『ハムネット』クロエ・ジャオ×『国宝』李相日のスペシャル対談が実現!互いの映画哲学を語る――ジャオ監督「歌舞伎に感銘を受けた」
第98回アカデミー賞で8部門にノミネートされた『ハムネット』のクロエ・ジャオ監督と、『国宝』の李相日監督による特別対談映像が公開された。
ジャオ監督は『ノマドランド』(2021年)で第93回アカデミー賞作品賞・監督賞を受賞した。最新作『ハムネット』は第83回ゴールデングローブ賞で作品賞(ドラマ部門)と主演女優賞(ドラマ部門)を受賞し、第50回トロント国際映画祭では観客賞(最高賞)を獲得。今年のアカデミー賞では受賞有力候補の一つとして注目されている。
そしてこの度、李監督とジャオ監督のスペシャル対談が実現した。第38回東京国際映画祭でともに黒澤明賞を受賞したことをきっかけに、交流を深めた2人。“今最も注目を集める映画監督”と名高い2人が、互いの作品の印象から演出へのこだわりまで、余すところなく語った。
李相日監督が『ハムネット』を絶賛「映画でこんな表現が可能なのか」
ジャオ監督と李監督は、それぞれの作品への感想を語り合った。李監督は『ハムネット』について、「非常に精緻でありながら人間の深層に届く作品。シェイクスピアの文学と舞台芸術、人間の魂が高いレベルで結びついている」と高く評価し、「映画でこんな表現が可能なのかと衝撃を受けた」と絶賛した。

一方のジャオ監督は、『国宝』について「天才の“神話”を崩している」と指摘する。「芸術の裏側には決して美しいものだけではなく、肉や血、骨を持った人間としての儚さがある」と語り、「そのリアリティを描いたからこそ、多くの人の心に届いた」と称賛した。
そして話題は、『ハムネット』と『国宝』に共通するテーマである「芸術家の宿命と孤独」に及んだ。
李監督は『ハムネット』に登場する森の“黒い穴”について、主人公アグネスの内面だけでなく、「芸術に携わる人間が抱える“闇”の象徴」と分析する。ジャオ監督も、李監督に対して「表現方法は異なるものの、目指すイメージの近さに共鳴した」と答えた。
『ハムネット』に歌舞伎の影響も――クロエ・ジャオ監督が明かす
ジャオ監督は、『ハムネット』の準備段階で歌舞伎を研究していたことを明かした。初めて歌舞伎を観劇したジャオ監督は、女性が蛇に変身する物語や鐘のモチーフに強く惹かれ、『ハムネット』にその要素を取り入れたという。
さらに演出方法やキャスティングの話題に移ると、李監督は『国宝』における吉沢亮と横浜流星への演出について語った。李監督は「すべてを体に染み込ませた後に、それ以上の観念的なものを表現できる」という持論から、「まず“型”を徹底的に習得してもらった」と説明した。

ジャオ監督は『ハムネット』主演のジェシー・バックリーに対し、「俳優としての自身と、アグネスという役の境界を消すようなボディワーク」を行ったという。ジャオ監督は「李監督の『型が重要』という意見に同意します。深淵に存在が生まれるように」と、両作の共通点を強調した。
対談では、互いの創作哲学についても踏み込んだ質問が交わされ、芸術と映画表現の本質に迫る充実した時間となった。『ハムネット』は日本で4月10日(金)に公開される。
▼映画『ハムネット』作品情報
監督:クロエ・ジャオ
脚本:クロエ・ジャオ、マギー・オファーレル
出演:ジェシー・バックリー、ポール・メスカル、エミリー・ワトソン、ジョー・アルウィン
製作:スティーヴン・スピルバーグ、サム・メンデス
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