全米映画俳優組合「SAG-AFTRA」がストに突入 スタジオとの交渉が決裂

俳優組合の記者会見、7月13日 写真: ©FRAZER HARRISON/GETTY IMAGES
スポンサーリンク

前日にスタジオ・ストリーマーとの交渉が決裂したことで、全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)が現地時間13日、公式にストライキを呼びかけた。ストは13日深夜に開始され、16万人の組合員が影響を受けるとみられる。

俳優組合のフラン・ドレシャー会長はスタジオ側の提案について“侮辱的”と語り、以下のように激しい口調でスピーチした。

「この岐路に立つことは、非常に悲しいです。選択肢がありません」「我々は、ある貪欲な存在の犠牲者です。共に仕事をしてきた人々からの扱いにショックを受けています。率直に申し上げて、いかに彼らとの間に距離があるか信じられません。金銭的余裕がないことを理由にしながら、CEOたちに大金を流している。恥を知れ」

さらにドレシャー会長は、AI使用にまつわる膠着状態について明かした。「ストリーミング、AIなどで全体のビジネスモデルが変化しています。今が歴史的・決定的瞬間なのです。今こそ断固たる態度をとらなければ、我々はみんな機械に取って代わられる危機に瀕することになります」

一方スタジオ側の映画テレビ制作者同盟(AMPTP)は、論点のメモとともに声明を公開した。「AMPTPは歴史的な賃金・再使用料の上昇をはじめ、俳優のデジタル肖像を保護するAIに関する提案なども申し出ました。スタジオは演者なしに作品を生み出すことはできない。ストは我々が望む結果ではありません」

SAG-AFTRAが制作会社に対してストを起こすのは、1980年以来40年ぶり。当時、俳優らはホームメディア・リリースの利益配分を要求し、ストは95日間続いた。

98%の組合員がストを承認したのち、SAG-AFTRAは6月7日、AMPTPとの交渉をスタート。その間も脚本家らはストを続ける一方、全米監督組合は合意に達した。6月後半にSAG-AFTRAの交渉担当が進展を明かしたものの、月末に7月12日まで交渉期限を延長することとなった。

SAG-AFTRAは着々とストの準備に入っており、AMPTPはアメリカ連邦調停局に仲裁を求め連絡を取っていた。11日にSAG-AFTRAはこの計画に同意したが、交渉を12日以降延長することは認めなかった。

俳優組合は「合意の期限切れによって、公平な契約の確保のための交渉から気がそらされることはない」と強い言葉で声明を発表。連邦調停局が交渉に介入したのは、12日のみであった。

12日夜までに両者は合意に達せず、SAG-AFTRAの交渉委員会は全会一致でストライキを進言した。ドレシャー会長は、数々の議題に向き合うことを拒絶し、協力的ではなかったとしてAMPTPを非難。対するAMPTPは和解の失敗は“組合側の選択”だと述べ、俳優組合は数々の提案を棚上げにしたままだと主張した。

交渉に先立ち、SAG-AFTRAはエンタメにおけるAI使用とストリーミング再使用料の改善について契約上の保護を求める意志を示していた。さらに組合側は、福利制度の強化とセルフテープオーディションに関するルール変更の重要性を主張した。

脚本家ストの最中でも仕事を続けていたプロダクションにも、即刻影響が出るとみられる。12日の発表以前も、米ハリウッド・リポーターは6月30日まで保険会社がインディーズ系の映画制作会社とは契約しない旨を報じていた。

15年前、100日間の脚本家ストが生み出した損失は20億ドルだった。専門家によると、今回の損失はそれをはるかに上回るものになるという。俳優のストで制作が中止されることで、さらに数字が膨れ上がる見込みだ。

ドレシャー会長は13日、スピーチでスタジオに向けこう語った。「この取引は、私たちに非常に重くのしかかっています。しかしある時点で、こう言わなければなりません。“もう、これ以上は耐えられないーあなたたちは、おかしい。一体なぜ、こんな事をするの?”」

※今記事は要約・抄訳です。オリジナル記事はこちら。翻訳/和田 萌

スポンサーリンク

Similar Posts