「映画館はもう不要なのか?」レオナルド・ディカプリオが危惧する、エンタメ界“消滅”の危機とは
「人々は今も、映画館に行きたいと思っているのだろうか?」―― 俳優のレオナルド・ディカプリオが、変わりゆく映画業界の未来に一石を投じた。
ストリーミングサービスの台頭とAI技術の進化。かつてないスピードで変貌を遂げるエンターテインメントの最前線で、オスカー俳優のディカプリオは何を危惧し、何に希望を見出しているのか。英『タイムズ』紙のインタビューで語った、ディカプリオの真摯な独白を紐解く。
▼レオナルド・ディカプリオが語る。映画館が「孤立した場所」になる日

レオナルド・ディカプリオは現在、映画を取り巻く環境が「電光石火のスピードで変化している」と指摘する。かつては映画館の定番だったドキュメンタリーが姿を消し、今やドラマ作品ですら劇場公開期間は極めて短い。
「人々は配信を待つようになっています。映画館は、いずれジャズバーのように、一部の熱狂的なファンだけが集まる孤立した場所になってしまうのではないでしょうか」
この「ジャズバー」という比喩は、大衆娯楽だった映画が、いつの間にか贅沢な趣味やニッチな文化へと追いやられてしまう危機感を象徴している。
▼AIは「芸術」になれるのか?

話題は、映画界を揺るがしている「人工知能(AI)」にも及んだ。ディカプリオは、AIが若きクリエイターにとっての「強力なツール」になる可能性を認めつつも、その本質的な欠如について鋭く切り込んだ。「真の芸術は、人間から生まれるものでなければなりません」
ディカプリオは、ネットを騒がせる「AIが生成した有名歌手のマッシュアップ楽曲」を例に挙げ、その危うさを次のように表現した。
「聴いた瞬間は『すばらしい、かっこいい』と思うでしょう。しかし、それは一時の話題として消費され、インターネットのゴミの海へと消えていくだけです。そこには魂を繋ぎ止める『錨(いかり)』がない。どれほど見事な技術であっても、そこには人間性が欠如しているのです」
▼求められるのは「真の先見の明」

変化を否定するのではなく、その激流の中で「人間にしかできないこと」の価値を問い続けるレオナルド・ディカプリオ。十代からハリウッドで活躍するディカプリオは、どれほど業界が変わろうとも、スクリーンでしか味わえない唯一無二の体験を信じている。
「真の先見の明を持った人々が、これからも映画館でしか見られないユニークな挑戦を続けられる。そんな機会が失われないことを願っています」
私たちがスマホの画面ではなく、暗闇の中で巨大なスクリーンを見上げる理由。それは、AIには作り出せない「人間の体温」を感じるためなのかもしれない。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。編集/和田 萌

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