東京国際映画祭コンペ『恒星の向こう側』で“俳優”河瀨直美がアピール「命懸けでやりました」
第38回東京国際映画祭のコンペティション部門に日本から選出された中川龍太郎監督の『恒星の向こう側』の公式上映が29日、丸の内ピカデリーで行われた。
母親の余命を知り故郷に戻った娘の、親子の衝突を通して本当の理解に気づいていく物語。上映前の舞台挨拶には中川監督と出演の河瀨直美、寛一郎が登壇した。

中川監督は2014年『愛の小さな歴史』、2015年『走れ、絶望に追いつかれない速さで』と2年連続で日本映画スプラッシュ部門(当時)に出品。「10年たって新しい仲間と戻ってこられてうれしい。監督としての幅が広がっていく中で、自主映画を撮っている時の気持ちで原点回帰した作品なので感慨深い」と喜びをかみしめた。
特徴的なのは、主人公(福地桃子)の母親役で映画監督である河瀨のキャスティング。「監督の中でも一番緊張する方だが、直美さんの作品に少しだけ出させていただいた時、人としての存在感がすさまじかった。技術だけではなく、魂としての存在が表現できるのは直美さんしかいないと思った」と経緯を説明した。


河瀨は、俳優としての舞台に「何を言っていいか分からない」と苦笑。それでも、「いつもは自分の映画で、俳優に対して役そのものになりきってと言っているのに、若手で第一線を行く中川くんに言われたら『そんなことできない』とは言われへんかった。やるしかないと思って、命を懸けてやりました」と言ってのけた。
寛一郎も河瀨作品に出演したことがあり、「今回、母親役のキャストを聞いて『マジで?』となったことを覚えている」と告白。すると河瀨が、「中川くんと私は監督、役者なんだから、今度は寛一郎が監督にならなあかん」とムチャぶり。寛一郎は「イヤですね。面倒くさい」とあっさり拒否し、会場の笑いを誘った。
それでも河瀨は、中川監督の才能に太鼓判。「彼の集大成でもあるし、2000本近い中から(コンペの)15本に選ばれてお披露目できることは、一つの到達点なのではないかと思う」と称えた。

取材/記事:The Hollywood Reporter Japan 特派員 鈴木元
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