティックスチョイス・GGの3つを獲得している。これまで逃したのは、「イニシェリン」のバリー・コーガンが受賞を果たした英国アカデミー賞のみだった。

受賞すべき人: キー・ホイ・クァン 『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

ルーニー: クァンを応援しない理由はない。子役のキャリアから数十年を経て、今作への華麗なる復帰を果たした事実は、決して無視できるものではない。

助演女優賞

受賞が予想される人: ジェイミー・リー・カーティス 『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

ファインバーグ: 以前は、マーベル作品『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』のアンジェラ・バセットが濃厚だった。しかし、マーベル系の映画はアカデミーの投票を得にくい傾向がある。どうやら、英国アカデミー賞を獲得したケリー・コンドン(「イニシェリン~」)か、カーティスの戦いになりそうだ。有利なのは、ハリウッド業界の“ロイヤルブラッド”こと、カーティスか。

受賞すべき人: アンジェラ・バセット『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』

ルーニー: スピリチュアルな世界に慰めを見出す、深い悲しみを抱えた女王を演じたバセット。その存在感は疑いようがなく、スクリーンの中で常に輝きを放っていた。もし大波乱が起こるなら、非常にスマートな演技をしたコンドンの受賞も見てみたい。

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