実写映画版『ヒックとドラゴン』レビュー:大人気アニメを実写化、バイキング少年とドラゴンの魅力的な冒険譚

9月5日公開の映画『ヒックとドラゴン』は、ドリームワークスが初めて手がける実写リメイク作品だ。同スタジオは、クレシッダ・コーウェルによる児童文学シリーズに基づくアニメ映画を再構築し、監督にはオリジナルアニメ版の共同監督を務めたディーン・デュボアを迎えた。
実写版『ヒックとドラゴン』のキャストには新しい顔ぶれがそろっており、彼らの堂々とした演技が作品を支えている。作風はオリジナルから大きく逸脱していないが、トーンにわずかな変化があり、キャラクターの描写もより深みが出ている。また、CGによる実験的要素も加わった。
ヒック役を演じるのは、ホラー映画界で活躍中の俳優メイソン・テムズ。テムズの演技は、親しみやすく前向きなエネルギーに満ちており、アニメ版の声優ジェイ・バルチェルによるユーモラスで、時に皮肉的なヒック像とは異なる魅力を放っている。
バイキング一族が暮らすバーク島の住民たちは、ドラゴンとの激しい戦闘の真っ只中にあった。少年ヒックはある日、森に足を踏み入れ、自作の装置で捕らえたドラゴンの一種「ナイト・フューリー」を発見。ドラゴンと心のつながりを感じたヒックは、「トゥース」と名前を付けて絆を深めていく。やがて、父ストイック(演:ジェラルド・バトラー、アニメ版から続投)からドラゴン退治の訓練を受けるように命じられたヒックは、独自の戦術で最も優秀な訓練生アストリッド(演:ニコ・パーカー)をも凌駕する活躍を見せるが―――。
デュボア監督は、ヒックに疑念を抱くアストリッドが成功にこだわる理由を描くことで、その背景にさらなる深みを与えている。また、ヒックとトゥースの友情を丁寧に描写しており、オリジナル版のファンにとっては、あの「試験飛行」の場面や、ヒックが初めてトゥースに触れようとする序盤の名シーンが本作でも健在であることは喜ばしいだろう。
一方、トーンの面では、実写版はより子ども向けの作品として構成されており、オリジナル版の辛辣さや皮肉を含むジョークの多くは修正されている。それでもなお、本作はオリジナルの魅力をきちんと受け継いでおり、満足できる作品に仕上がっていると言えるだろう。
映画『ヒックとドラゴン』は、2025年9月5日より公開。
<『ヒックとドラゴン』作品情報>
■公開日:2025年9月5日
■キャスト:メイソン・テムズ/ニコ・パーカー/ジェラルド・バトラー/ニック・フロスト/ガブリエル・ハウエル/ジュリアン・デニソン
■監督・脚本:ディーン・デュボア
■上映時間:125分
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。編集/和田 萌
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