『HAPPYEND』ヴェネツィアでワールドプレミア、空音央監督「皆さんに刺さって感慨深い」

左からARAZI、日高由起刀、空音央監督、林裕太、シナ・ペン
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第81回ヴェネツィア国際映画祭のオリゾンティ部門で2日、空音央監督の『HAPPYEND』がワールドプレミア上映された。

昨年、ドキュメンタリー映画『Ryuichi Sakamoto | Opus』が同映画祭のアウト・オブ・コンペ部門に選出された空監督の長編劇映画デビュー作。今年はコンペのある部門で唯一の日本映画でもあり、約1400枚のチケットは即日完売となる注目を集めていた。

上映には空監督をはじめ主人公の一人コウを演じた新人の日高由起刀、共演の林裕太、シナ・ペン、ARAZIが参加。熱い拍手と歓声を持って迎えられた上映後、空監督は「高校時代は大人ではないが、大人の世界に足を踏み入れ始めているというあいまいで多感な時期。当時を振り返り、自分がもっと友達について気づいてあげるべきだったこと、もっと友達に自分のことを知ってほしかったことなど、親友との日々や関係性を描こうと思った」と製作意図を明かした。

ワールドプレミア上映の様子

日高も、演技経験はないながらも自身のバックグラウンドに似た役柄だったため「空監督とキャストで多くの時間を共にし、お互いに友情を育んだことでリアリティのある映画になったと思う」と誇らしげ。終了後も観客が押し寄せて写真撮影を求める光景も見受けられ、空監督は「本当にたくさんの人が、映画の感想とともに自分の話をしてくれました。この映画は日本の話ですが、世界の多くの人が似たような感情を抱いているのだと感じました。この映画が自分に刺さったと皆さんが話してくれて、感慨深いです」と手応えをつかんだ様子だった。

海外プレスからも高い評価を受けており、米「ハリウッド・リポーター」は「空は巧みなバランス感覚で、ほろ苦く切ない学校卒業前の大人になる過程のドラマを、温かい観察眼と学校という世界の縮図を通した社会性を示しながら見事に描いた。若いキャストが魅せる自然体の演技によって、映画の冒頭から物語に引き込まれ大きな余韻を残してくれる」と絶賛。イタリアの「Movieplayer」も、「空には、完璧な構図で映像を構築する才能があり、効果的なショットによって登場人物たちが生き生きとしている」と評した。

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拍手と歓声を受ける空音央監督とキャストたち

『HAPPYEND』は、幼なじみのユウタとコウが高校卒業間近に学校に忍び込んで仕掛けたいたずらが大事件に発展したことによって、互いの距離感にズレが生じていく青春物語。今後、第49回トロント国際映画祭、第62回ニューヨーク映画祭、第29回釜山国際映画祭での上映も決まっており、日本では10月4日に全国で公開される。

記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元

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