【独占】脚本家ストライキの影響でマーベル新作『ブレイド』に黄色信号

『ブレイド』に出演するマハーシャラ・アリ

全米脚本家組合(=“WGA”)のストライキの影響で、マーベル・スタジオがマハーシャラ・アリ主演の新作『ブレイド』の撮影を休止することが分かった。同作は来月より米アトランタで撮影開始される予定だった。

マーベル・スタジオは、ストライキが終わり次第撮影を決行するという。脚本家たちが2日よりストに入ったことで『サタデー・ナイト・ライブ』や、ドラマ『ビリオンズ』の製作も休止状態になった。

現在、マーベルでは同時に3つの映画と2つのテレビシリーズの撮影が進行中。映画『キャプテン・アメリカ: ニュー・ワールド・オーダー(原題)』をはじめ、テレビシリーズ『アガサ: カブン・オブ・カオス(原題)』と『ワンダー・マン(原題)』はアトランタやロサンゼルスで撮影を継続している。また、今月下旬にはロンドンで『デッドプール3(原題)』、6月よりアトランタで『サンダーボルツ(原題)』の撮影がそれぞれスタートする見込みだ。

さらに『ファンタスティック・フォー(原題)』も来年1月の撮影開始が計画されているが、ストライキが長期化する場合を鑑みて判断を下すことになる。またストライキが1か月でも続くならば、その他の映画の撮影開始日程への影響が考えられる。マーベルで製作進行を判断する関係者は“ストのせいで莫大な製作コストが明るみになり、懸念材料となっています”と述べた。

マーベルの超大作は、製作過程で台本に変更が加えられていくことで有名。一方、撮影中脚本家にその場で台本を書き直させるという悪評もあり、今回のストライキでマーベルは未知の領域に立たされることになる。

大ヒットした『スパイダーマン: ノー・ウェイ・ホーム』の脚本家クリス・マッケナとエリック・ソマーズは、トビー・マグワイアとアンドリュー・ガーフィールドの出演契約を待つ間、新たなアイデアを入れるため台本を練り直すことに。また『アントマン&ワスプ』(2018)の脚本家パトリック・バーリーは現場で1日に25ページもの台本を書き、監督のペイトン・リードケヴィン・ファイギら重役に毎日チェックを受けていた。

2020年に成立したWGAとスタジオの合意では、プロデューサーや監督に“会話やナレーションを微調整してもよい”といった裁量を与えている。つまり条項を大まかに読み解くと、新たにシーンを作ってスパイダーマンを追加登場させることはできなくても、元のストーリーに変更を加えればそれが可能になってしまうのだ。

マーベルとライバル関係にある製作会社の重役は「マーベルは、まず撮れるだけ撮ってその後に再撮影を行う」との見解を示した。マーベルにとって再撮影は、もはや製作段階の一部になっているそう。今後撮影予定の『デッドプール3(原題)』の主演ライアン・レイノルズは、自身の出演作で脚本を務めることでも知られている。現在のストライキのルール上、脚本を兼ねない監督やプロデューサーは台本をマイナーチェンジできるが、レイノルズを含む脚本家にはそれが許されていない。

デッドプール役で出演した『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』(2009)は、脚本家ストライキの最中で撮影が行われた。レイノルズは映画について「製作の真っ只中で、脚本家の姿はありませんでした。デッドプールのセリフは、全部自分で書いたものです。以前の台本には“ウェイド・ウィルソン登場、早口でしゃべる”といった風にしか書かれていなくて、一体何をどうしたらいんだ?って感じだったので」と語った。

『サンダーボルツ(原題)』はマーベルの常連、エリック・ピアソンが脚本を務める。2020年ピアソンは『ブラック・ウィドウ』の家族の食事シーンは、役者とリハーサルを重ね、即興で台本を書き直した結果実現したと振り返っている。(現在は『BEEF/ビーフ』のクリエイター、イ・サンジンが『サンダーボルツ』の脚本を担当。)

さらに、今後ロンドンで『ヴェノム3(原題)』の撮影も予定されている。同シリーズで初めて監督を務めるケリー・マーセルは主演のトム・ハーディと物語について話し合いを重ね、脚本を書き上げた。ハーディは当日にアイデアを提供することでも知られている。

現時点でマーベルは脚本家との新たな関係性に入り、台本の問題にとどまらず潜在的なストライキへの対処を迫られている。4日、WGAのメンバーはTwitterでマーベル作品の撮影をストライキするように呼びかけた。『ワンダー・マン(原題)』のヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世に向けて発信されたとみられ、現在は削除されている。同テレビシリーズは、ハリウッドのスタントマンや俳優にフォーカスし、スーパーヒーローから見たエンタメ業界の姿を描く。

※今記事は要約・抄訳です。オリジナル記事はこちら

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