【レビュー】映画『レンタル・ファミリー』|ブレンダン・フレイザー主演、オール日本ロケで贈る実在の“家族レンタル”サービスを題材にした感動作

映画『レンタル・ファミリー』より 写真:James Lisle/Searchlight Pictures
映画『レンタル・ファミリー』より 写真:James Lisle/Searchlight Pictures
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アカデミー賞受賞俳優ブレンダン・フレイザーが主演を務める新作映画『レンタル・ファミリー』(2026年2月27日公開)。『ザ・ホエール』(2022)で圧巻の演技を披露したフレイザーが、HIKARI監督による東京を舞台にした心温まるドラマコメディで再び観客を魅了する。

▼『レンタル・ファミリー』あらすじ

主人公フィリップ(演:ブレンダン・フレイザー)は、東京で暮らして7年になるアメリカ人俳優。かつて有名なCMに出演したが、今では舞台で「木の役」を演じるほどに落ちぶれていた。そんな彼が紹介されたのは、「悲しみに暮れるアメリカ人」を演じるという謎の仕事だった。

仕事先でフィリップが目にしたのは、棺に横たわる故人を囲んで悲しむ人々の姿。しかし驚くべきことに、その故人は実は生きており、これはレンタル・ファミリー社が提供するロールプレイングサービスだった――。

▼実在のサービスを題材にした感動作

映画『レンタル・ファミリー』より 写真:Searchlight Pictures
映画『レンタル・ファミリー』より 写真:Searchlight Pictures

『レンタル・ファミリー』は日本に実在する「家族レンタルサービス」を題材にしており、個々の状況に応じて代役を提供する仕組みを描いている。映画では、レンタル・ファミリー社を経営する多田(演:平岳大)がフィリップの演技力に感銘を受け、常勤の仕事をオファーする場面が描かれる。やがてフィリップは戸惑いながらも、生活のためにその仕事を受け入れることになる。

人に感情移入しやすいフィリップは、さまざまな依頼を通して数々のトラブルに直面するが、未知の出会いをきっかけに生きる喜びを見出していく。

▼“父娘の絆”が生む感動

本作は特異な設定を巧みに利用し、心の琴線に触れる感動とユーモアを絶妙なバランスで両立させている。なかでも最も印象的なのは、フィリップと11歳の少女・美亜(演:ゴーマン シャノン 眞陽)との関係だ。美亜のシングルマザーの母親は娘を名門私立学校に入学させるため、フィリップにアメリカ人の父親役を依頼。しかし美亜は、フィリップが長年行方不明だった実の父親だと信じてしまう。

▼気鋭・HIKARI監督が描く現代人の孤独と偽り

『37セカンズ』で国際的評価を得たHIKARI監督は、共同脚本家のスティーヴン・ブラハットとともに、「誰もが日常生活で何らかの役割を演じている」という現実を巧みに描写している。撮影監督の石坂拓郎は東京の広大な都市風景を効果的に活用し、登場人物たちの孤独感を視覚的に表現している。

▼国際的なキャスト陣による名演

主人公フィリップを演じたブレンダン・フレイザーの繊細で表現力豊かな演技は、映画全体の核となっている。さらに、日本人キャスト陣との化学反応も見事だ。フィリップと友情を築くレンタル・ファミリー社の同僚・愛子を演じた山本真理、日本を代表する名優・喜久雄に扮する柄本明ら、実力派キャストの存在が作品に厚みを加えている。

「どうして大人はいつも嘘をつくの?」――美亜の純粋な問いかけは観客の心に深く響く。その問いに対して『レンタル・ファミリー』は、感動的でありながら鋭い洞察に満ちた答えを提示している。

『レンタル・ファミリー』 作品情報

  • 公開日:2026年2月27日(金)
  • 出演:ブレンダン・フレイザー、平岳大、山本真理、柄本明、ゴーマン シャノン 眞陽ほか
  • 監督:HIKARI
  • 脚本:HIKARI&スティーヴン・ブラハット
  • 上映時間:1時間43分

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。編集/和田 萌

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