ホラー映画『M3GAN/ミーガン』監督が語る、続編の可能性――「あと5作あってもおかしくない」

2022年に大ヒットを記録した映画『M3GAN/ミーガン』の続編である『M3GAN/ミーガン 2.0』。監督ジェラルド・ジョンストンは、米『ハリウッド・リポーター』(THR)とのインタビューで、AIとの向き合い方やシリーズの展望、そして自身の創作哲学について語っている。
『M3GAN/ミーガン 2.0』のあらすじ
『M3GAN/ミーガン 2.0』では、M3GANの技術をもとに開発された危険なAI兵器「アメリア」が誕生してしまう。アメリアは、米政府の命令に従わず暴走をはじめる。ジェマ(演:アリソン・ウィリアムズ)は、人類を救う唯一の手段として、M3GANをアップデートして復活させ、アメリアに立ち向かう決意をする。
AIの暴走は人間の責任か?
監督のジェラルド・ジョンストンは、この物語を単なるホラーではなく、「AIをどう育てたのか」という人間側の責任を問うものだと位置づけている。「AIが悪いことをするのは、それ自体が悪だからではなく、私たちがそう仕向けた結果ではないか」と語っている。本作は、AIに与えた命令や設計思想がそのまま人間に跳ね返ってくるという視点から展開していく。
『ターミネーター2』との共通点と決定的な違い
ストーリー展開が『ターミネーター2』に似ていると言われることについて、ジョンストンは「脚本を書き終えてからそのことを言われて、自分でも『ああ、確かに』と思った」と語る。
「『ターミネーター2』に出てくるロボットはまったく別物なんだ。彼も学ぶことはあるけど、最初から守るようにプログラムされてるからね。一方でM3GANは、かつて脅威とされた存在が贖罪の旅に出るという点が決定的に違う」ジョンストンは、あくまでキャラクターの変化と人間との関係性に重きを置いている。
以下は、ジョンストンが米『ハリウッド・リポーター』(THR)とのインタビューの中で語った内容である。彼は、前作の予告編で、今や象徴的となったダンスシーンを使うべきかどうか議論があったこと、そして『M3GAN/ミーガン 2.0』での続編ダンスシーンについても振り返った。
──『ハウス・バウンド』のトーンが評価され、『M3GAN』に抜擢されたそうですね?
そうなんだ。『ハウス・バウンド』は、2014年当時としてはちょっと風変わりな設定だったけど、ジェームズ・ワンが最初から注目してくれてたんだ。彼やチームが『M3GAN/ミーガン』みたいなプロジェクトの話を持ちかけてくれたのは、本当に心強かったよ。
──M3GANのダンスを予告編に入れるか、当時かなり議論があったと聞いています。
ジャンルが混ざった作品を、どう宣伝するかは難しいんだ。だけどユニバーサルは、ホラー作品としての緊張感を前面に出しつつ、あのダンスシーンで意外性のあるユーモアを加えるという見事な手法をとった。最初は「意図しない笑い」と思われたかもしれないけど、実際はすべて狙い通り。それが観客の予想を良い意味で裏切って、M3GANを今の時代を象徴するキャラクターへと押し上げた大きな要因になったと思う。
──続編では、演出により自信を持てたのでは?
うん、それはあるね。1作目を経て、監督としてどう準備し、どう撮るべきかがより明確になった。夏の話題作として期待される公開枠に選ばれた以上、予算の大小にかかわらず、全力で応えなきゃと思っていた。実際、撮り直しも見越して構成したし、チーム全体が質を上げてくれた。その成果は、作品全体にも反映されていると思う。ホラーの枠にとどまらない、現代性とユーモアに満ちた問題提起作品だ。
──『M3GAN/ミーガン 2.0』は『ターミネーター2』に似ているとよく言われますが、影響はあったのですか?
脚本を書いた後に言われて、自分でも「確かに」って思った。でもあれは偶然。僕はM3GANの贖罪の物語に集中してた。『ターミネーター2』のアーノルド・シュワルツェネッガーは、最初から守るプログラムだけど、M3GANは違う。悪とされていた存在が変わっていく過程を描きたかったんだ。
写真:Courtesy of Universal
──AIに対する世間の認識が急速に深まった中で、脚本への影響は?
むしろそのおかげで、続編を作る意味が明確になった。前作は子どもとデバイスの関係を描いたけど、ChatGPTの登場で、M3GANの行動が現実味を帯びてきた。AIとの道徳的な関係性を掘り下げることが、今はリアルに響くからね。
──「AIに意識はあるのか?」という問いも話題ですね。
そこがすごく興味深いところなんだ。M3GANは本当に意識を持っているのか、それとも単に高度なOSとして動いているだけなのか。ケイディ(演:ヴァイオレット・マッグロウ)はM3GANに心があることを信じたがるけど、ジェマは「あれはただのプログラムにすぎない」と考えている。その対比も物語の中でしっかり描いているよ。
──AIの急速な進化に対して、親としてどんな思いがありますか?
正直、今の時代は少し嫌いなんだ。子どもにテレビを見せるのも、昔のようにただつけるだけじゃ済まない。YouTubeには良いものもあるけど、質の低いコンテンツも多い。シンプルな時代が恋しくなるんだ。だからこそ、M3GANを通して現代の親たちの不安やジレンマを描きたかった。
──今作でのアリソン・ウィリアムズのアクションが印象的でした。
彼女はすごく努力家で、毎日トレーニングして臨んでくれた。スタントを極力使わず、自分でこなす姿に感心したよ。リハーサルの成果が、実際の撮影で生きていたのがよくわかった。
──タイトル『M3GAN/ミーガン 2.0』は、人気番組『SNL』で取り上げられた影響ですか?
『サタデー・ナイト・ライブ(SNL)』で、「M3GAN/ミーガン 2.0」というコントが放送されたときは本当に驚いたよ。実はその前からタイトルは決まっていたんだけど、パロディになるくらいM3GANが広く知られる存在になったんだと思うと、すごく感動したよ。
写真: Universal Pictures
──アメリア役のイヴァンナ・ザクノの起用理由は?
イヴァンナ・ザクノを初めて見たのは『アソーカ』(2023)だった。うちの子どもたちと観ていて、「この人にしかない強さと雰囲気がある」と感じたんだ。最初は似たタイプを探したけど、結局本人を呼んで正解だった。現場でもすぐに皆を魅了してたよ。
──シリーズの今後については?
自分のアイデアは『M3GAN/ミーガン 2.0』で出し切ったけど、正直あと5作あっても驚かないね。僕がいつかまた戻ってくるなら、第5作目とかかもね(笑)。
『M3GAN/ミーガン 2.0』は、10月10日(金)全国公開。
※本記事は抄訳・要約です。オリジナル記事はこちら。
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