2025年ハリウッド重大ニュース15選 ―― もはや映画以上のドラマ?!裸ドレスから不倫劇まで、決定的瞬間をプレイバック
2025年のハリウッドは、「平穏」という言葉が最初から存在しなかったかのような1年であった。制作費削減と大規模レイオフが業界を覆う一方、劇場興行は致命的な崩壊を免れ、ストリーミング事業も黒字化への兆しを見せるなど、ビジネス面ではかすかな回復が見られた。しかしその裏側では、混乱と対立が連鎖的に噴出していた。
とりわけ象徴的だったのは、政治がエンターテインメントの周縁から離れ、業界そのものへ直接介入し始めた点である。大統領令による映画企画の復活や、深夜トーク番組司会者が政治的圧力の標的となる事態は、その現実を如実に示した。さらに、スタジオ間の権力闘争やPR戦略の醜聞、AIをめぐる対立がハリウッドの不安定さを加速させた。
文化面でも、露出の多いドレスや広告コピーを発端とする文化戦争が激化し、AI俳優の登場など、かつては空想だった出来事が現実となった。本記事では、2025年の重大ニュースを通して、崩壊と再生が同時進行するハリウッドの現在地を浮き彫りにする。
1. NetflixのK-POPアニメ映画に世界が熱狂

2025年、最も予想外のヒットを記録したのは、Netflixとソニーが手がけた『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』。昼はアイドル、夜は悪魔払いとして活動する「ハントリックス」の物語は、世界的な社会現象となった。劇中歌「Golden」は米ビルボード100で首位を獲得し、SNSには多言語で合唱する子どもたちの動画があふれた。アメリカの感謝祭パレードでは巨大な山車が登場するなど、まさに時代の顔となった瞬間だった。
2. DCがついにマーベルを圧倒

長年続いたヒーロー映画の勢力図が、2025年についに逆転した。マーベルの大作が伸び悩む中、ジェームズ・ガン監督の新生『スーパーマン』が世界興収約6億1,600万ドル(約954億8,000万円、1ドル=155円換算)を記録し、『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』や『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』といったマーベルのライバルを圧倒。ヒーロー映画というジャンルそのものの再編を予感させる出来事となった。
3. ダイアン・キートンとロバート・レッドフォードの死

ハリウッドの至宝、ダイアン・キートンとロバート・レッドフォードがほぼ同時にこの世を去った。ふたりの名優の訃報は喪失にとどまらず、1つの時代の終わりを象徴していた。SNSでの自己アピールを必要とせず、存在感だけで観客を魅了したふたりの死は、ハリウッドがかつて結んでいた「人間味と神秘性」という観客との約束が、静かに、そして完全に失われたことを物語っている。
4. テイラー・スウィフトとトラビス・ケルシーの婚約

テイラー・スウィフトとトラビス・ケルシーの婚約は、2025年最大のマーケティング事象となった。8月のポッドキャストでの共演から、インスタグラムでの婚約発表に至るまで、すべてが緻密に計算された戦略のように展開された。発表投稿は3,700万以上の「いいね」を獲得し、100万ドル(約1億5,500万円)の指輪を披露した写真は、エンタメとスポーツが融合した「巨大ブランドの合併」という新たな愛の形を提示した。
5. 裸ドレスがレッドカーペットを席巻

2025年は、裸ドレスがレッドカーペットを支配した。グラミー賞でのビアンカ・センソリの過激な装いを皮切りに、メットガラでもケンダル・ジェンナーらが計算尽くの透明なドレスで登場。カンヌ国際映画祭が禁止令を出して対抗したものの、その流行を止めることはできなかった。注目こそが通貨となる現代の経済において、露出を極めたスタイルはもはや反逆ではなく、大衆の視線を奪うための最も効率的な手段へと変貌している。
6. ディズニーとAI…提訴から1500億円の投資への豹変

ディズニーは2025年、AIに対して鮮やかな「手のひら返し」を見せた。6月に生成AI企業を著作権侵害で提訴したのもつかの間、11月にはOpenAIに10億ドル(約1,550億円)を出資。ディズニーのボブ・アイガーCEOは、ユーザーが自社のキャラクターを生成できる未来を提唱した。この動きは、スタジオの本音が「権利侵害は許さないが、自社で収益化できるAI利用は全面的に歓迎する」という強欲な独占欲にあることを明白にした瞬間であった。
7. オリジナルホラー映画の躍進

停滞する業界で唯一の光となったのが、オリジナルのホラー映画だ。ライアン・クーグラー監督の『罪人たち』は世界興収3億6,780万ドル(約570億900万円)を記録し、異例のオスカー有力候補に。ザック・クレッガー監督の『WEAPONS/ウェポンズ』も大ヒットを飛ばした。使い古されたリブート作品に飽きた観客が、新鮮な恐怖と独創的な脚本を熱狂的に支持した結果であり、ホラーが映画ビジネスの救世主であることを改めて証明した。
8. シドニー・スウィーニーの広告が炎上

