柳楽優弥、北米最大の日本映画祭「第16回JAPAN CUTS~ジャパン・カッツ~」にて受賞!

嬉しいニュースが入ってきた。柳楽優弥が映画『ターコイズの空の下で』での演技を評価され、7月26日~8月6日に米・ニューヨークで開催されている日本新作映画祭「ジャパン・カッツ」で日本映画界へ著しく貢献した監督や俳優の功績を称える『カット・アバブ賞(CUT ABOVE Award for Outstanding Achievement in Film)』を受賞した。

KENTARO監督の指揮のもと、モンゴルを舞台に制作された本作は既に「マンハイム・ハイデルベルク国際映画祭」でFIPRESCI賞と才能賞の二冠、「カメリマージュ映像美術国際映画祭」にも公式出品した。日本人青年のタケシは柳楽にとって挑戦的な役柄だったそうだが、ここにきて新たなトロフィの獲得となった。

その柳楽とKENTAROをハリウッドリポータージャパンが独占キャッチ。受賞の興奮も冷めやらぬであろう、ふたりに話を聞いた。

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――まずは『カット・アバブ賞』を受賞した今の心境をお聞かせください。

柳楽優弥(以下、柳楽):「ジャパンカッツ」には初めていくのですが、今回受賞した賞を過去に樹木希林さんやリリーフランキーさんなど、尊敬している方々が受賞していることを知って。同賞をもらえるのはとても名誉なことだと感じています。また、僕自身、ニューヨークが好きなので、今回の渡米をとても楽しみにしていました。

KENTARO:この賞は日本映画界に貢献している監督や俳優の功績を讃える『カット・アバブ賞』は、過去に渡辺謙さんや役所広司さんも受賞されています。キャリアが評価されたということでもあり、もしかしたら彼が最年少受賞かもしれませんね。

柳楽:主演男優賞ではなく、そのような評価をいただけるのも嬉しいですね。

――受賞の意義についてはどう思われますか。

KENTARO:色々な映画があるなかで、アメリカの権威ある日本交流団体から認められることは大変光栄です。あとは、ニューヨーカーをはじめアメリカ人がどう観るか。面白いリアクションがあるはずだと期待しています。アート界隈や文化人の反応も気になるところですね。本当に彼を誇りに思いますよ。

――『ターコイズの空の下で』は「ジャパン・カッツ」史上初の2日間の上映、そして開催前から両日ともに完売だったとか。

KENTARO:嬉しいですね。こういう機会をいただけることは大変有り難いことです。

柳楽:KENTAROさんと出会えたことで、映画に関わる人間としてのアイデンティティが確立していった気がするんです。撮影中のモンゴルでの日々でも、チンギス・ハーンの歴史を現地の方に教えてもらったりしました。モンゴルで出会った方々は、自国の歴史や文化を愛していて、自分もそうじゃないといけないなと。その結果として今回の受賞という形になり、その式に監督と一緒に参加できたことに感謝しています。

KENTARO:とてもきれいな表現。アイデンティティを分からないまま生きている人も多いなかで、それをはっきりと言えることが素晴らしいし、幸運なことだと思います。彼のこれからのキャリアが楽しみです。

――今回の受賞をきっかけに日本だけでなく、世界的に活動する俳優として踏み出すきっかけになりそうですね。

KENTARO:そうですね。今回が柳楽君にとって、世界に羽ばたくきっかけになればいいなと思いますね。

柳楽:貴重な機会をいただいたので、ぜひ世界で花を咲かせたいです。

KENTARO:個人的な意見ですが、今はインターネットやSNSで有名になれる時代だから「ムービー・スター」という言葉が使われなくなりましたね。だからこそ柳楽優弥には世界の「ムービー・スター」になってほしい。僕は君をそういう風に見せたいという気持ちがある。

柳楽:KENTAROさんは言語も堪能、アートや音楽など文化的なことも詳しいんですよ。どの国に行っても現地の人と会話できるし、モンゴルではいきなり馬に乗れる(笑)。そんな人としての存在価値を挙げていくことも大切だなと感じています。僕には3人の大切な友人がいて、KENTAROさんはそのうちの一人なんです。

