日本映画新レーベル『New Counter Films』設立、第1弾は二ノ宮隆太郎監督『若武者』
『箱男』、『almost people』などを手掛ける映画会社コギトワークスが、日本映画新レーベル『New Counter Films』(ニューカウンターフィルムズ、NCF)を設立したことを4日、都内で発表した。
コギトワークス代表の関智彦氏とプロデューサーの鈴木徳至氏が同名の合同会社を立ち上げた。
「誰もが見たい映画ではなく、誰かが見たい映画をつくる」をコンセプトにエンタテイメント性を追求しながら、作家性を重視した映画を製作。
国内のミニシアターと海外17都市のアートハウス劇場に配給し、動画配信サービス「U-NEXT」で同時配信を行うプロジェクトだ。
メジャー系とインディペンデント系の格差が開く一方の日本映画界。
関氏は、「商業なので多くの人に映画を見てもらいたいのはもちろんだが、第一義が売るためだけにならない選択肢をつくりたかった」と語る。
続けて、「プロデューサーワークとして監督の才能を最大限に引き出し、作ったものを直接届けることはできないかと思った」と設立意図を説明した。
鈴木氏も、「自分たちが見たいものにこだわって、業界の未来、状況の改善につながればいい」と期待した。
1作品につき総事業費2500万円で、コギトワークスとU-NEXTが50%ずつ出資して制作。
リクープした後に出た利益に関しては、スタッフや出演者に還元する初の試みとなる。
関氏は、「過去のアート系作品をシミュレーションして、1万3000人入ればリクープできると試算した。反応も直接聞けるので、その上で次の企画につなげていきたい」と構想を語った。
第1弾作品は、『逃げきれた夢』が昨年のカンヌ映画祭ACID部門に出品された二ノ宮隆太郎監督の『若武者』。
坂東龍汰、髙橋里恩、清水尚弥が主演し現代の窮屈な世界に独自の手段で“革命”を起こそうとする若者たちの姿が描かれる。
本作は5月25日に日本をはじめ米ニューヨーク、英ロンドンなどで公開が封切られる。
20年ほど前から構想を抱いていたという二ノ宮監督は、「独創的な作品を目指し、素晴らしいスタッフ、キャストとともにほかにはない映画ができた。」
「見ていただいた方に、少しでも影響を与える作品にしたい」と自信を述べた。
関氏も、「脚本から伝わってくるパワーが凄くて、完成した映画はさらに超えたものになっている」と太鼓判を押した。
ロンドンでは既に4館以上から引き合いがきているという。
新たなビジネスモデルとなるNCFが、日本映画界にいかなるカウンターを仕掛けるか注目される。
取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元
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