キネマ旬報ベスト・テン表彰式、「せかいのおきく」が作品賞・脚本賞をダブル受賞

キネマ旬報ベスト・テン表彰式
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第97回キネマ旬報ベスト・テンの表彰式が18日、東京・渋谷区のBunkamuraオーチャードホールで行われた。

日本映画作品賞は、江戸時代の厳しい環境下で生きる若者たちを描いたモノクロの時代劇『せかいのおきく』が受賞。

企画・プロデューサーの原田満生氏は、「完成披露試写会の時に、この映画が皆さんの記憶に残って評価される作品に育ってくれればうれしいという話をしたが、全ての映画人が目指す映画賞で一番の評価。本当にうれしく思う」と感慨深げに話した。

原田氏が立ち上げた、地球環境を守るためのメッセージを映画として伝えていく「YOIHI PROJECT」の第1弾作品。脚本賞を受賞した阪本順治監督は、「最初にSDGsと言われ、それまで意識したこもなかったので自信を持って世に出せないと思ったが、『阪本、できるだけ頑張るぞ』の略と思って頑張りました」と冗談交じりに喜びを語った。

助演女優賞は、実際の障がい者殺傷事件をモチーフにした『月』の二階堂ふみ。

「映画の世界に入ってから愛読していた雑誌なので、本当にうれしい。社会的にも一個人としても消化しきれないテーマを扱っていますが、映画を通して多くの方に問うことができたと想う」と満足げに話した。

同作を含めた6作品が対象となり助演男優賞を射止めた磯村勇斗も「デビュー前から読んでいたので、素敵なこの場に立たせていただき感慨深い」と万感の表情で語った。

新人女優賞は『キリエのうた』で映画初出演、初主演のアイナ・ジ・エンドに輝き、「岩井俊二監督に拾っていただき、どんどん波動を出してくれた(共演の)広瀬すずちゃんに付いていったらだんだんお芝居が楽しくなってきた」と感謝。

新人男優賞は『ほかげ』の塚尾桜雅が史上最年少(8歳)で受賞し「この賞を励みに、これからもお芝居を続けていきたい」と決意を語り、大きな拍手を浴びた。

最多タイとなる4度目の主演男優賞の役所広司は、『PERFECT DAYS』の海外キャンペーンのため欠席し、日本映画監督賞のヴィム・ヴェンダース監督とともに喜びのビデオメッセージを寄せた。主演女優賞の趣里も体調不良で欠席した。

第97回キネマ旬報ベスト・テンの結果は以下の通り。

日本映画作品賞:『せかいのおきく』

外国映画作品賞:『TAR/ター』

文化映画作品賞:『キャメラを持った男たち―関東大震災を撮る―』

日本映画監督賞:ヴィム・ヴェンダース『PERFECT DAYS』

日本映画脚本賞:阪本順治『せかいのおきく』

外国映画監督賞:トッド・フィールド『TAR/ター』

主演女優賞:趣里『ほかげ』

主演男優賞:役所広司『PERFECT DAYS』『ファミリア』『銀河鉄道の父』

助演女優賞:二階堂ふみ『月』

助演男優賞:磯村勇斗『月』『正欲』『最後まで行く』『波紋』『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編―運命―』『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編―決戦―』

新人女優賞:アイナ・ジ・エンド『キリエのうた』

新人男優賞:塚尾桜雅『ほかげ』

読者選出日本映画監督賞:瑠東東一郎『Gメン』

読者選出外国映画監督賞:マーティン・スコセッシ『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』

取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元

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