逆風に揺れた釜山国際映画祭: マーケットには記録的な来場者数、森達也監督『福田村事件』も受賞
釜山国際映画祭の「アジアンコンテンツ&映画マーケット」が終了した。関係者によると、今年は2,479人もの来場者数を記録したという。バイヤーやプロデューサーらが釜山に集まり、映画や小説・デジタル漫画などの知的財産(IP)に至るまでコンテンツ取引が行われた。
映画祭の担当者、キム・ヒョンレ氏は「映画市場が世界的に停滞するなか、新たなビジネスチャンスや情報交換を求める人々が多くいました。来年は、ヨーロッパのマーケットと繋がり、新たなプログラムを立ち上げたいと考えております」と伝えた。
今年は世界23か国から、271の会社がブースを開設した。欧州の39の映画会社と共同で「ヨーロピアン・パビリオン」を開いたユニフランスのほか、韓国の大手会社・CJ ENMや Lotte Entertainmentなども最新の韓流コンテンツを紹介した。
共同制作・投資に取り組む「アジアン・プロジェクト・マーケット」(APM)は、期間中に1,826件のミーティングを主催したという。今年のAPMにはラファエル・マヌエル監督『フィリピーニャ』のほか、広瀬奈々子監督『What’s Love Got to Do with It?』、Jiang Xiaoxuan監督『To Kill a Mongolian Horse』が選出された。
アジア圏内でリメイク作品を制作するためのプラットフォーム「釜山ストーリーマーケット」では、50作品が紹介された。過去には、ジェイ・チョウ監督・主演『言えない秘密』が韓国でリメイク。また、台湾のドラマ『いつか、ある日』の韓国リメイク版は近日Netflixで配信される。日本では、ポン・ジュノのオスカー受賞作『パラサイト 半地下の家族』が舞台化された。
拡大された賞カテゴリーでは、アジア圏の新進監督を表彰。新設された「LG OLED New Currents & Vision Award」は、Iqbal H. Chowdhury監督『The Wrestler』(バングラデシュ/カナダ)と日本の森達也監督『福田村事件』に渡った。
スリランカのプラサナ・ヴィタナージ監督『Paradise』、キルギスタンのミルラン・アブディカリコフ監督『Bride Kidnapping』が「Kim Jiseok Award」を受賞。従軍慰安婦の歴史を追った『沈黙 立ち上がる慰安婦』(朴壽南監督)と『Republic』(Jin Jiang監督)は「BIFF Mecenat Award」に輝いた。その他、「NETPAC Award」はタイのPatiparn Boontarig監督(『Solids by the Seashore』)、「Sonje Award」はJeon Dohee&Kim Sohee監督『Mydear』、イランのNasrin Mohammadpour監督『Weeks Later』に授与された。
審査員団は「“ New Currents”部門で、10人の新進監督から届けられるビジョンや社会問題に対する関心を目にし、心を動かされました。『Solids by the Seashore』には、皆が感動しました」と感想を述べた。
性的不品行や縁故主義の疑惑による内紛もあったが、映画祭は全体的に成功したと評価。映画祭の暫定ディレクター、ナム・ドンチョル氏は「予算削減にもかかわらず、様々なサポートのおかげで首尾よくイベントを閉幕でき幸いです。韓流コンテンツにまつわる話は盛んに行われていますが、業界のより良い環境づくりについての話は乏しいように思われます。我々は協調的な対応を求めています」とコメントした。
※今記事は要約・抄訳です。オリジナル記事はこちら。