アカデミー賞主演男優賞受賞俳優、ブレンダン・フレイザー来日
『ザ・ホエール』(4月7日公開)で第95回アカデミー賞主演男優賞を受賞した米俳優ブレンダン・フレイザーが6日、都内のホテルで来日会見を行った。来日は2008年『ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝』以来15年ぶり。「こうして皆さんと直接お会いできる機会ができて、本当にうれしく思う」と満面の笑みを浮かべた。
アカデミー賞から間もなく1カ月がたとうとしているが「いまだに自分のことであったのかという驚きの状況が続いている」と吐露。その上で「僕自身は大きなことを達成したが、(主演男優賞の)候補者は皆才能にあふれ素晴らしい演技をしている。だから僕は、オスカー像を皆で分かち合ったつもりでいる」と謙虚に話した。
フレイザーは「ハムナプトラ」シリーズなどでスターの地位を確立したが、その後体調の悪化や離婚などで心身のバランスを崩した。ゴールデングローブ賞を主催するハリウッド外国人記者協会の元会長からセクシャルハラスメントを受けていたことを告発したトラブルなどもあり長く表舞台から遠ざかっていたが『ザ・ホエール』で見事な復活を遂げた。
同作は、肥満症で自らの死期を悟ったチャーリーが疎遠になっていた娘との絆を取り戻そうとする物語。1シチュエーションの密室劇で、体重272キロの男を演じるに当たり、連日45キロのファットスーツを着込み4時間にわたる特殊メークで撮影に臨んだ。「ダーレン・アロノフスキー監督は途轍もない要求をしてくる人で、最初は脅威を感じた。その高い要求に応えるため、1人の人間、俳優として忠実に演じ全てを注ぎ込んだ。監督と旅ができて人生が変わったし、仕事ができたことは光栄だった」と振り返った。
さらに「自分の人生の中ではリスキーなことはしないが、映画ではクリエイティブな形のリスクは取るべき。居心地も悪かったが、不安があるから一番大きな成長が望めるものだ」と強調。そして「チャーリーのことが大好きで、友達になりたいと思った。彼が失われたものを再び手に入れようとする希望、共感、愛を描いた、皆さんをいやす可能性のある秀逸な作品です」と自信のほどを語った。また「ハムナプトラ3」で共演し共に来日したミシェル・ヨーが『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』でアジア人として初めて主演女優賞を受賞。授賞式で久しぶりに再会し「彼女は才能にあふれ、物凄い勇気の持ち主。意義深い再会だった。キー・ホイ・クァンと再会できたこともうれしかったね」と声を弾ませた。
取材/原稿:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木 元