シドニー・スウィーニーを起用したアメリカンイーグルのデニム広告は、無害な商業活動が瞬時に政治的火種となる現代の危うさを露呈させた。広告内の言葉遊びが「人種差別的」との疑いをかけられ、ドナルド・トランプ大統領までが騒動にコメントする事態に発展した。本人がどれほど困惑しようとも、インターネットの解釈次第でスターが文化戦争の象徴に担ぎ上げられる。2025年、セレブリティが自身のイメージを制御することはもはや不可能となった。
9. ロサンゼルスを襲った2つの災厄

2025年のロサンゼルスは、自然と政治の暴力に晒された。1月の壊滅的な山火事がハリウッド関係者の居場所を奪うと、6月には政府の移民対策への抗議デモに対応するため、街に海兵隊が派遣されるという異常事態が発生した。30年以上前の暴動以来となる軍の出動は、コミュニティに深い爪痕を残した。華やかなエンタメの都は、気候変動と政治的対立の最前線へと変貌し、映画業界もその混乱から逃れることはできなかった。
10. 明暗が分かれた人気司会者のキャリア

深夜番組は、政治的介入による「犠牲」を生んだ。『ザ・レイト・ショー』のスティーヴン・コルベアは政権批判の代償か、突如番組終了を発表。一方で『ジミー・キンメル・ライブ!』のジミー・キンメルは、一度は番組停止に追い込まれながらも、視聴者の圧倒的な支持を背景に契約更新を勝ち取った。コルベアが去りキンメルが残ったこの結末は、深夜テレビが依然として「政治と世論の実験場」であり、視聴者の支持こそが唯一の防波堤であることを鮮明に描き出した。
11. 消えゆくスターの輝きと『マインクラフト』の衝撃

2025年は、映画スターの集客力が崩壊した1年であった。ドウェイン・ジョンソンやトム・クルーズの新作が軒並み苦戦する中、2025年の主役となったのは「四角形の世界」。映画『マインクラフト/ザ・ムービー』は全米興収4億2,300万ドル(約655億6,500万円)を叩き出し、生身の俳優よりも強力なIP(知的財産)が市場を支配する現実を突きつけた。かつて興行を保証した「スターシステム」の終焉が、残酷なまでに浮き彫りとなった。
12. AI俳優の台頭に業界がパニック

食事も睡眠も取らないAI俳優、ティリー・ノーウッドに大手エージェンシーが契約を打診したニュースは、ハリウッドに実存的な恐怖を植え付けた。俳優組合は「これは俳優ではない」と激しい拒絶を示したが、制作者側は新たな表現ツールとして歓迎の姿勢を崩さない。この騒動は、AIが人間の仕事を奪うというかつての空想上の懸念を、具体的なキャスティング現場の脅威へと変え、業界に決定的な亀裂を生じさせた。
13. スタジアムの巨大スクリーンが暴いた密会

コールドプレイの公演中、スタジアムのスクリーンに映し出された睦まじいカップルの姿が、全米を震撼させる醜聞へと変わった。カメラに気づいた瞬間のふたりの異常な動揺は、それが「不倫」であることを全世界に露呈。特定班の調査により、男性経営者と部下の人事担当者という皮肉な関係まで暴かれた。偶然の映り込みが人生を破壊するこの事件は、現代におけるプライバシーの消失と監視社会の残酷さを象徴している。
14. 整形の透明化…隠す文化から「誇る文化」へ

かつて隠すべき秘密だった整形手術は、2025年に「公開すべき成果」へと変わった。クリス・ジェンナーらカーダシアン一家が手術の詳細をSNSで赤裸々に公開したことで、不自然さをあえて隠さない「透明性の時代」が到来。執刀医は一夜にしてスターとなり、女性たちは「彼女と同じ顔」を求めてクリニックに殺到した。美の基準はもはや自然さではなく、完璧にカスタマイズされた「加工の完成度」へと移行したのである。
15. ジェフ・ベゾスの規格外の結婚式

Amazon創業者ジェフ・ベゾスの5,000万ドル(約77億5,000万円)を投じた結婚式は、富の格差の極致を見せつけた。3日間にわたりベネチアを占拠した宴には、レオナルド・ディカプリオら超豪華ゲストが集結。しかし、水没の危機に瀕する古都での傲慢な狂乱は住民の怒りを買った。巨大ヨットと聖堂を舞台にした狂乱の宴は、富裕層による都市の私物化に対する世界的な反発を象徴する出来事となった。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。編集/和田 萌

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