本作の撮影期間は、自分自身も俳優として模索している時期で、それが役と重なる部分があったのを覚えています。人からの評価よりも、その時の自分が記録されたということが幸運だったなと。あとは「ビジュアルで映像表現が成立する」という自分にないマインドを学べました。必ずしも演技で全てを表現しなくていいんだ、と気がつくことができたんです。

KENTARO : どんな順番で映画を展開するか、NYへの出品はその点でとても重要でした。プロデューサーとしても今回大変勉強になりましたね。

――最後に柳楽さん、今回のN.Y.でオフの時にしたいことはありますか。

柳楽:主演したWOWOW連続ドラマ『オレは死んじまったゼ!』の長久允監督がサックスをやっている影響で、僕も最近トランペットを始めたんです。例えば北野武さんはタップダンス、タモリさんはトランペットと、尊敬するレジェンドの方々はみんな一芸があってとてもカッコいいですし、年齢を重ねても続けられる楽器がいいなと。久しぶりのニューヨークですが、ジャズクラブに行ってみたりと、ジャジーな雰囲気も味わえればと思っています。

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日本をはじめ、パリやドイツなど世界中で上映されている『ターコイズの空の下で』。ストーリーはもちろんのこと、雄大なモンゴルの風景や、芸術的な構図、体当たりの演技などみどころが満載の作品だ。KENTARO監督の叡智と、俳優・柳楽優弥の才能が存分に発揮された名作と言えよう。

(取材:山本真紀子、構成:小池直也、写真:提供)

『ターコイズの空の下で』
『誰も知らない』でカンヌ国際映画祭主演男優賞に輝き、以降も『許されざる者』、『ディストラクションベイビーズ』など意欲作に出演する柳楽優弥が、新たな挑戦として臨んだ初の海外合作。

【STORY】
大企業の経営者を祖父に持つタケシ(柳楽優弥)は、祖父の三郎(麿赤児)からモンゴルへ人探しに行くように言われ、アムラ(アムラ・バルジンヤム)というちょっと得体の知れないガイドと共にモンゴルへ行く。東京で自堕落な日々を送っていたタケシにとって、携帯も通じない、言葉も分からない、迷子になって狼に遭遇するなど、カルチャーショックと共に死ぬほどの思いをしながら、物質的なものではなく精神的な豊かさの中で成長を遂げていく。

タケシの旅には、祖父の若き日の悔恨の想いが込められていた。第二次世界大戦後に捕虜としてモンゴルで強制労働に就かされていた祖父は、モンゴルの女性との間に娘を儲けていたのだが、帰国後行方知れずとなっていた。タケシにとって祖父の娘を探す旅は、祖父が辿った道を追体験する旅と重なり、雄大な大自然の中で暮らすモンゴルの人々の大らかさや逞しさに触れながら、人間として大きく成長していくのである。

■監督:KENTARO
■脚本:KENTARO  アムラ・バルジンヤム
■プロデューサー:KENTARO 木滝和幸 ウラン・サインビレグ
■出演:柳楽優弥 アムラ・バルジンヤム  麿赤兒  ツェツゲ・ビャンバ サラントゥーヤ・サンブ
■日本・モンゴル・フランス合作 上映時間:95分
■公式サイト:http://undertheturquoisesky.com
■ (C)TURQUOISE SKY FILM PARTNERS / IFI PRODUCTION / KTRFILMS

『JAPAN CUTS~ジャパン・カッツ~』(JAPAN CUTS: Festival of New Japanese Film)
URL:https://japansociety.org/film/japancuts/

2007年から続くニューヨークの夏の風物詩。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙は「ニューヨーク発の最大級の日本映画イベント」、またニューヨーク・タイムズ紙は「ニューヨークの映画カレンダーの毎年恒例の目玉」と称する。

過去に多くの北米プレミア上映、ニューヨーク・プレミア上映を実施し、大物俳優や監督から若手の新鋭スターなどの特別ゲストを招聘して開催している。

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