新ローマ教皇の誕生で注目されるバチカン映画、それでも『法王さまご用心!』は再評価されない

Robbie Coltrane as newly elected Pope Dave the First in The Pope Must Die, which also starred Alex Rocco and Beverly D’Angelo. Miramax/Courtesy Everett Collection
『法王さまご用心!』で教皇を演じたロビー・コルトレーン 写真:Miramax/Courtesy Everett Collection
スポンサーリンク

ローマ教皇を決める教皇選挙を受けて、バチカンをテーマにした映画が再び注目を集めた。

先月4月にフランシスコ教皇が亡くなったことを受け、昨年オスカー候補にもなった『教皇選挙』の視聴者数がアマゾンで283%増加した。また、フランシスコ教皇と教皇ベネディクト16世の関係を描いたNetflixの2019年のドラマ『2人のローマ教皇』も、視聴者数が417%増加している。

しかし、思いのほか注目されていない1992年のイギリス映画『法王さまご用心!(原題:The Pope Must Die)』は、現在海外の主要なストリーミングサービスで視聴できず、DVDでも販売されていない。この映画は、バチカンに関する最も物議を醸した作品の一つであり、ピーター・リチャードソン監督、ロビー・コルトレーン主演で制作された。

物語は、偶然教皇に選ばれた村の司祭が、バチカンに蔓延るマフィアの存在に気づき、腐敗を一掃しようとするも、マフィアが教皇の暗殺を企てるというものだ。この映画のタイトル『The Pope Must Die』が問題となり、配給会社であるミラマックスは、タイトルが暴力を扇動する可能性があると懸念し、アメリカの主要テレビネットワークは広告放送を拒否した。また、多くの新聞も広告掲載を見送る事態となり、イギリスではロンドン地下鉄のポスター掲示が禁止された。

反発を和らげるために、ミラマックスは映画タイトルを(アメリカとカナダで)『The Pope Must Diet』に変更するが、この変更も逆効果となり、プロモーション資料で追加された「t」が十字架の形にデザインされたことで、さらなる物議を醸す結果となる。最終的に、この映画はアメリカでわずか20万ドル(現在の価値で46万9,600ドル)の興行収入にとどまる。批評家の評価も芳しくなく、「不規則で騒がしく、大げさな作品」と酷評され、「このドジなバカ騒ぎは、アートハウス系でもすぐに忘れ去られるだろう」とまで言われる。

映画の主演を務めたロビー・コルトレーンは、この騒動に失望し、「間違った意味で受け取る人が多いだろう」と嘆いた。さらに、彼は皮肉を込めて、当時の教皇ヨハネ・パウロ2世でさえ、この映画を楽しんだかもしれないと語り、「教皇はかなり陽気な人物のように思える」と述べた。

『法王さまご用心!』は、物議を醸した作品として人々の記憶に残し、時を経て、改めてその風刺的な視点が注目され、バチカンを題材にした映画が再び注目を浴びる中で、この作品がいかに社会的、政治的な影響を与えたかを振り返ることが重要である。

※この記事は要約・抄訳です。オリジナル記事はこちら

【関連記事】

スポンサーリンク

類似投稿