東京国際映画祭ラインナップ発表、吉田大八ら日本監督3作品がコンペ入選
第37回東京国際映画祭(10月28日~11月6日)のラインナップが25日、都内で発表された。
メインのコンペティション部門は世界110の国と地域から2023本の応募があり、15作品を選出。日本からは大九明子監督の『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』、吉田大八監督の『敵』、片山慎三監督の台湾との合作『雨の中の慾情』が入った。
『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』は、お笑いコンビ「ジャルジャル」の福徳秀介のデビュー小説が原作の青春群像劇で萩原利久、河合優実らが出演。大九監督は、観客賞を受賞した2017年『勝手にふるえてろ』以来のコンペで、「私を見つけてくれた映画祭で、今回は驚きもあるがとても光栄」と喜びをかみしめた。
『敵』は、筒井康隆氏の同名小説の映画化で、長塚京三が12年ぶりの映画主演。吉田監督は、2014年『紙の月』で宮沢りえに最優秀女優賞をもたらしており、今回も「意外と見る側の想像力を最大限に盛り上げる豊かな世界になった」と自信をのぞかせた。
片山監督は初のコンペ選出で、90%以上が台湾ロケの『雨の中の慾情』について「街の風景を楽しんでほしい」とアピール。映画祭への期待を問われると、「『岬の兄妹』が東京国際映画祭で上映されて、ほかの映画祭にも広がっていった。映画が好きではない人に、どう見てもらって広げていくかが課題」と指摘した。
映画祭ナビゲーターを務める俳優の菊地凛子もゲストで登壇。「映画祭で上映されることは、監督、スタッフを信じて作り上げたものを多くの人に見てもらえる宝物のような瞬間。映画祭で映画について語り、つながれることはとても大事。映画で旅をして登場人物の喜びや痛みを味わって、その人生を持ち帰ってほしい」と呼びかけた。
第37回東京国際映画祭の主な出品作品
【コンペティション】
- 『アディオス・アミーゴ』イバン・D・ガオナ監督(コロンビア)
- 『小さな私』ヤン・リーナー監督(中国)
- 『死体を埋めろ』マルコ・ドゥトラ監督(ブラジル)
- 『士官候補生』アディルハン・イェルジャノフ監督(カザフスタン)
- 『娘の娘』ホアン・シー監督(中国)
- 『英国人の手紙』セルジオ・グラシアーノ監督(ポルトガル)
- 『彼のイメージ』ティエリー・ド・ペレッティ監督(フランス)
- 『雨の中の慾情』片山慎三監督(日本/台湾)
- 『わが友アンドレ』ドン・ズージェン監督(中国)
- 『お父さん』フィリップ・ユン監督(香港)
- 『大丈夫と約束して』カタリナ・グラマトヴァ監督(スロバキア/チェコ)
- 『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』大九明子監督(日本)
- 『敵』吉田大八監督
- 『トラフィック』テオドラ・アナ・ミハイ監督(ルーマニア/ベルギー/オランダ)
- 『チャオ・イェンの思い』ミディ・ジー監督(中国)
【ガラ・セレクション】
- 『ブラックドッグ』グァン・フー監督(中国)
- 『エマニュエル(原題)』オードレイ・ディヴァン監督(フランス)
- 『リュミエール!2(仮題)』ティエリー・フレモー監督(フランス)
- 『ナイトビッチ』マリエル・ヘラー監督(アメリカ)
- 『オラン・イカン』マイク・ウィルアン監督(シンガポール/インドネシア/日本/イギリス)
- 『リアル・ペイン~心の旅』ジェシー・アイゼンバーグ監督(アメリカ/ポーランド)
- 『ルート29』森井勇佑監督(日本)
- 『雪の花-ともに在りて-』小泉堯史監督(日本)
- 『劇場版 孤独のグルメ』松重豊監督(日本)
- 『Spirit World(原題))』エリック・クー監督(日本/シンガポール/フランス)
- 『サンセット・サンライズ』岸善幸監督(日本)
- 『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』ソイ・チェン監督(香港)
- 『ホワイトバード はじまりのワンダー』マーク・フォースター監督(アメリカ)
【アジアの未来】
- 『昼のアポロン 夜のアテネ』エミネ・ユルドゥルム監督(トルコ)
- 『黒の牛』蔦哲一朗監督(日本)
- 『冷たい風』モハッマド・エスマイリ監督(イラン)
- 『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』近藤亮太監督(日本)
- 『幼な子のためのパヴァーヌ』チャン・ジーアン監督(マレーシア)
- 『シマの唄』ロヤ・サダト監督(スペイン/オランダ/フランス/台湾/ギリシャ/アフガニスタン)
- 『三匹の去勢された山羊』イエ・シンユー監督(アメリカ)
- 『赦されぬ罪』ジェフリー・ラム監督(香港)
- 『海で泳げない鯨』ワン・ディー監督(アメリカ)
- 『春が来るまで』アシュカン・アシュカニ監督(イラン)
取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元