黒沢清監督、仏などと合作のセリフリメイクを解説「僕ならではの『蛇の道』になった」

柴咲コウ(左)黒沢清監督(右)
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黒沢清監督が5日、1998年公開の自作をフランスなどとの合作でセルフリメイクした『蛇の道』の記者会見を、主演の柴咲コウとともに東京・千代田区の日本外国特派員協会で行った。

娘を殺された父親が、精神科医の協力を得て復讐に執念を燃やすサスペンス。黒沢監督は「自分からやりたいと言ったわけではなく、フランスのプロデューサーに『これまで撮ってきた映画をフランスでリメイクする気はないか』とオファーがあり、だったら『蛇の道』と言ったのがスタート」と説明した。

黒沢清監督

オリジナル版は高橋洋が脚本を手掛け、哀川翔が主演。リメイクに際しては自ら脚本を書き直し、「フランス・バージョンで脚本を書き直す時、根本的に違う要素を入れたくて主人公を女性にすれば僕ならではの『蛇の道』になると思って作っていった」という。

そこで「主人公を演じられる日本人の女優がいるのか不安だったが、ダメ元で大物から声をかけてみよう」と白羽の矢を立てたのが柴咲。オファーを受けた柴咲は、「黒沢監督とは初めてのお仕事で声をかけていただき、フランスに行けるのもうれしかった」と快諾した。

主演の柴咲コウ

黒沢監督は「オリジナル版はある種完成された物語で、復讐というシステムに登場人物が次々に取り込まれ抜け出せなっていく。ただ、哀川さんだけはそのシステムの外側にいて復讐を操るような恐ろしい存在。今回は、主人公も復讐にからめ取られ一歩も抜け出せなくなるような愛情やあわれみ、弱さもある人間として描けないかというのがテーマだった」と解説。柴咲も「脚本を読んで面白いと思ったし、新しいものとして取り組もうと思い、オリジナルへの意識は特になかった」と応じた。

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だが、フランス語でのセリフには相当苦労したようで、「私の中では失敗だらけ。セリフ以外でも、マルシェで買い物をしたり独りでタクシーに乗って使ってみたけれど、伝わらないことが大半だった」と苦笑い。それでも、これまで米映画『47RONIN』(2013)など海外作品にも出演しており、「挑戦することに意味がある。自分の殻を破って成長したい気持ちを高めてくれるので、いろいろな言語の作品に挑戦していきたい」と意欲を新たにした。

『蛇の道』は、6月14日から全国で公開される。

取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元

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