カンヌ国際映画祭 2023: ウェス・アンダーソン最新作『アステロイド・シティ』のスカーレット・ヨハンソン、ブライアン・クランストンが監督独自のスタイルを語る

(左から)マヤ・ホーク、スティーヴ・カレル、ルパート・フレンド、スティーヴ・パーク、ジェイソン・シュワルツマン、ジェフリー・ライト、ウェス・アンダーソン監督、スカーレット・ヨハンソン、ブライアン・クランストン、マット・ディロン、ジェイク・ライアン 2023年、カンヌにて 写真: ©PASCAL LE SEGRETAIN/GETTY IMAGES

現在開催中のカンヌ国際映画祭で、ウェス・アンダーソン監督最新作『アステロイド・シティ』のレッドカーペット・プレミアと記者会見が行われた。会見にはアンダーソン監督に加え、スカーレット・ヨハンソンジェイソン・シュワルツマン、ブライアン・クランストン、スティーヴン・パーク、マヤ・ホーク、ルパート・フレンド、ジェフリー・ライトらキャスト陣が登壇した。

同作は、1950年代を舞台に小さな砂漠の町で開催される天文観測大会に訪れた親子たちが、地球外生命体と遭遇するという物語。映画はスタイルや斬新さに比重が置かれているが、批評家からは物語的な奥深さの欠如を指摘されている。アンダーソン監督とキャスト陣は軽快な様子で、作品や特徴的な手法について語った。

1950年代の映画スター、ミッジ役を演じたヨハンソンは、監督の独特なコミュニケーション方法を振り返った。「防音スタジオに立ち、トレーラーの中で休憩時間を過ごす、というのは中々ないプロセスです。まるで舞台で演じているかのように生き生きとした感覚です」

ライトはアンダーソン監督の“素晴らしい効率の良さ”を称賛。事前にすべてのショットが細かく計算され、監督は自作の“アニメーション”でストーリーボードを作成していると明かした。アニメーションのキャラクターの声は、すべて監督自ら担当しているそうだ。

戦場カメラマンの妻を亡くしたオーギー役のシュワルツマンにとって、アンダーソン監督の好奇心は自身のキャリアを支える推進力だという。

「『天才マックスの世界』(1998)の現場でアンダーソン監督と対面したとき、私は17歳でした。家族以外で、20歳以上の人で、私に質問をし、答えに耳を傾け、何に興味があるのか知りたがってくれた人は、ウェスが初めてだったんです。だからこそ、私たちはみんなここにいるのだと思います。なぜなら、ウェスは好奇心を持って私たちのことを知ろうとしてくれて、自分すら知らなかった姿を私たちの中に見出してくれるのです」

今作でドラマ『プレイハウス90』風のテレビ司会者に扮したクランストンは、その複雑な入れ子式のプロットを説明してみせた。「舞台を取材するテレビ番組についての映画です。パフォーマンスアートに宛てたウェスのラブレターになっているのではないでしょうか。私たちが携わっている3大メディアをすべて包み込んでいます」そこで言葉を切ったクランストンは、役目は果たしたとばかりに立ち上がって、部屋から退場するそぶりを見せた。

またクランストンは、俳優としてはウェス・アンダーソンの世界に生きるのみだと語った。

「ウェス・アンダーソンは、オーケストラの指揮者みたいな感じですね。私たち俳優は、それぞれの楽器の演奏者なんです。とにかく自分の楽器に集中し、どんな風に調和するか知らないまま演奏するんです。ウェスは、演奏中に調整を加えながら指揮していきます。劇中で、オーギーが監督に“自分は演劇を理解していない”と言うシーンがあります。そしたら監督が“別にいいんだよ。ただ物語を語ってくれ”と返します。端的に言えば、これこそ私にとって今作が意味するものなんです。私たちは人生を歩んでいます。何が起こるか、何年生きられるか、どんな人と出会うか、どんな人生になるかも分からない。ただ物語を語るのみです。前に進み続け、物語の語り手となるのです」

※今記事は要約・抄訳です。オリジナル記事はこちら

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