米アカデミー賞(2025)サプライズまとめ…デミ・ムーアが主演女優賞を逃す波乱の展開に

わずか1週間前、2025年の全米映画俳優組合賞(SAG賞)が開催された。SAG賞では、『教皇選挙』がキャスト賞を受賞し、デミ・ムーアが主演女優賞、ティモシー・シャラメが主演男優賞を獲得したことで、彼らがオスカーでも大きな勝利を収めるのではないかという期待が高まっていた。
■最有力候補デミ・ムーア、受賞ならず
しかし、実際のアカデミー賞ではショーン・ベイカー監督のパルムドール受賞作『ANORA アノーラ』が作品賞に輝き、同作の主演マイキー・マディソンはベテランのムーアを抑えて主演女優賞を獲得した。ムーアは長年のキャリアを経て初のオスカー候補となり、SAG賞やクリティクス・チョイス、ゴールデングローブ賞を制していたため、多くの評論家が受賞を予想していたが、結果は意外なものとなった。さらに、主演男優賞ではブロディがシャラメを下した。
また、『教皇選挙』、『サブスタンス』、『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』の3作品はいずれも振るわなかった。評論家の間では、『教皇選挙』が作品賞を獲得する可能性があるとされていたが、実際には脚色賞の1冠のみにとどまった。同様に『サブスタンス』もメイク・ヘアスタイリング賞のみの受賞だった。8部門にノミネートされていた『名もなき者』は、1つも受賞することなく完全に冷遇された。もしかすると、ボブ・ディランは自伝映画が無冠に終わることを見越して、授賞式を欠席したのかもしれない。
■複数の部門に候補入りした作品が低空飛行
『名もなき者』は、今年の数多くのノミネートを受けた作品の中で最も低調な結果に終わった。一方、10部門にノミネートされていた『ブルータリスト』と『ウィキッド ふたりの魔女』も、それぞれ2部門の受賞にとどまった。特に『ウィキッド』は技術部門での受賞に限られたが、授賞式冒頭ではシンシア・エリヴォとアリアナ・グランデが劇中の象徴的な楽曲「Defying Gravity」を含むメドレーを披露し、大きな盛り上がりを見せた。
今年のオスカーで驚きをもたらしたのは、『ノスフェラトゥ』の完全なる冷遇だった。今年のノミネート発表時には好調な結果を収め、4部門で候補となったが、最終的には1つも受賞することなく終わった。
その他のサプライズとしては、インディーズのアニメ映画『Flow』が、大手スタジオ作品を抑えて勝利したことが挙げられる。ユニバーサルの『野生の島のロズ』やディズニーの『インサイド・ヘッド2』を破る形となった。
■渦中の『エミリア・ペレス』は2部門受賞
また、Netflixのミュージカル映画『エミリア・ペレス』は、主演のカルラ・ソフィア・ガスコンの過去の物議を醸したツイートが再浮上したことで、オスカーキャンペーンに影響が出た。同作は最多となる13部門にノミネートされていたが、評論家の間では「無冠に終わるのではないか」、あるいは「助演女優賞の有力候補ゾーイ・サルダナの受賞のみになるのではないか」との憶測も飛び交っていた。しかし、結果として『エミリア・ペレス』は予想をやや上回る成績を収め、サルダナが助演女優賞を受賞したほか、劇中歌「El Mal」が歌曲賞を獲得した。
さらに、オスカーに複数部門ノミネートされながらも無冠に終わった作品としては、3部門で候補となった『シンシン/SING SING』、2部門で候補となった『ニッケル・ボーイズ』と『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』がある。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。編集/和田 萌
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